第七話
敵の根城を横目にサロとシュクラは高速で空を飛んだ。どんどん東に飛んでいく。
いくら魔族でもこの時期の高速飛行は凍てつく寒さが襲う。サロとシュクラの防寒装備に抜かりはない。しかも「闇緑の涙」は耐寒能力も向上していた。
たしかに、この時期遠くに島が見え、しかも氷で覆われている。海を渡れそうだ。
「たしかに。どうも敵はここまで及んでなさそうだな」
「どうでしょう? 油断は禁物です」
「気候も内陸と変わらない感じだな」
流氷が届いていない地域まである。
「あれが南端か」
その先にあったもの。
「あれは……島だ! いや大陸か? 海峡の向こうにさらに陸地が……」
「しかし、サロ……ここまで来ると遠すぎます」
「むう、しかしここまで南に下るとちゃんと冬でも太陽が出るぞ」
サロは空を見上げる。
「もったいないが、遠すぎか」
「まずは鳥魔族です。空路でサロ城に戻れる種族から魔族化しましょう」
サロは鳥魔族を増やし、根城に帰った。疫病による人口減少問題はこうして乗り越えた。それだけではない。ここに急遽仮設の小屋と木質発電所も作ったのだ。そう、魔王領の領土が拡大した。飛び地になるがいずれは本土と挟むようにして飛び地問題も解決しよう。
彼らが見たもの、それは後に宗谷岬と呼ばれる場所であり後の「北海道」である。