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【エタってないんだからね!筆力向上修行中】屑星だって生きている~誰か教えて!ユニークスキル【editor】の使い方~  作者: Darjack


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70話 崖の上でポニョ?

 結局、里への上り道の途中で忍者部隊に追い付かれてしまった。


 道中【大躯(おぉく)】戦やら秘密の扉発見やらを隊長さんに伝えるとあきれられたり感心されたり。


 美都莉愛(びっとりあ)が任務中限定ではあるけれどスマホ…魔導小板の貸与を伝えると驚いた表情で、それでも深く感謝の意を表し二台の魔導小板を押し頂いていた。

 ボクたちの新装備を見て何か言ってくるかとも思ったけれどそういった詮索は全くしてこなかった。多分色々想像はしているのだろうけど「秘密の扉の内部についての詳細は家令様と相談してから公表検討」の一言で察してくれたみたいだ。


 忍者部隊の方は今日はめぼしい成果は上がらなかったものの、部隊のうち半数を森の中で野営させ朝一から捜索を再開、今夜里に上がって来た残りの半数と明日から交代で広範囲捜索を行うという。

 二つに分けた部隊が連絡を取りあえ美都莉愛(びっとりあ)とも直に相談できる状況というのはやはり任務達成に大いに助力となるという話だった。


 秘密の扉発見の報と証拠品を家令様へ届けるのも請け負ってくれた、任務期間中は男爵家館と忘魔の里の間を毎日早馬伝令を往復させているそうで、明日朝その便に載せてやれば明後日中には家令様へと届く目算とのこと。流石やることに卒がありません。


 スマホのおかげで明日からは崖を降りなくても済むことになって正直ホッと一息つけた。

 安心して一風呂浴びたい所だけど水や燃料が貴重な山頂の里である、昨夜は桶一杯のお湯を貰って手拭いで体を拭いただけなので今日は水浴び場へ案内してもらった。一日歩いたり【大躯(おぉく)】と戦ったり流石に身体の臭いが気になる。


 もうボク専用案内係と化している(さい)に先導されて里の端の崖の先に現れた岩場の一角。里で唯一の水浴び場の中で、貸り物の甚兵衛を脱ぐ。


 青天井の水浴び場に脱衣室なんて優雅なものがあるはずもなく、里中へ続く道側に視線を遮る衝立が突っ立っているだけだ、その衝立に着替えを引っ掛けて置けば水浴中の合図ということ、勿論男女の区別なんて無い。

 美都莉愛(びっとりあ)達の次にボクがサッサと入らないと忍者の皆様ひいては里の皆様にご迷惑がかかる。

 竹の樋からチョロチョロと水が流れ落ちている大きな水桶から陽の光を浴びてか微妙に温まった生冷っこい水を手桶に汲み石鹸を使って身体を擦る。

 擦りながら目下遙かに広がる魔物の森の雄大な風景に目を馳せる。

 大空の下、大自然の真っ只中でフル○ンで風呂椅子にドッカと腰掛けて居ると遥か昔、まだ人類が衣服を身につける前の野生が蘇って来るような気分になってくる。


諏訪久(すぽぅく)!背中流してあげるねっ!」


 え゛?


 背中に何やら柔らかくてポニョっとしたものが張り付いてきた。


 あ、あばばばばば!


「さ!(さい)!なんで裸!」張り付いてきたのはすっぽっぽんの(さい)だった。里に帰ったんじゃなかったのか!


「え?お父さんと水浴びる時裸だよ?諏訪久(すぽぅく)だって裸だし?」


 うわぁああああ前へ来なくていいからっ!ぼくは慌てて手拭いを広げ隠すべきものを隠すとぎゅっと目をつぶった。


「駄目だよ(さい)、家族はいいけど他の男の人と裸で水浴びなんかしたら駄目なんだよ!」


 ごしごしと水に浸した手拭いでボクの背中を擦りながら(さい)は言う


「えーいつも学校の子たちと入ってるよ男の子も一緒だよ?」


「こっ、子供同士はいいの!」


 まったくぅ貞操観念というものがだねぇ、チミチミィ。


諏訪久(すぽぅく)だって子供じゃん!」ぎゃふん。



 貴重な水を無駄にしないよう少しずつ頭に水を掛けながら無患子(むくろじ)の実を割って取り出したシャボンの元を絡めながらで優しく揉み洗い。


「…上手いなぁ(さい)。凄く気持ちいいよ」

 頭皮マッサージ、将来の為にボクも気を配ろう。一通り洗ってもらった後…前は自分で洗いましたよ?


