第六話
いざという時のためにわざと魔王城の周りの精霊を魔妖族にしなかったサロ。
これで万が一の時の人口減の対処を行った。
あとは、もう遠方に行って動物を魔族化するしかない。
聞くところによるとこの時期、海の向こうが凍って島が渡れるらしい。
敵の支配が及んでいなければ島に行ってかたっぱしから動物を魔族化するのも手だ。
そうだった。病院建設だった。
自分は王なのだ。魔王だからと言って味方を見捨ててはいけない。
(じゃないと寝首をかかれる)
こうして非感染症患者と怪我の患者は本丸に隣接する城内にある病院に行くことになる。
感染症患者は城外の病院を建設した。
オロが作った人形は本当便利だ。
人形なら感染しない。
幸い数人の魔族が「人形操呪」の呪文を覚えてくれた。魔石を埋め込む必要があるが。
しかも戦闘にも使えそうだ。
サロとオロは人形隊を結成した。
これでパイプラインの警備はもちろん、普段の警備も可能だ。
しかも不審者の画像記録機能付きだ。
サロはまたしてもピンチをチャンスに変えることに成功した。
◆
物流が再開してから鉱山から妙な鉱石が出たという報告が出た。シュクラがそれを見るとサロに真っ先に報告した。「闇緑の涙」が強化される宝石だったのだ。実は「闇緑の涙」は通常時はくぼみがあるのだ。そのくぼみに宝石をはめ込むとなんと鎧がメキメキと音をたてながら勝手に成長しはじめた。
「さ、サロ。『闇緑の涙』を着こんでください」
サロが「闇緑の涙」を着込むと甲殻類のような姿からいかにも強固な鎧へと姿を変えた。より魔王にふさわしい鎧と兜になった。
第二形態になるとこの宝石は吹き飛ぶという。鎧と兜はちぎれ飛ぶという。だから貴重な強化物質なのだそうだ。
「これで防御力も強化ですね、サロ」
「ああ」