69話 開運!
『ここは物資庫と言うより魔導騎の修理房だなもう少し早目に見つかっていれば…』
『羽生さん知らなかったんだね』
『多分僕がイナヅマに統合された後に出来た施設だと思う、イナヅマのデータにも入ってなかったから魔王大戦終結のかなり後のものだよね』
『てことは…』
『魔王再出現に備えた前線基地で間違いないだろうなぁ』
羽生さんの案内で比較的入口の近くにあるお宝が期待できそうな倉庫らしき部屋にやってきた、短時間で秘密の扉発見の証拠を入手したいと言う…ビッ、美都莉愛の要望に叶う形だ
…はい、そのとおりでございます。
形の上とはいえ許嫁の関係なのだから身内だけのときは名前で呼べとのおじょ…ビッ、美都莉愛のご指示です。は、恥ずかしい。
この施設の案内ができると知られる前に言われていたならもうちょっと喜べたんだけどなぁ…。親密になれるのは嬉しいのだけれどちょっと打算的なものがチラチラしてしまう?。
汚れつちまつた悲しみに。
羽生さんに言われるがままに一見ただの壁面に描いてある模様に触れると。
「ふわああああああああ!」
お嬢様の歓喜を含んだ悲鳴が響いた。
「な!何台あるの!魔導書板!小板も!」
シュウと軽い空気音とともに上にズレた一部の壁面。その裏の棚一面に並ぶ書版に小板、各々ざっと百はくだらない、金貨にして二百枚✕百台+百枚✕百台。
合わせて金貨三万枚。木ノ楊出流領年間予算の三分の一位かしら。
実際これだけの台数が一気に出回れば値崩れするだろうからそこまで行かないにしろ一財産であることは間違い無い。
そうだねぇ、魔導小板が十台もあれば贅沢しなければ死ぬ迄働からなくてもいい位の価値かな?
領軍の演習場程もの広さのあるこの格納庫、それも忘魔の山の地下施設の極一部しかも最初に開けた棚だけでこれ下手をすればこの地下施設全体で国家予算規模のお宝が眠っているかも知れない、
けれど、対魔王用にと残されたこの遺産、売ったりしたら絶対ヤバいよね。
魔導小板は分かりやすいおみや…ゲフンゲフン、証拠品として持っていく事に即決定した。
『皆一台づつ持っていくといい、近距離なら直接通話も可能だ』
意味がわからなったので羽生さんの伝える手順通りに試してみた。
二台の魔導小板に魔力充填。
二台それぞれに割り当てられた”あいでぃ”を相互に相手先に登録。
片方の魔導小板に表示された相手の”あいでぃ”にふれると
RuRaRa...RuRaRa....
美都莉愛の魔導小板が震え、軽やかな音で音楽を奏でだした!
美都莉愛の魔導小板に浮かび上がったボクの魔導小板の番号に触れてもらう。
「あー、諏訪久です聞こえますか?」
!
魔導小板を持った美都莉愛の目が驚愕の色に染まった
「魔導小板から諏訪久の声が聞こえる…」
「ボクの魔導小板からも美都莉愛の声が聞こえるよ」
ボク一人で一度部屋の外へ出て再度試してみたけどそこでも通話は可能だった。魔導小板にこんな使い方があったなんて…。
『エーテル振動波通信を使っているから見通しに関係なく繋がる、今は中継局が稼働していないので通話距離は半里(約1km)が良いところだろうけど、それでも君たちにとってはかなりのアドバンテージだろう?千年前はスマートフォン、略してスマホって呼んでたんだんだケドね。王都や地方主要都市では今でもこの機能を使ってるらしいしこれぐらいの機能なら教えてもイナヅマから怒られないだろう』
王都とか言っても王城とか県城とか限定の話じゃないかなぁこんなん広まったら伝令も早馬も要らなくなっちゃうよ!
