~序~
奴が来る。生き残った者を必死に集めて地下一階の金庫に閉じた。我々が勝てば民はもう一回再建できる。負ければ民は金庫室から二度と出られない。餓死確定だ。今回はそれでいいのかと念のために聞いた。民は吸血鬼にやられるくらいならと餓死を選んだ。すまねえ。絶対に餓死はさせねえからな。戦える者は地下に陣を移した。
「来るぞ、いいか? 人形兵が送ってくれた画像見て奴の姿分かっただろ? かつての友と思うなよ。奴はキラじゃない。吸血鬼だ!」
「サロ、わかった」
トラが言う。
「キラはもう死んだんだよ」
ソラが答えた。
オロ、戦力が一人かけてしまった。君はこの玉座の前で俺と戦ってくれ」
「わかった」
「カラロ、カラ、頼んだぞ。まず……カラは地下二階の大広間」
「おう!」
「カラロは地下三階の大広間」
「うむ」
「カラ……先陣だ。絶対に死ぬなよ」
「俺様が死ぬわけねーだろ。この爪で奴を葬る!」
闇熊の爪を装備するカラ。
「トラップ発動!」
魔王がこの命令を発するときは、もう落城一歩手前を意味する。
「「トラップ発動」」
するとなにやら不気味なあぶくの音や電気の音がした。
「生き残った軍隊にも言う」
音飛び石に向かってサロは言った。
「死ぬなよ」
返事が地下中から返って来た。
「「おお~~~!!」」
「金庫室に逃げた一般人にも言う」
――絶対にこの城と文明は守る!
「「おお~~~!!」」
「トラ、ソラ。万が一俺の本性見てもこれまで通り接してくれよな……少々、醜い姿だけどな」
「分かってるよ」
トラは魔王の真の姿を見る事を覚悟した。
「このソラ……聖属性魔法で彼らを葬ります!」
死魔消滅が無かったらとっくにこの城は落城だな。ありがてえ。本当にお前を味方につけてよかったよ。
「シュクラ」
「サロ……」
「的確なアドバイス頼むぞ」
「承知」
「行くぞ!! 生きるか、死ぬかだ!!」
「「おお~~~!!」」




