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魔王の仮面  作者: らんた
第二章 魔王ライフってもしかして快適?
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第四話

 初代魔王城の復興に取り掛かった。名前はもちろんサロ城。


 精霊も次々具現化し魔族に姿を変えた。もちろん動物も。特に今まで魔族にしてなかった鳥魔族を誕生させた。


 吹雪の日は二代目魔王城に身を寄せた。


 やがて地下室部分を復元化することで二代目魔王城に身を寄せる必要が無くなった。


 「すごい……謁見室の玉座の後ろに階段があるなんて」


 謁見室の玉座の後ろに箱がある。その箱を開けてレバーを引くと玉座が動くようになっているのだ。決して逃げ場ではない。地下が最終決戦の場なのだ。


 「敵が攻めてきたら、ここに身を寄せるのです」


 数の力でどんどん魔王城が復元されていく。


 一階は食堂、トイレ、風呂場、謁見室、鍛錬場、宿屋、道具屋、鍛冶屋、温室などとなった。別邸から持ってきた「闇緑の涙」と「黒闇のローブ」を置く特別保管室も地上にある。


 二階は四天王と副官と魔王の居室となった。四天王の部屋はまだ空室だ。二階のトイレは居室ごとに設けられている。


 三階以上は一般兵の居室だった。最上階は五階となった。


 発電所も上下水道も復活させた。


 地下一階からは迷路になっていた。地下一階は国庫を収める金庫もあった。


 そして……。


「あったぞ、勇者のために作った武器と防具!」


 爆発の余波が及ばない地下三階を経由して地下二階の宝箱に武器と防具は収められていた。シュクラは封印を解いた。


「これは大事にここに置いておきましょう。勇者が来たら渡すのです」


 電気床や毒床などの跡地もあった。


「使いたくないものですな」


 シュクラが見上げる。だが機能を復活させねばならない。


 「うん」


 そして地下四階……。


 魔王の真の玉座があった。


 「ここも電気通るんだね」


 「そうです」


 シュクラが電気をつける。魔族は闇でも目が利くが人間はそうじゃない。


 「ここまで勇者に踏み込まれる事態にならないようにしなければなりません」


 「地下四階だけ空洞みたいに広いね」


 「そりゃそうです。サロが第二形態・第三形態になっても城を壊さないように出来てます……サロが命じれば私がオーガになった時の第二形態でも耐えうるように出来てます」


 「そんなに大きいのか。俺の真の姿」


 「ええ」


 シュクラが左手を差し出す。


 「それとこちらもご覧ください。もう一つ大事な施設がございます」


 二人の靴音が地下ダンジョンに響く。たどり付いた先は前の城にあったものと同様の石戸だ。


 (もしかして……)


 重々しい扉の音がする。


 「ここは……」


 「生贄の祭壇です」


 (やはり……)


 「これが心臓を置く祭壇、これが腸を置く聖杯です。万が一人間に攻められたとき、魔王は人間を喰って魔力を増大させ反撃に出ます。サロの場合一人分を喰っただけでそこらの村や町を軽く消し飛べる力を持てます。ちなみに私も前にお話した通り初代魔王の副官時代に数十人の人間を生贄として喰って進化し、オーガとなりました。オーガは私が第二形態になる場合の本性の姿となります」


「あまり喰いたくはねえな。自分は元人間だしな」


 「それでは守れるものも守れなくなります。人間を守るために人間を喰う時が来る可能性があります。どうか『魔王になった』という覚悟をお持ちください」


 「そっか……そうだよな」


 「生贄は燃やした後、この引き出しを開けて入れます」


 引き出しの音も重苦しい音だった。人の命の重さを具現化している。


 「これですべてです。戻りましょうか。それと定期的に地下の玉座は整備してください。密談の時にも使えます」


 「帰るの、めんどくさい」


 「迷路ですからね」


 こうして初代魔王城は復活した。


 第二魔王城は「城」とはとても呼べない規模なので魔王の別邸となった。


 別邸もいずれ巨大なモデルルームにする予定である。


 勿論最後に定礎ていそを本丸の入り口に入れる。


 古い定礎は地下二階に置くこととなった。


 「実はもう一つお見せしたいものがございます。それでは地上に一旦出ます」


 二人が謁見室に戻るとサロは玉座の後ろにあるレバーを引くと玉座が元の位置に戻る。しかも後ろの箱は箱とみえないように工夫までなされていた。

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