とりあえず美都莉愛と莉夢とボクで一台ずつ、忍者軍団へ任務中貸出用に二つ、家令様に送る報告用証拠品として一つ、合わせて六つ持っていくことに決めた。金貨六百枚也。
無断使用で怒られて取り上げられるかもだけど今回の任務中だけでも使えれば御の字だし、里から降りなくても山裾の忍者軍団と会話できるというだけでかなり助かる、作戦の幅も自由度も広がる、あの崖を降りなくて済むし。
他、羽生さんにお勧め品を伺ってみた。
『汎用性から言えば、まずはアンダーアーマーだろうなぁ。君たちにわかりやすく言うと鎧下(着)。ドライクリーニングOK、手揉み洗い推奨だけどね、あとはやはり防具だな、慣れていない武器は今はよろしくない』
なるほどそれなら今着ているものを脱いで交換していけば余分な荷物にならない。
『君は是非これを装備してくれ』
羽生さんの指示で開いた壁の一角で、はい!でました。
「ふおおおおおお!」
美都莉愛の絶叫再び。
ズラリと数十体鎮座在する、魔導軽鎧の大群!
魔道騎様支援用として随伴歩兵が着用する鎧で木ノ楊出流領には三十領もないんじゃないかしら?領軍の部隊長級の方が一朝有事の際に装備して出陣する奴です。
兜、胴丸、小手、脛当、その他、具足一式でお値段一領あたり金貨八百から千枚。それがざっと三十領。
はい、魔導書板・小板と合わせて木ノ楊出流年間予算の三分の二到達です、ありがとうございます。
『無理だよー金貨千枚の鎧なんて着られないよ』
『そうか?なら頭部防具だけでも持って行ってくれ、スマホとリンクして無手で私とも会話できる、各種知覚系強化機能もバッチグーだ』…捜索系が向上すると確かに助かる、でも…。
『今でも無手で会話できてるけど?』
『すまないね、この施設は早いうちに制あ…解析しておいたほうが良い、この後時間をかけて総括指令系統をハッキン…調査する必要があるんで暫く君たちとは別行動になる。いちいちスマホを操作して会話していたらいろいろ不自然だろう?大変だとは思うが頑張ってくれ』
「えええええ!」
「どうしたの?諏訪久」キョトンとした顔の美都莉愛
「いえ、なんでもありません、おじょ…美都莉愛…この兜も借りていきましょう色々便利なようなので」
『おお、在庫目録に君の妻(仮)にピッタリの贈り物がある、あちらの壁の扉を開けてくれ』へいへい。
そちらの扉には、軽鎧よりもすっきりした見た目の全身を包む薄皮鎧と細外套がまたもや数十着。
『魔導衣と魔導細外套だ、細外套には魔法耐性、魔力回復諸々の向上効果がある、これも全員にお勧めだな。そして魔導衣には魔導士ウハウハの各種ギミック満載だ、ご先祖様から子孫へのささやかな贈り物だと伝えておくと良い』
おめでとうございます価値無限大スタヂオへ。完全に予算超過です。
九郎守様からの贈り物と伝えたら感極まって泣き出してしまったよ、まったくかわいいなぁ美都莉愛は。
まぁ…これで帰ってから取り上げらる可能性が減った…なんて考えたらあかーん!
…汚れつちまつた悲しみは。
同じように莉夢には格闘衣を見繕ってもらったこちらは軽くて丈夫で打撃軽減なだけでそんなに仕掛けは無いって言っていたけど。むしろ莉夢はその方が体感が狂わなくていいと気にしていなかった。
早速三人で着替え始める…安心してくださいボクと羽生さんは廊下ですよ。
スマホで入室許可の連絡が来て入ってみたら二人とも鎧下姿で…そのお体の輪郭がくっきりはっきり…まぁ内緒ですが、眼福でございました、土下座。
鎧下だけでも防刃、防弾(?)防電(??)耐火耐冷耐油(???)紫外線(????)十割遮断と言われてもよくわからなかったけれど。【魔狼】の牙位なら通さない鎧下と聞かされれば着ない理由が無い。
莉夢は鎧下が思いのほか体にシックリと来たのがとても気に入った様だ。身長は男性並みなのに身体は細身なのでなかなか自分に合った大きさの衣服に巡り合えていなかったとのことで、使用者に合わせて伸縮自在な鎧下にえらく感動していた。
羽生さんに助言を受けながら二人の着付けを手伝っているうちには結構な時間が過ぎ去っていた。
大体金貨一枚10万円位の感覚です。
魔導小板一台 ⇒ 約一千万円
魔導軽鎧一領 ⇒ 約一億円




