第五話
サロ城は見るも無残であった。
とはいえ地下一階に逃げた人が少ないとはいえ居たのが救いだった。
必死に国民は発電所を作り上下水道を作り直し電線も作る。
ソラは翌日目を覚ました。
生き延びた者の傷は深かった。
葬儀も頻繁に行われた。
四天王カラと四天王カラロの葬儀も……。
そして「四天王最弱」と言わねばならない密儀も。
キラの葬儀はひっそりと行われた。地下二階にあった勇者の装備を保管してあった場所に墓を作った。
キラを恨む人は多い。ゆえにとても地上に出すわけにはいかなかった。とはいえ遺体はもうなく聖属性魔法で消し去ったので遺品しかもうない。もう原型をとどめていない遺品を納め、墓を作った。
「汝 この城を攻めし者」
サロが言う。
「汝……誠の勇者なり」
シュクラが言う。
「安らかに眠れ」
オロが言う。
「お前はもう戦士じゃねえ。立派に勇者だ」
トラが言う。
「ロロを絶対倒してやるからな」
ソラが言う。
墓碑には『吸血の勇者 ここに眠る』とある。
今回は冒険者ギルドも通さない。
そもそも冒険者ギルドは四人までなのだ。
犬魔族のケンがやってきた。
「ヴォルドも大変なのに、済まない」
「いいえ、魔王様のご命令をあれば」
「ここを、副官代理として勤めてほしい」
「カルの死から一年がまもなく経つ、副官代理を終えたら、お前がカルの後の四天王だ」
「ありがたき幸せ」
「水晶玉で毎日確認するぞ。正直、この状態で国を後にするのは心苦しい」
サロ城もヴォルドもようやく電気が通り水道も復旧したばかりであった。
まだまだシベリアの地は凍土である。城門を開けると寒さが襲う。
「この寒さで行軍……空を飛べる私とサロ以外、困難です」
大丈夫なんだよな、シュクラ。
「そこでだ、この旅客用の籠を徹底的に防寒対策を施した。小さいが、窓もあるぞ。開かないがな」
「サロ、さすがです」
シュクラは頭を下げる。
「俺とシュクラが鳥魔族の役目を負う。行軍中は徹底的に回復に努めろよな。奇襲をかけるんだからな」
「「はい!」」
五人は空を飛んだ。
国民に見送られ、彼らは出発した。
キラの奇襲を受けて一週間後。
いよいよ今度はこちらが攻撃する番となった。




