第九話
「この鎧、盾、剣をもう一回地下二階のここに置く時が来ました」
シュクラが鍛冶屋に頼んで居た修復が完了したのだ。本当、攻撃時に奪われなくてよかった。そう、攻撃される直前にはほぼ修復が完了してたのでここを仮置き場に出来たのだ。そして最後の装飾品の修復も完成。勇者たちが来るまでここに保管となる。味方になった時に渡すものだ。
「これが、三代目勇者のために作られた武器と鎧と盾」
サロが見惚れる。
「なんて神々しいんだ」
カラロも輝きを見つめている。
「我々は魔族で闇や夜の力を得る武器や防具を作る方が得意ですが、こんなことも出来ます。我々は一回勇者と魔王が手を取り合って共に戦った過去があるんです。なお、錆びていたり劣化していた部分は修復しました」
「さすがシュクラ」
「世界の半分ではなく我々の世界を共有する、それが真の答えではないかと」
宝具を宝箱に仕舞う音がする。自動的に鍵がかかった。この箱はサロかシュクラしか開けられないよう特殊な呪文がかけられている。
「重要なのは勇者も生贄という事です。毒殺されたり闇討ちされる前に彼らを救わねばいけません」
「うーん、でもどうすれば」
サロはどうすればよいかわからない。
「人間がこの話を吹きこめばいんじゃない?」
「さすがオロ」
その黒い声で言われるとちょっと怖いが。
「ラジオでも流そっかなー」
「名案だ。カラロ」
サロはすぐにその案を採用した。
「なあ、この剣、鎧、盾に使われる材質はどっから取ったんだ?」
カラが問う。
「硬貨で使われる鉱山では別の金属も見つかります。それを使っています。ほら、私の鎧も」
そうだった。シュクラの鎧は白銀色の鎧だった。
「あ、忘れてた。鉱山のふもとの町を城塞化しないと」
「……」
シュクラは無言になった。
「町の名前すら付けてない」
「……」
オロも無言の抗議を示した。
「サロの次の仕事が決まったな」
カラロは羽を鳴らす。
「俺たちも行くか!」