第六話
「いよいよですね」
シュクラが言う。
「いよいよだね」
サロも言う。
いよいよ羽妖精に夢を見させて一人、一人モデルハウスに誘導させるのである。
万が一エステルに被害が及ばないよう、いつでも逃げる指示が出来るよう水晶を持たせた。
<こうして人間たちに夢を見させた>
◆◇◆◇
モデルハウスは絶好調であった。
「よし、次はいよいよ元魔王亭だ。みんな丁重に人間を迎え入れてくれよ」
「「はい」」
モデルハウスのキャパは小さくなったので、いよいよ元第二魔王城と城下町を見せた。
人間はあっけにとられるもの、感動する者、そして「商売」を申し出る者……さまざまであった。
「大成功だぜ」
モデルハウスの周りも宅地分譲を始めた。
支払いは分割でもいいとした。万が一支払いが止まったら追い出されるのだが。それだとホームレスになるので公営住宅も用意した。公営住宅はタダだ。狭いが。
人間の仕事も確保する必要が出てきた。
幸い電気もある。農産品を買うことにした。
こうして魔王城にはどんどん収入が入って行った。
「農業や漁業以外にも人間の仕事を作る必要があるな」
サロは職の受け皿を心配した。
「魔王様、麻はいかがでしょう?」
兵士である熊人が提案して来た。
「麻か」
「温室でも育ちます。服を作るのです。織機で」
織物を売るのか……。
「それはいい、自動織機って作れるか? 電気の力で」
「足を踏んで動かすだけですからそれは容易かと」
「素晴らしい、お前の名前は何という」
「熊魔族のカラと申します」
「今日からお前は四天王だ!」
「ええ!」
「なんだ、不満か?」
「いいえ、魔王様。あまりの感動で手が震えてます」
「そうか、期待してるぞ」
――誰か助けて~
「なんか言ったか?」
「い、いえ!」
「それでは四天王の部屋を紹介する」
その時シュクラがやって来た。
「シュクラ! 紹介するよ。新しい四天王だ」
「おお! この方が四天王第一号」
「熊魔族のカラと申します」
「では四天王の部屋に案内しようか」
こうしてカラは一般兵士の部屋から四天王の部屋に移った。
机もあり椅子もあった。ベッドもあり専用の個室もあった。トイレも付いていた。




