第四話
鳥人族が遠くから攻撃魔法を放っている。
しかしそれはあくまで威嚇射撃である。
サロが空を飛んでやってきた。「闇緑の涙」と「黒闇のローブ」も装備済みだ。サロはより一層異形の姿となってた。
「ここか、やつらの本拠地は」
たくさんのテントが見えた。
「はい」
カラロが答えた。
「では……始めるか」
空にどんどん光の玉が出来る。どんどんサロの手から力が放たれていく!
光の玉は巨大になった。
「離れていろ!!」
鳥人族に命じる。鳥人族は一斉に魔王の後ろ側に引いた。
「ふん!」
光の玉を投げるサロ。
それは巨大な爆発魔法であった。
熱風であらゆるものが溶けていく。
「みんな無事か!」
「「はい、鳥人族は無事です」」
何百もあったテントはなく、ただのクレーターが出来ていた。
「我々の地を攻撃し、犯した罪よ」
勝利の笑みを浮かべるサロ。
「む?」
サロの体に異変が起きた。
「うん!?」
なんとサロの体が光っている!!
「なんだこれは!!」
その光はどんどん輝きを増しサロの体が見えなくなった。
そしてその光の玉がサロの体から抜け別の方向に行った。
「大丈夫ですか、魔王様」
カラロが駆け付けた。
「ああ、あれはいったい」
「とりあえず帰りましょう。魔王様の体が心配です」
サロもカラロ率いる鳥人族も魔王城に戻る。魔王城は再建中であった。
シュクラにこの顛末を伝える。
「ばかな!? 防衛戦なのに、しかも人間にこれだけ恩恵を与えたというのに勇者が誕生しただと!?」
「「ええ?」」
四天王一同が驚く。
「サロ、それは勇者の玉。魔王の力が分離して十歳の人間の子供に勇者として力を与える行為です。そして、勇者は魔王の倍の力を持っています」
「なんだって!?」
悔しさのあまりサロは魔王城の壁に拳を打ちつける。壁にヒビが入った。
◇◆◇◆
事の顛末を水晶で見ている者がいた。
「それでこそ魔王。勇者の誕生じゃ……それでは勇者が現れた村に行くとするか」
ロロの計画通りに事が進む。
「ふふふ、くくく、ふふくくく」




