第十三話
謁見室でサロが命を下す。
「熊魔族のカラ」
「はい」
「鳥人族のカラロ」
「はい」
「人間族のカル」
「はい」
「人間族のオロ」
「はい」
「四天王はこの城がいざ攻められた時……守るために地下の守備位置が決められている」
「「はい」」
「カラは地下二階の大広間」
なお地下一階は金庫室に一般住民を入れるためわざと配置しない。そこに四天王が居たら金以外の大事なものを隠してると敵にばらすようなもんだ。
「カラロは地下三階の大広間」
ここで食い止めないと勝っても負けも同然となる。
「カルは地下四階に通じる階段の手前」
ここまで敵が来たら最終決戦は事実上確定だ。
「オロは地下四階の大広間だ。オロは真の玉座の手前の大広間で戦うことになる。だけど無理しなくていい。場合によってはサロや私と共に戦ってもよい」
幼馴染を玉座の手前の部屋で死なせたくない。
「そして四天王と副官と魔王のみ通常時でも地下四階の謁見室に行くことができる」
そう、特権である。
「密談は特に地下四階の謁見室で行う。今地下四階の謁見室に通じる魔法陣を開通した。謁見室の後ろの部屋に作った。非常時はこの魔法陣の機能を停止させる。転移魔法陣は四天王と副官と魔王しか機能しない」
なんと静脈を読み取って本人かどうかを確認することが出来るのだそうだ。シュクラの魔法知識に改めて畏怖する。もちろん転移を認めてないものが魔法陣の上に立っても発動できない。
「シュクラすごい」
褒めても無言だった。なんか怖い。余計にサロは畏怖を感じた。
「じゃこちらに」
するとシュクラの姿が魔法陣の上に乗ると瞬時に消えた。他の四人も早速魔法陣の上に載って瞬時に移動した。やって来たのは地下四階にある真の謁見室の後ろの部屋。部屋を出るとそこは真の謁見室。だが人間には闇一色で何も見えない。サロの紅色の目とシュクラの蒼色の目が光っていることが見えるだけ。
「四天王はこの地下がちゃんと機能するように金庫としても使っている地下一階の金庫室以外も定期的に修繕したりする義務がある」
(シュクラ……仕事しろよってことだよな、その目)
「ここは本来灯りをつけなくてもいいことになってるが人間族は夜や闇になると何も見えなくなるので灯りを付ける」
ボッという音と共に灯りがついた。石造りの殺風景な玉座だ。玉座も石で出来ている。玉座の後ろには魔石がちりばめられていた。増幅魔法と同等の効果がある。
「さ、サロ。玉座に座ってください」
サロは玉座に座った。
「ここが真の魔王の玉座なり」
サロが言うと五人は跪く
「四天王よ、この城で気が付いたことを言ってほしい」
「城よね? お堀が必要だわ」
オロが言った。
「おお、いい提案だ。早速作ろう」
「跳ね橋も必要だな」
羽を鳴らしながらカラロが答えた。
「もっとも」
サロが賛成した。
「いざという時、私は戦闘能力が低い。武器防具は一流のものがほしい」
カルは戦闘がもっとも不安だった。無理もないが。
「もちろんだ。もちろん人間族には呪いなどの類のない装備にするぞ」
シュクラが即答した。
「この四天王と副官と魔王の会合ってどのくらいの頻度でやるんです?」
カラロが聞いた。
「月一回だな。あとは俺が『緊急で開く』と言ったとき」
緊急会合はここになる。サロの号令で来るのだ。
「ほかに無いか?…………無さそうだな」
シュクラが確認する。
「じゃあみんな、守備位置を確認しようか。帰りは階段で帰るよ」
こうして四天王が本格始動した。
堀も作られ跳ね橋も作られた。
しかし彼らはまだこの時は知らない。
南の方から大軍が攻めて来ようとしていることに。
<第二章 終>




