第十二話
光が支配する時間が長くなる。まもなく白夜の世になる。そんな光輝く世にふさわしいモデルハウスから発展したニュータウンがどうなっているのかもサロは気になった。
そして、あのメイドのエステルも……。
サロとシュクラはニュータウンに到着した。ニュータウンはきれいに整備されていた。別邸の魔王城とは異なる光景だった。
二十戸あった。エステルもニュータウンに住んでいた。エステルの門戸を叩くとエエステルが出て来た。エステルがさっそく案内する。
そんなときであった。
「魔王様」
「オロ」
「知合いですか?」
シュクラが念のために聞く。
「幼馴染だよ」
一年ぶりの再開であった。
「ごめん、ぼく、こんな姿になっちゃった」
サロが尾を揺らす。
「いいのよ。だってそのおかげでこんな最適な生活できるんだし」
「この娘さん凄いんですよ。自治会を作ったのです」
エステルが誇らしげに言う。
「へえ、自治会」
「ゴミの集積場にゴミ拾いなどですね。公園も作ってます。さらにゴミ焼却施設に木炭工場に木炭発電所も設置しました」
「へ?」
サロはびっくりした。
「え?」
シュクラも一瞬何言ってるか分からなかった。
「だって、ガスだけじゃ怖いでしょ、サロ君。だからバックアップになるものも必要だと思って」
なんとこの街は木炭ガスでも発電をしていた。
「すごい……そっか。ガス管をやられたときの補助電源なのか」
「そうだよ、サロ。いつも大事なもの忘れてるんだから」
「うん」
――こりゃ四天王決定だな、シュクラ
――そうですね、これ大物ですよ
咳をしてあたらめてオロに向かってサロが言う。
「オロ、君を四天王に迎えたい」
「えっ?」
「魔王城にあるようでなかったんだ。焼却場はともかく」
焼却場では有毒ガスが発生する。でも木炭ではそういうのは発生しない。
「木炭発電所は自治会費にもなるからゴミ捨ては無料なんですよ」
エステルの発言はもっと衝撃だった。つまりゴミの収集料金無料ということである。財政が大幅に浮くではないか。
「しかも木炭なんて暖炉と消臭用途以外のものを思いつかなかったよ」
「サロ、私人間よ。四天王って言われても……。それに私は弱いし」
「大丈夫。もう人間族の四天王がいるくらいなんだ。幼馴染ならサロの長所も短所も知ってるはず」
シュクラはサロの孤独な点も心配しての四天王推薦であった。
「もちろん、この家は魔王城がいったん買い上げて別の誰かに売るよ。買ったときの値段で」
サロはもちろん経済保障するつもりでいた。
「私、行く! 私、ここつまらないって思ってたの」
「決定だな! じゃあよいしょっと」
「サロ君!?」
「君は空飛べないでしょ。しっかりつかまってろよ」
こうして二人は空を飛んで魔王城に戻って行った。




