第五話
病院がこうして作られた。一般病棟は城下町と一体化した場所に。そして感染病棟は、町の外に。
サロは人形に命を吹き込む。
配膳、投薬などは人形が行う。
いちいち魔王であるサロが命を吹き込むのは疲れるので魔法を伝授した。
もちろんサロはオロにも伝授した。
ヴォルドにも同じよう一般病院、感染病院に分けた。
感染病院に入院したからと言って死ぬわけではない。
症状が無くなり退院する者も多い。
◆
病原体は血液から見つかった。魔法顕微鏡で見たものは信じられないものが映っていた。
「これは、なんだ?」
研究員たちが驚く。
「さあ……」
言いようのない物であった。
「菌ではないぞ」
さすがに細菌という概念は魔法顕微鏡を使うだけあって研究員たちは知っていた。だがそんなものではなったのだ。
「鍵のようなものが先端についている」
彼らが見つけたもの、それはウイルスである。しかし「ウイルス」という概念を正式に認識したのははるか後世である。今の魔族や人間には未知の領域であった。
その後、薬は効かないのではなく症状を抑えることによって免疫が付くことが分かった。よって解熱剤などが重要なのと隔離病棟が必要であることも分かった。
それからこの手の『菌』を「鍵菌」と呼ぶこととなった。