第四話
城下町の長屋の一室で状態の悪い者が居る。
「ごほっ ごほっ」
鳥魔族のポロカが謎の閃光を浴びて一週間後……。ポロカは咳するようになった。それまでポロカは何事もなくヴォルドにも出て物を運んだりしたのに……。
ポロカの症状は悪化し、たまらず薬局に行った。
もちろん三割負担だ。これでもダメな場合は薬局の上にある医務室に通う。もっとダメなら本丸の中にある重症患者用の病院に行くのだが。
ポロカの全く症状がよくならないどころか自分と同じ症状の魔族も人間も増えてきた。
そして、高熱にうなされながら、ポロカは死んだ。
サロ城もヴォルドもパニックに陥った。
「薬が全く効かない!!」
問題なのは患者がサロ城本丸にも及んだことだ。
「どんどん死んでいく……」
人間族の兵士が応対に慌てる。
「風邪薬も試したがまったく効かないぞ」
兵士が応対してるまさにその時……。
「ごほっ、ごほっ!」
「ワキム……お前……まさか……」
鹿魔族でワキムの同僚の兵士であるカクラは思わずその場から逃げた。
◇◆◇◆
サロとシュクラと四天王と三光魔はいつも通り地下四階で密会を行った。
「どうすればいい、シュクラ」
闇の中で声が響く。
「まず、病院を大規模に新設しましょう。大規模病院も3割負担です。また……隔離病棟と一般病棟を建設です。隔離病棟は町から離れた場所に」
まあ、言う通りだろう。
「俺、同じ鳥魔族だけど平気だぞ?」
カラロが言う。
「そりゃ~まだうつってねえだけだろ」
カラが突っ込んだ。
「回復魔法も利きません」
ソラが言う。
「隔離病棟患者って死ぬの待つだけなの?」
オロは吹雪のような声で言った。闇の面頬を装備した姿はまさに死神だ。
「待つだけだ」
サロが言った。
「でも、病棟職員も感染する」
オロの声は冷酷だった。みんな黙り込んでしまった。
(え? 俺の魔王生活ってこれで終わり?)
「サロ、私お人形好きって言ったじゃない? 人形に命吹きこむって事、出来ないかな?」
魔王は思わず見上げた。
「出来るぞ! ただしもって数日だぞ。数日後にもう一回人形の中に埋め込んだ石にエネルギー……つまり『命』を吹き込む。しかも吹きこんでも単純作業しかできないけど」
「それで十分よ!」
「サロ、物流ネットワークを一旦切るぞ」
「おう、カラロ」
「それと謎の閃光も気になるな。あれは敵の合図だったのでは」
「トラ、さすがだな。俺も同じ意見だ」
玉座に座っているサロはうなずいた。
「あの……」
「なんだ、キラ?」
「みなさん、健康診断は受けてるんですよね?」
「それがどうかしたか?」
「その時、血液を抜き取りますよね?」
「そうだが、何か?」
「血液から病変を調べられないでしょうか?」
「キラ、大したもんだぜ!」
サロが手を叩いた。
「その意見は貴重だ、ぜひとも実行しよう」
シュクラがうなずいた。
「キラ、名誉挽回のチャンスだな」
トラが言う。
「サロ、今回は通貨の流通は増やせます。今回は大量に流通しましょう」
「そうだな。シュクラ。通貨に使う鉱物以外の物流をカットだ」