第五話
「これはひどい」
こうしてサロは初代魔王城の墓も整備した。遊牧民族による進撃で命を失った者に……新しい墓も整備する。
「実は初代魔王がそうなのですが……一度死んだ魔物を死霊系の魔物として生き返らせているんです」
「ええ?」
「もちろん、人間も。サロはやりますか? 二代目魔王は死霊系の魔物をかたくなに拒みました」
「僕も嫌だ」
即答だった。
「安らかに眠らせてあげたい」
「そうですか」
「個人的な意見ですが……私もその回答に正直ほっとしています。ちなみにほかの魔族も死霊術を覚えたら、どうします?」
「禁止する。重罪にするよ」
「では今のところ、知ってるのは私だけです。貴方を含めて死霊術は封印にしますね。私を見ればわかる通り魔物って実は死ぬのではなく依り代となる肉体が滅びるだけです。一定期間を過ぎると精霊体から元の魔族に戻れます。数十年かかりますが。でも死霊術で復活させられると、そしてその依り代となった骸骨や死体を破壊されると……永久に魂も復活できません。精霊体ごと死にます」
「そうなんだ」
「だから死霊術というのは魔族の間でも忌み嫌われる存在なんです。魂だけの存在になっても、精霊だけの存在に落ちても長生きしたいんです。やすらかに」
「分かったよ」
「それに人間を引き込む時に死霊とか居たら普通に引くからな」
「ごもっともです」




