第六話
翌日……。まだ夜が明けていない。が、この世界では朝なのだ。雪は止んでいた。サロは仮面を被ってから漆黒の世でも目が利くようになった。緑色の皮膚を持つ魔物は近所の沼から湧き出ている泡を見つけた。試しに指から焔を出し泡に近づけると焔はより激しく燃えた。
――これがガス田です。この大地にはガス田がいくらでもあります
このガス田から出るガスをまず貯蔵しなければならない
――まず樹を切ります。
「うん」
魔王は樹を切り倒した。
――次に小さい木材を取り出します。この木材を空洞にします。最後に魔素を加えます
「魔素って?」
――空気中にある魔力の元です。この場合の魔素は銀色になるまで念じます。
すると渦巻くようにして空気中に魔素が出来る。
――それを空洞の中に向かって破を唱えてください。
破を出すとなにやら金属のような管になった。
――これがガス管です。とにかくいっぱい作って繋げましょう。あとガス田から出るガスも貯蔵できるようにしましょう
「その前にごはん……」
もうサロはへとへとだった。
昼は森にいるウサギを風の刃で殺して燃やして食べた。
――焦らず。数日かけてやりましょう
◆
こうして十日が経った。ガス管が家に繋がった。
――これが元栓です。管にもいっぱい作りましたね。
「うん」
――捻ってください。点火スイッチを捻ってください。
すると……なんと炎が出た!
「すごい」
――消す時は反対側にひねってください
「消えた」
――魔王城ではこんなエネルギーを当たり前のように使っていたのです
動物の油で灯りを灯すことも出来た。フライパンも鍋も作った。そんな時。
また躰から骨が軋む音が鳴り響く。肩幅が広がり背が隆起する。深い緑色の部分は肩まで広がっていた。
「ぬくっ!!」
痛みはないがやはりどうしても骨から引きはがされる肉の音が耐えられなかった。その骨から剥がされた肉と骨も再構築される。
――順調に元の姿に戻っています。魔王様、今は部下が居ませんからこんなに日時がかかってしまいましたが……。魔族であれば一日がかりでこの作業は出来ます。
「魔族ってすごいね」
――ガス管からガスが漏れたら大変です。そのため定期的に魔素の色を確認します。このガスを使って明日は電気を作りましょう。