第九話
執務室でノックする音がする。
「サロ様」
「なんだ? ソラ」
「実は私呪術師ですが」
「そんなことは知っている」
「死霊系の魔物を消滅する魔法をやっと習得することに成功しました。結界石の聖属性付与も」
必死に地下で練習した成果が出たのだ。
「マジか!!」
「本当です」
「なので、鉱山の奪還、私にもやらせてください」
「トラの替わりにパーティーに入ります」
「でかした!! じゃあそうするか!!」
こうしてトラの替わりにソラが加わった。
「死魔消滅という魔法です。コアを瞬間で殺します。炎も火花も出ないので鉱山でも安心です」
「すばらしい」
「じゃあ、おまえら行くか、鉱山に!」
「「おお~!」」
◆◇◆◇
ソラの「死魔消滅」は絶大な効果であった。
こうして鉱山はサロ側に取り戻した。
家を建て直し、パイプラインの周りにも聖属性結界石に変えた。
もう骸骨兵も屍鬼もパイプラインに手出しできなくなった。
発電所から町の復興は始まった。
幸いにも魔王城に居た失業者の雇用の受け皿にもなった。
何よりガス代、水道代、電気代、保険料の収益がもどったことがうれしかった。
復興に半月もかかってしまった。
「これで復興と!」
サロは終了宣言を出す。
「ソラ、ありがとう」
「三光魔の故郷、取り戻す。お前の故郷もやられたんだろ。だから必死に術を習得するべく猛特訓してたんだろ」
「どうしてそれを」
「俺は城主だぞ。いろんな人からうわさは聞くよ」
「今度は俺が恩を返すから」
「ありがとう……」
「なんだよ、泣くなよ」
「泣くのは故郷を取り戻してからな!」
「はい!」
鉱山の町ミサラスはこうして奪還した。硬貨の供給も再び始まった。




