第七話
――水晶玉を箱に埋め込んで
鳥人族がなにやら指示する。
――で……人間の皆様、演奏して
人間らは馬頭琴などを奏でる。
「「なんて美しい音色なんだ」」
その音は遠くまで聞こえている。魔王城に居る者は驚愕する。別室に居るものまで同じ音が聞こえる。
――魔王城にちゃんと聞こえてるか?
「聞こえてるぞ。すげえ」
――俺たち鳥人族は仲間とのやり取りで小さい水晶玉を使うからな
――このようにペンダントにして
――で、この水晶を片方向ににしか音声を流さないようにすれば
――こんな娯楽の出来上がり
「すごいよ」
――空に住む者の知恵さ
「何やってるのかね、騒がしい」
「シュクラ様、これを聞いてください」
衛兵が音楽をシュクラに聞かせる。
「なんと美しい」
「はるか遠くの魔王別邸から音楽を流してるんです。一斉に……同じ音を」
「これが人間の音楽か。そうだったな」
音楽が終わった。拍手で沸いた。
――いかがですか? 聴衆のみなさん!
「あいつの名前は何というんだ?」
「鳥人族のカラロと言うそうです」
「じゃあ後日、サロと一緒に別邸に行こうかな」
◆◇◆◇
翌日……別邸の謁見室で驚愕の声が響く。
「ええ!? おいらが四天王!?」
羽をばさばさ鳴らしなら騒ぐカラロ。
「騒ぐなって。で、この片方水晶、なんて名前付けよう?」
サロは少し呆れた。
「おいらたちはラジオと呼んでます」
「じゃそう呼ぶか」
「で、人間の雇用の受け皿にするにはいいが、どうやって運営を維持しようか」
シュクラはやはり財政を気にしていた。
「有料放送じゃ人間の困窮度を考えると」
シュクラは高級品になると考えてるようだ。
「宿屋とか鍛冶屋の宣伝に使えないかな? 宣伝費をもらう。本体価格は魔法と魔石だからそれほど高くはないはずだ。問題は放送価格だ。放送時間も朝-昼と昼-夜に分ける」
「それはいいですね」
シュクラも納得した。放送料無料。これだ!
「じゃあ、放送局は魔王城でやってもらうね。で、今日から四天王としてよろしくね」
(俺でいいの!?)
こうしてカラロは四天王になった。
放送局は四階に置かれた。時折鳥人は空を飛ぶのでなるべく高い階を希望したからだ。