「今度は(さい)の番!」


 スルリとボクの前に滑り込みすっぽりと胡座の中に収まる(さい)


 違っ!手拭いあるから!直じゃないから!


 流石に(さい)も前は自分で洗っているけど、かなり重大な判断をしなければならなくなってしまった。


「さ、(さい)。やんごとなき事情があってボクの手拭いは外せないんだ、前が終わったら手拭いを貸してもらえる?」


「いいよー、先に頭洗って」


 ふぅ、目標達成(みっしょんくりあ)。駄目って言われたら素手で?…とか考えてしまった。


 移動の為(さい)を両手で抱え上げ「た、立つよ」


 あっ…違うからっ。


 立ち上がり(さい)をボクの座っていた木製の風呂椅子に代わりに腰掛けさせる。

 手桶に水を汲み無患子(むくろじ)を割って(さい)の後に座り先程(さい)にやってもらった頭皮マッサージを思い出しながらお返しする。


 妹もこれくらいの歳の頃までは一緒に風呂に入って頭洗ってやったっけ。

 何となく思い出しながら頭を優しく揉み洗っていると


「お尻固いの当たって痛い!」(さい)はくるりと身体を回転させストンとボクの股間に跨って来た。


 ぐわああああああ!


 かたっ!かたっ 固いのは椅子ですよ!そこんところ間違えないで!そこ重要!



 人生に置いて最悪の事態というものは最悪の時機とともに訪れるものだ───羽生そよぎ&イナヅマ



諏訪久(すぽぅく)、今日は水浴びてるのね、背中流そう…か…」


 浴衣の袖をたすき掛け、裾を端折って鉢巻を巻いた美都莉愛(びっとりあ)は目隠しの衝立を突き飛ばす勢いで水浴び場へ飛び込んで来てそのままの姿で凍り付いた。


 泡だらけの全裸少女が同じく泡だらけの全裸男子の股の上に向かい合いで座っている。

 


 目が合った。


「ちゃうねん…」


 固まったまま顔色が白くなって行く美都莉愛(びっとりあ)とボク。


 衝立の後ろからゆらりと現れた莉夢(りむ)美都莉愛(びっとりあ)を見。

 続けてボクの方を見。状況を把握したのか。

 瞬間頬の筋肉がピクピクと動き。


「お嬢様〜莉夢(りむ)さ〜ん」ニコニコ笑いながら片手を挙げ手を振る(さい)


 フッと相好を崩すと


「恐ろしい()…」


 一言呟き、美都莉愛(びっとりあ)を引っ張りながら離脱(ふぇぇどあうと)していった。


 遠くから


「ネトリ…」とか「ウワキ」とか美都莉愛(びっとりあ)の恐ろしい声が空耳している。

 空耳であってくれ。アビラウンケンソワカ。静まり給え、救い給え。


 ◇


 里長の屋敷で晩御飯をいただいているときも上座に座った美都莉愛(びっとりあ)は里長とは饒舌に世間話など話して微笑んでいるもののボクとは一度も目を合わせない。


 (さい)はボクの横に控え何かと甲斐甲斐しく気を使ってくれている、ご飯も山盛りに盛ってくれる。砂を噛んている様な気分だけど食べて力を付けないと明日持たない。無理矢理にでも食う。


 身支度を済ませ寝所として借りている部屋、勿論ボクは一人部屋だけど…に向かうと女将(おかみ)さん(と皆が呼んで居る里長の息子さんの奥さん)が布団を敷いてくれていた。


 二人分。


「ああ諏訪久(すぽぅく)さん、(さい)が夜伽に来るので優しくしてあげて下さいね」


 おイィ!倫理とか無いの?!この里。


 ボクが慌ててアワアワしていると。


 一頻り(ひとしきり)柔らかく笑ったあと。

「まさか!諏訪久(すぽぅく)さんなら大丈夫だって判ってますから、あの娘今家で弟が熱を出していてねぇ母親がつきっきりなもんですからウチで面倒見てるんですよぅ。

 あの娘の肌の色がアレでしょう?学校でも寂しい想いもしてるみたいでねぇ…町から来たお兄ちゃんにお・も・て・な・しするんだって張り切ってましたから、寝物語で町の話でもかせてあげてくださいなぁ」


「はぁ…」そう言われると無下にも断れない。


「誰か里から男爵様のお身内に愛妾(おめかけ)さんにでも入って貰えるとイザというとき頼れて有り難いんですけどねぇ…その時は母親を説得しますから、私に言ってくださいな」


女将(おかみ)さん!」困るンデスそう言うの〜。


 アハアハと笑いながら部屋を出る女将(おかみ)さんとすれ違いに(さい)が寝巻姿で入ってきた。

「がんばんな!」

 女将(おかみ)さんは(さい)の背中をぱんと軽く叩いた。


「はい!女将(おかみ)さん」元気にお返事。


 意味判ってないよね〜(さい)〜。


 ◇


諏訪久(すぽぅく)さん、さらばです」


仁芙瑠(にっぷる)!」


 叫んだ所で目が覚めた。


 (さい)にせがまれて町の学校の話や妹や九厘(くりん)達、仁芙瑠(にっぷる)の話を聞かせているうちに寝入ってしまったみたいだ。

 枕元に置いたスマホは薄い光で優しく室内を照らし出している、【照明(らいと)】の魔法が標準あぷりで入っているのは有り難かった、調光もできるすぐれものだ。


 腕の中でスヤスヤ眠っている彩の額にかかった髪の毛を揃え、なでる。


 最初は足が冷たいとボクの膝の間に足を突っ込んでいた(さい)だけど流石に子供なだけあって体温が高い、今は少し寝汗をかいている。


 そぉっと身体を引き剥がし、襖側の布団に潜り込む。


 ひんやりした布団に適度に体温を持っていかれて丁度いい加減だ。


 襖を背に無邪気な(さい)の寝顔を眺めているうちにウトウトしてきた。




 ──ぎぃ


 廊下の床板が鳴いた。



 ──ぎぃ



 また、鳴いた。


 ───ぎぃ


 …だんだん近づいてくる廊下の音。



 すぅうと背後の襖が開く気配。


 ひぃぃい…何?!

 脂汗が湧き出す。

 心臓が早鐘を打つ。


 すぅと布団の下から冷気が入ってくる。襖から部屋の中に入り込んだ何者かが布団を捲り進入しようとしている?!これ…夜這い?夜這いか?普通女性の所へ夜這うモノじゃないのか。ドキドキムネムネ。


 でも、入ってきたときの息遣いと布団に潜り込んだときの香りと仕草で誰だか判ってしまった。


 すん、くすん。


 …泣いてる? 


 ぐしゅ。

 鼻かもうよ。


 おでこをボクの背中に埋めるお嬢様…美都莉愛(びっとりあ)


「ぐしゅ、なんでこんなのに嫉妬してんのよ私は」

 こんなの、言うなし。


 やがて上半身を起き上げたかと思いきや後ろからやおらボクを抱きしめた。


 鼓動(むね)が高鳴る。意識してゆっくりと呼吸しないと…ばれる?


 吐息が耳元で囁く。


「愛人は一人だけにしてね」


 うぉおおおい!


 なんじゃこりゃああああ。


 ボクは背中を抱きしめられたまま、ぐるぐる回る頭を抱え。いつしか知らぬ間に眠りに落ちて居た。

お楽しみ入浴回でした。



もげろ。

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