第三話
外に出るといかにも魔王城の背景にふさわしい光景になっていた。アンデットだらけであった。
「ほお、これが例の骸骨兵」
サロはある意味感心した。
「人の骸骨だけでなく当然動物の骸骨もいますね。というか動物出身の骸骨兵のほうが多い」
シュクラは手を焼いていた。
「まずは勇者のお手並み拝見だな」
「わかった」
そういうとトラは魔法を唱える。
「爆雷呪!!」
派手に爆発する。
「竜巻滅刃呪!!」
強力な爆発魔法と巨大な竜巻に風の刃が次々食らっていく骸骨兵。
「竜波斬!!」
なんと剣からも強力な風の刃出してくるではないか。骸骨兵は粉々になった。
(なるほど勇者は魔王の二倍の能力を持って魔王を退治しに来る。まさにその通り)
(だが、まだまだだぜ!)
粉々に砕けたはずの骸骨兵はどんどんくっついて蘇ってくる。さすがに鎧と兜は壊れたままだが。
「そんな」
「あの小さいコアを倒さないとダメなのさ」
掌に焔を載せるサロ。
「行くぞ!!」
焔が大きくなる。
「獄焔呪!!」
強力な焔のの柱が骸骨兵を襲う、そして……。
――ピキっ!
骸骨兵の胸にあった小さな紫色のコアが崩れ去る。
「高温でコアを焼かないとな。じゃ、次々倒すぜ!!」
こうしてサロは高速浮遊術で骸骨に近づいては骸骨兵が持つコアを獄焔呪で粉々にする!
「俺つええええええ!!!」
こうして広大な農地にいる骸骨兵はすべて除去した。
「すげえ! さすがサロ」
カラロが空からうきうき声で言う。
「この結界石、聖魔法も帯させたら、骸骨兵や屍鬼は何もできないのでは?」
カルは思わずそう思った。
「それだ! カル出来るか!」
サロは魔王だから聖魔法なんて唱えられない。人間のカルだから出来るのだ。
「やってみます」
カルが呪文を唱えると結界石は白い色を放ち始めた。
こうして農地が結界の内側になるようにした。
「ようし、この調子でヴォルドも救えそうだな。でもその前に城に戻るぞ」
「なんで? 疲れたの?」
オロがサロを心配する。
「いいから、黙って見てろ」
そしてサロらは魔王城に戻った。
着いたのはガス発電所。
「まだガス管直してないぞ」
カラロが突っ込む。
「それに夜は屍鬼が来る」
カルもそう思った。
「黙って見てろ」
係員を見つけた。
「係員、上下水道が使えないんだったな」
「ええ、電気でポンプが動くことをいまさら実感してます」
「補助電源じゃ全然足りねえって話だよな」
「はい」
「獄焔呪!!」
真水のタンクに向かって焔を出すサロ。
すると……。
蒸気でタービンが動いた。
「で、電気が!!」
「水道から水が出る!!」
係員らが狂喜乱舞する。
「今のうちにトイレの水を流しとけ。もって十分だな。係員、伝えておけ!」
「はっ!!」
こうしてサロは十分間とは言え、街の電気を復活させたのであった。