第七話
塔に居た屍鬼はもはや敵ではなかった。鎧を叩き割れば死魔消滅の魔法の光が屍鬼の体内に届いてあっという間に殲滅出来る。そして塔の頂上にあった城に向かって発射している魔石の部屋にやって来た。
そこに巨鬼の屍鬼が居た。
「俺の名前はゾク! 元羽養成よ。魔王様の力で人間の血肉を喰いまくりさらに屍鬼となって永遠の命を得た。ん……おまえは見たことあるぞ。お前も一回オーガになって滅んだ奴だな。なあ、シュクラ」
勇者たちは「えっ!?」となる。サロはシュクラからこの話を聞かされ知っていたが。
「あの時は初代魔王に付き従い誤った道に進んだ。だが今度はそんな道など歩まん。勇者と呪術師よ。私を信じてくれ。だから禁忌の死霊術をサロに今回は教えなかった。それがサロの願いだからだ!」
勇者と呪術師はそれを聞いてはっとなった。
「ああ、そうだぜ。死体としか仲よく出来ない変態にはなりたくないんでね」
サロは皮肉な笑みを浮かべた。
「悪に溺れて人間の血肉を喰いまくった奴のいう事を聞く勇者なんよまさに闇堕ちだね。この私と何が違うのだ。さあ……勇者たちよ我について来い。真の魔王様と共に歩まないか?」
「断る!!」
これが合図となった。巨大な鎧兜を纏った巨鬼とはいえ今のサロたちは知っている。こんな奴は敵じゃないと。さすがに塔を吹き飛ばす魔法を唱える事はできないが……。
「風牙斬!!」
勇者の剣技はまるで戦士キラのよう。そして徐々に日々が入る。そしてサロは拳を入れた。
――ピキッ!
「いまだ! ソラ!! 死魔消滅だ!」
ソラは死魔消滅の魔法を唱えてゾクに浴びさせる。怨霊のような声をゾクが響かせる。
「ヤメロオオオオ……エイエンノイノチガアアア……!」
ゾクは黒い塵となって消えた。
「シュクラ。過去にどんなことがあってもここまで来た。俺はあんたのことを信じる出。お前が本当に悪だったらいつでも俺たちの寝首をかけただろうし……まして俺たちの村を豊かにしようなんておもわないもんな」
そう言って魔石を剣でたたき割った。
「すまぬ。我は魔王の副官。我を間違った方向に二度と進まないよう監視してくれ」
「当たり前だぜ。それが仲間って奴よ」
そう、魔王城での死闘を乗り越えて来たのだ。仲間でなくてなんなのか。
――仲間か。俺はこの魔王に仕えて、勇者と共に旅をして幸せです
シュクラは恥ずかしそうに小声で言った。
◆
そしてサロたちはもう一回城内に入った。
「なんだよ、これ」
サロは怒りに震えた。
「どういうことだよ」
まるで牢獄のような家々である。いや、牢獄そのものだ!! そこで蠢くのは異様な精霊体であった。もうサロの力でも元に戻すことが出来ない。なぜなら、その精霊は一回死んだ者の肉体を宿した精霊だからだ!
もう会話も出来ない。
「まさか……。俺の故郷は……」
自分の故郷だけは魔王の勢力と無関係にしたかった。オロ以外何も関わりたくなかった。それがあだとなったのだ。逆だったのだ。オロ以外も連れて来るべきだったのだ! そうすればオロのように助かったのに!!
「おそらく。アンデッドにもされずここで生活させたのでしょう。魂だけで」
怒りのあまり拳を壁に入れて破壊する魔王。一方……勇者は冷静を保っていた。
「ない。ないぞ」
勇者が必死に探す。
「やっぱりこの建物、上に行く階段がない!!」
そんな時、精霊らが集まってなにやら示した。
「仮面が収められてる家……」
六〇個の仮面が収められている家であった。
地下に行くと仮面の替わりに杖があった。頂には髑髏があった。
「あ、また精霊が示している!!」
オロに向かって示す。
「今度はどこを紹介するんだ」
二階から光が出ている場所だった。
階段の文様の杖をサロがかざすと大きな音がして二階に行く階段が現れた。
二階にはアンデッドたちの部屋がある!! しかも通路は巨大だ。
アンデッドたちが攻撃するも五人の敵じゃなかった。同じように鎧にひびさえ入れればあとは死魔消滅で消滅されるだけの存在にすぎなかった。たぶんこいつらも被害者で元人間に違いない。
今度は階段もある!!
三階、四階と上がっていく。
すると巨大な部屋に出た。巨大な部屋に祭壇も設けられている。謁見室だ!!
「サロ、オロ、トラ、なんと懐かしい」
そこにいるのは真紅の巨竜!!