第八話
草原でゆっくり馬と共に歩む勇者と呪術師。光に包まれた少年が現れたことで勇者と祝福したのだ。ロロが。そして村長の許諾を得て旅に出させたのだ。
「あなたの名前はロロなのですね」
「そうじゃ」
「冬は太陽も出ないという暗黒の地に魔王城があると」
「そうじゃ」
「ナキム=ハン国がやられたのも彼らの仕業」
「えっ?」
「それはけっこう大きな国では?」
「そうじゃ」
「魔王城に行くには連れが必要じゃの?」
「まあ……ね」
「じゃあ質問じゃ。連れはどう探す?」
「分からない……」
「そこのテントがあるじゃろ。そこの酒場に行くがよい」
「僕、まだお酒飲めないんですけど」
「大丈夫じゃ、牛乳でも」
「ここは……」
「ただの酒場じゃない。それによく見て見ろ。ナキム=ハン国の流れの者がいるだろ。あいつらを味方にするんじゃ」
「こんなひょろひょろの僕に?」
「よく見て見ろ。近い年齢の子がいるじゃろ。たぶん遊牧で爆発から逃れた子じゃろ。彼らを誘うんじゃよ」
「ぼく、弱いのに?」
「やれやれ。おまえ、勇者だぞ。強いはずだ。証拠見せてやる。外に行こうか」
ロロは勇者を外に連れ出した。
「そこの石を割ってみろ」
「できないよ」
「短刀で素振りするだけでよい」
素振りすると……なんと波動が出て岩を割った!
「すごい」
「こんなの序の口じゃよ。この力をあいつらに見せるんじゃよ」
ロロは酒場に戻り国と家と親を失った子二人を連れて来た。二人は半信半疑で外に出た。
「割ってみろ」
すると真っ二つに割れた岩がさらに割れた。
「「すごい」」
「すごいじゃろ」
すると呪術師は呪文を唱え、指から桃色の煙を吐いた。
「なんか、ねむけが…‥」
少年勇者の視界がぐにゃりと曲がる。
「なんだこれは」
もう一人の少年も倒れる。
「おじさん、なにを……」
簡易的な杖を持った少年呪術師も倒れた。
三人が倒れると自分の血肉を抉り、若者の体に埋め込ませた。
抉ったはずの場所はどんどん傷が癒えて無くなって行った。
「これでよい、屈強な戦士や呪術師となるであろう。期待しているぞ」
そう言って呪文を唱えるとすっと転移魔法で消えた。
数刻後、三人は起きた。
二人は体の異変に気が付き、素振りしてみた。
すると波動が生じた。
三人はお互いの顔を見た。
「「「すげー!!」」」