第八話
いつもの真の謁見室に四天王と副官と魔王と三光魔は居た。あまり聞かれたくない話題はここで行う。
「音飛び石を有料販売にする。しかも専売だ。音飛び石が埋め込まれているラジオは引き続き無料だ」
専売にすると国庫は潤う。
「サロ、仕方ありませんね、この状況じゃ」
そう、敵の襲撃による停電被害、そして疫病。もちろん疫病に回復魔法は効かぬ。金庫は再びすっからかんである。
「そもそも音飛び石だって中継基地局あるんだしな。でないとラジオだって受信できねーんだし」
カラロの苦労がよくわかる。
「シュクラ、通話料って取れないのか?」
「無理でしょう、いつ、だれが通話したのか音飛び石じゃわかりません。水道や電気やガスのようにメーターがあるわけじゃありません」
そう、実はメーターまでシュクラは作り方を教えてくれたのだ。すげえぜ。
「そうだよなあ。音飛び石本体価格に通話料金込みってことかな」
カラが言う。
「そうだな。今まで持ってる人にも申し訳ないけど料金を請求しよう。新しく持つ者だけ負担じゃ不公平だしな。水晶玉はもっと貴重だけどこれも有料だな。音声も聞こえて像も映るしな。いざというとき無いと困るし」
サロは首を巡らせる。
「で、だれが料金を徴収するかだ。すでに持ってる人のな」
「……」
「そういうことだよ。だから負担は事実上新規購入者のみだ。冒険者ギルドと鳥魔族や羽魔族の物流業務についてる者はともかく」
こうして音飛び石は有料となった。費用は中継基地局の設置と維持の負担費用に充てられた。
◆◇◆◇
「これがサロが魔族化した羽魔族」
「離せ!!」
屍鬼に連れて来られた羽魔族は物流業務の途中だったようだ。
「大丈夫だ離してやろう」
「離せ」
屍鬼が離す。
チュリュグディは瞬時に羽魔族に向かって波動を出した。その後にチュリュグディは首に牙を立てた。
「な……苦しい」
のど越しの音を聞きながら羽魔族は泡を吹き、もがき苦しんで死んだ。
「ふむ、なかなかの旨さだったぞ」
そしてむくりと起きて生き返る。
「お前は今日から吸血族よ。見た目もそっくりだ」
「御意……」
羽魔族だったころの記憶は無くなっていた。
「これは……」
見つかってしまった。
「これは魔石の一種!」
――ミコロ、おい、ミコロ。物が届いてないぞ。サボってるのか?
なんと石から声が聞こえてくる。
「これはいい。こちらも同じものを作ろうではないか」
「「御意」」
「そしてこの魔石に破を唱えてみるか」
波動を出した。すると結界と反発する石が出来た。
(これをより強固なものにすれば結界を短時間にすり抜けられるのでは?)
「これはいい、これはいいぞ。サロ城に侵入できるではないか。そうだな? あの出来損ないを吸血鬼にしてろうぞ」




