~序~
闇が支配する季節がもうすぐの頃。太陽の光が碌に出ない屍鬼たちにとって好都合な季節にそれはおきた。結界で守られてないガスパイプラインの連鎖爆発攻撃である。
連鎖爆発を止めたのは奇跡であった。バブルを閉めた勇敢な虎魔族の作業員には特別葬儀が城内で行われた。もしこれをせねば城も別邸も吹き飛んでいたことだろう。
尊い犠牲が魔王城を守ったのであった。犠牲を無駄にするわけにはいかない。聖属性の結界石を置き、パイプラインを作り直す。勇者の故郷ナゴル村はこうしてガスが復旧した。
木炭発電機はここでも威力を発揮した。本当、発明者のオロ様々である。もしオロがバックアップ電源として発明していなければサロたちはここで滅亡確定である。
無事ガスパイプラインを復活させ発電所にガスが届き電気も供給される。
まだここは結界によって守られているので骸骨兵も屍鬼も襲って来ない。
しかし結界石を破られたらアウトである。このため大量にある結界石をリプレースすることになった。そう、結界石を聖属性にしたのだ。気の遠くなる作業が始まった。しかしインフラは命綱である。必死に作業を進めた。そして今度は逆襲する番となった。屍鬼の拠点を殲滅するのだ。なんと屍鬼の拠点はキラの村だった。
◆
四人は鳥魔族の作業宿舎に泊まった。
今回はサロ、キラ、ソラ、カラロというメンバーである。
「まず、トラの村は無事だった。次はいよいよキラの村だ。敵にお前の親や兄弟が居ても恨むなよ」
なんせ、俺が出す地獄の業火で焼き殺すのだから……。
「うん……」
「もうそいつは親でも兄弟でもなんでもねえ。アンデッドだ。覚悟は、出来てるよな? 俺の獄焔呪で滅ぶ姿見ても泣くなよ?」
「サロ、分かってる」
「ソラの村はそのあとだ」
「はい」
「ソラ、今はお前が一番の戦力だ。死魔消滅頼むぞ」
「はい」
「精神力使い切って呪文使えなくてアンデッドに囲まれるという目には合うなよ。その時点で終わりだ」
そして人間族だけではこの作戦遂行は不可能である。
「カラロ」
「おうよ」
「空から指示を頼む」
「任せろ」
「これで以上だ。何もないな?」
「「はい」」
「じゃあ寝るか」
こうしてキラの村とソラの村の奪還作戦が始まった。