第四話
冒険者はギルドに向かうとFランメダルを返しEランメダルをもらう。
クエストに成功したのだ。
依頼者が自分で依頼をこなした場合二割の報酬額がカットされたうえで依頼額がもどっていく仕組みになる。なので通常は依頼主が自分で請け負うなんてことはしないが、今回は国庫の事もある。やむをえなかった。
「次はヴォルドだ」
もうだいぶ寒くなっているので籠に乗って移動することが出来ない。地上から行くしかなかった。
ヴォルドに着くとどうも骸骨兵が復活することに悩んで結界の拡大ができないようだ。
サロたちは結界の拡大をした上に結界に聖属性付与を行った。
「これでヴォルドはもう大丈夫だ。さ、帰るぞ」
サロは終了宣言をする。
「お、この花は?」
と、その時風を切る音がした!
カルが倒れる。
「ヒット~!」
骨を揺らして笑う骸骨兵。なんと弓矢を装備していた! 土の中に隠れていたのだ。
「ソノドクハモウドク、タスカラナイ」
「何を!!」
サロは業火で骸骨兵を葬る。
「サロ、私はもう…‥だめ……です」
「そんなことない。今ヴォルドに帰って手当するからな! 先にヴォルドに戻るぞ」
そう言ってカルを抱えて高速浮遊術で帰るサロ。
しかし、治療のかいむなしく、翌日……。
四天王カルは息を引き取った。
泣き崩れるパーティー。
サロは「王城に帰る」と言ってそのまま高速浮遊術で亡骸となったカルを抱えて帰った。
王城では葬儀が行われた。
葬儀の時、髪を少しだけ切り取ってから埋葬する。埋葬物にはもらったばっかりのDランクメダルも一緒だ。髪の一部は持っていくようにとシュクラに言われた。
城下のかなりの者が泣いた。なにせカルが提案した国民皆保険制度で命を救われたものも多いからだ。
実は魔王と副官と残りの四天王にはもう一つの葬儀があるのだ。
転移魔法陣で地下の祭壇に向かう。四天王と同格の三光魔らも一緒だ。地下の祭壇は宝箱のある地下二階の隣にある。
◆
「マジか、本当にシュクラ、そんなこと言うのか?」
カラロは驚いた。
「本当です。四天王と副官と魔王のみ参加できるもう一つの葬儀でそのように言います。四天王と同格の身分の者は参列のみ許されます。一般国民には知らされない密儀です。知られたくないが正しいですが」
三光魔らはこの言葉を聞いて言葉を失った。
「残酷すぎる」
オロが戸惑った。
「でも、それが任務途中で命を落とした四天王への言葉なのです。四天王という身分はそれだけ重いのです。四天王は何百・何千という命を載せた重責な職なのです」
「わかった……」
サロが聖杯にカルの残りの髪を置き、呪文を唱える。
すると聖杯から光の粒子が出ていった。
「奴は四天王の中でも最弱」
熊魔族のカラが言う。
「骸骨兵ごときにやられるとはサロ四天王の面汚しよ」
鳥人族のカラロが言う。
「だがたった今、四天王の重責は解かれた」
人間族のオロが言う。闇の面頬から凍てつく声が発せられた。
「安らかに眠れ」
人間族のオロが締めくくった。
その言葉を聞くと光の粒子がふっと消えた。
「終わったぞ」
シュクラに向かって言う。
「サロ、新しい四天王を入れますか? 空席にしますか?」
「一年間空席にする。喪に服すようなもんだな」
「承知しました」
こうして四天王の座は一名分一年間の間空席となった。




