第七話
「ここが、ミサラス」
ゴーストタウンであった。オロは絶望的な光景を目の当たりにする。
「やべえ空気が伝わって来るぜ」
お前は魔王だろう。何言ってるんだという視線がサロに刺さる。
「どうも結界は何回も爆破して割ったみたいだね」
さすが呪術師……ってえ? 聖属性結界ってそんなに簡単に壊れるのか。
「簡単に壊れるものじゃねえんだがな」
(じゃあどうやって壊した?)
「それどころか……見ろよ」
なんと住人がアンデッド化していた。カラが指を指す。
「それと鉱山」
カラの指先には……いるねえ。呻き声が聞こえる。
「日光が当たらないから屍鬼の格好の住処になってる」
オロが指摘した。
「元・人間を殺すのね……それも二度と生き返れない方法で」
オロはやっぱり嫌だろう。そりゃそうだ。オロが面頬を付けると声も冷酷な声に変わった。
「それしかねえだろう。アンデッドだぞ。やむをえない。いくぞ!!」
サロが疾風の速さで駆け抜ける。
「獄焔呪!!」
サロは次々業火を骸骨に浴びせる!!
「焼けた家から屍鬼が!」
カラロが空から警告する。
屍鬼が炎を纏って逃げようとしている!
「しゃーねーな。リフォームしようぜ?」
町全体が炎になってる有様を見て嬉しそうに言うサロ。
「獄焔呪!!」
まだ残ってる家ごとサロは焼いた。
「奴ら、まだまだこんな数じゃないんだろ?」
サロは嬉しそうだ。
「そうよ、この時点で結界石を作っても内側に閉じ込めるだけ」
虎魔族の骸骨も居た。サロが命を与えたはずの魔族。
「悪りいな。永遠に眠れ」
サロの獄焔呪によってコアが砕かれる。亡者特有の断末魔が響く。
「鉱山はガスが充満してるか?」
サロが聞く。
「そうだ。獄焔呪を使ったらお前も死ぬぞ」
カラロが空から再び警告する。
「カラの爪で、坑道の外に持って行くしかねえな」
ダメに決まってる火花が散ったら爆発が起きる。サロが慌てて制止した。
「俺の出番だな」
カラは闇熊の爪を装着する。
「闇熊の爪よ、頼むぜ!!」
カラは自分が装着してる闇熊の爪をそっとなでた。
「ああ…‥日が暮れる」
オロは空を見上げる。死者の時間が到来する。
「野宿か……」
サロはまだ戦うつもりでいる。
「そりゃだめだな。鉱山から屍鬼が数の暴力で攻めて来るぞ」
カラロが言う。
オロが闇の面頬を外す。
「せめて燃やした町は聖属性の結界石を置いて失地回復ね」
そうだな、オロの言うとおりだ。
「それがいい。帰るぞ」
◆
サロの命令で四人は帰る。魔王城に着いた頃には深夜であった。
「だめだ、お風呂!!」
オロはまっしぐらに風呂場を目指す。そう、屍鬼の腐乱物の匂いが取れないのだ。
「次は朝一で行かないとダメですな」
カラは眠たそうだ。
「じゃなければ町にもう一回拠点を作るか」
サロが拠点を作ることを提案した。
「「それだ」」
「その前に俺たちも風呂にしようぜ。この匂いは耐えられない」
カラロの言う通りだ。こんなことが出来るのもガスが復旧したからだ。焔は偉大なり。この時焔の神はしみじみと思ったのだ。