第十話
急いで鉱山のふもとの町に城壁を作る命令をサロは下した。
鉱員は魔法で採掘していた。ゆえに魔力の消耗が激しかった。だから稼働時間が少ないのだ。しかも採掘後には風呂に必ず入る。
「せっかくガスで電化生活してるのですから、なんとかならないものですかな」
シュクラが鉱員を見てどうにかならないものかと思ったのだ。
「鉄路を引けないか? 鉄路に鉱物を乗せるんだ。いちいち手で運ぶのはあほらしい」
カラが言った。
「それはいい」
鉄路の概念を教わるサロ。すごい。さすが自動織機を作ったカラ。
「車輪なんて鍛冶師なら容易に作れそう。鍛冶師もつれて来ましょう」
オロが提案する。賛成だ。
◆
鉱員の生活は大いに向上し、同時に砦も出来た。
「ここにも軍隊を置きましょう」
(オロ、お前すげえな)
「もちろん農業も、そして花などの園芸もね」
「そりゃいいや」
今日のオロは黒闇の鎧に黒闇の兜、黒闇の杖のみで黒闇の面頬は懐に仕舞い外している。非戦闘時に面頬を付けると威嚇になってしまうからだ。
「流通もどうにかするか。倉庫を作ろうぜ!」
さすが鳥人族のカラロ。そうか、空輸のためか。悪天候時は運べないしな。
「お、蝙蝠だ」
「サロ、ちょうどいいです。魔族にしましょう」
サロが力を籠めて蝙蝠に破を唱えると二匹の蝙蝠は羽魔族となった。
「鳥魔族以外の空部隊も作れそうだ」
シュクラも満足そうだ。
「主上、仰せのままに」
羽魔族がサロの前に跪く。
「サロ、では鉱山の町の名前をそろそろ……」
「そうだったシュクラ」
「ミサラス」
「どういう意味で?」
「『大地の祈り』という意味だ」
「仰せのままに」
今度のシュクラは優しい笑みとなった。ダジャレじゃないからかな?