表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の仮面  作者: らんた
第六章 人を傷つけて何が楽しい!?
62/84

第一話

 三人は鳥魔族によって運ばれる籠の中に居た。暗夜が迫り来る大地から南西に向かうと闇が支配する地域では本来無くなるはず。だが太陽が支配する地にも関わらず闇と絶望が支配する光景にふさわしい惨状となっていた。怨嗟の声が聞こえてくる。


 「ねえ、おかしいよ」


 ソラが言う。


 「何がだ」


 「こんだけ骸骨兵、屍鬼兵倒しても一向に減らない」


 そう、道中で地上に降りては骸骨兵、屍鬼兵を倒していたのだ。


 「そういえば……」


 (骸骨はともかく屍鬼はどうやって増やしているんだ?)


 魔王としては特に気になる。つまりそれはサロが魔族化出来る動物の減少を意味する。


 「そもそも敵の本拠地はどこなの?」


 オロの意見は最もだ。まさかと思うが屍鬼兵を培養してるんじゃねえだろうな? そんな技術があったら、の話だが。


 「それも気になる」


 人間を屍鬼に大量に変える方法。それははるか南方の大陸にある人口増加地域で死霊にして転移魔法を唱え移動させることだ。培養よりも現実的に考えられるのはおそらくこの方法だろう。


 「見えて来たぞ、お前の故郷サトラ」


 カラロが指さす。それは無残であった。骸骨が蠢いていた。カラロだけは鳥魔族なので籠には載っていない。


 「キラ……お前の故郷、取り戻す。ショクロ、近くの森に降りてくれ!」


 「魔王様、了解です」


 鳥魔族のショクロは近くの森に降りると四人を降ろした。


 「覚悟はいいな? ショクロ、絶対に俺達から離れるんじゃねぞ?」


 そう、籠を運ぶだけの鳥魔族ショクロは戦闘能力が無い。


「了解です!」


「いくぞ、奪還に!!」

 

 サロの呼びかけと共に獄焔呪が次々炸裂する。死魔消滅も。


 そしてとうとう見てしまった。故郷の家に居た者。


 「あの服装は……お父さん!! おかあさん!」


 その時ソラの死魔消滅がさく裂し、コアが砕け散り骸骨が崩れ落ちる。


 キラは泣き崩れる。大地に崩れた。


 「町に屍鬼はもういないか!」


 サロが確認する。


 「居ないぞ!!」


 カラロが空から言う。


 それを聞くとサロはゆっくりキラの手前に来た。


 サロはキラを平手打ちした。


 「言ったはずだ。覚悟しろと」


 キラは何も言えない。泣いているだけだ。


 「ソラ、聖属性の結界石を使って結界を張れ」

 

 「了解」


 「キラ……遺骨はちゃんと葬るから安心しろ」


 「ごめん、サロ」


  言葉と裏腹にキラは立ち直れない。


 「この町にもガスパイプラインも引くし、発電所も作る。お前の家は燃やさなかった。ソラに感謝しろ」


 サロはソラに向き合う。


 「ソラ、いよいよだよな。次はお前の村の奪還だ」


 「うん」


 「ソラ……お前も覚悟しろよ? その前に、ここにインフラ作って……魔妖族の中心の村にする。ここを生ける者の大地に戻す」


 周りの動物は全て骸骨兵は屍兵にされていた。このため魔族化は魔妖族以外出来なかった。


 「とりあえず、水道と電気は確保と」


 発電所は例の如く木炭発電所である。


 「ちょっと前の勇者の村みたいにまた竈でお風呂?」


 「しゃーねーだろ、カラロ」


 忘れていた。ショクロだ。


 「ショクロ、大丈夫か……」


 「大丈夫です……」


 うん、大丈夫じゃないな。たぶんキラ以上に心の傷を負ったはず。


 「ショクロ、この任務後に半年の休暇を与える……。ご苦労だった」


 ――ごめんよ、非戦闘員を連れて来てしまって


 再建するのはそんなに難しい事じゃない。問題なのは心のケアだ。こんなことされると、ね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