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【エタってないんだからね!筆力向上修行中】屑星だって生きている~誰か教えて!ユニークスキル【editor】の使い方~  作者: Darjack


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62話 木ノ楊出流の惨状

Pv4000記念公開!ありがとうございます!

 そうしてボク、諏訪久(すぽぅく)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)(仮)は荷駄隊を引き連れて、というか引き連れられて魔物の森の中を”奈落”へ向かって居る(どなどな)真っ最中。


 ”奈落”近くまで物資を搬入できる道があるってのが驚きだ、年に数回定期的に演習と言う名の魔物狩を行っているというだけはある。


 もちろん耀導徒(てるみっと)第二(つぅ)として荷駄隊警護の指名依頼を男爵家から受けたという体。ギルドの拘束?男爵家御用の一言で素通りですがな。


 どっかの冒険者集団(ぱぁてぃ)と似たようなことをしているけれど実態は”奈落”近くの拠点施設へ滞在して”奈落”の隠密捜査網という過酷な試練。

 何処ぞの商会案件とは方向性が真逆に感じるのはボクだけか?これが貴族の責務(のぶれすおぶりぃじゅ)と言う奴か?我は求め訴えたり。


 最強の相方、莉夢(りむ)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)出翁礼(でぃおぅれ))と最愛の…つ…つ、っ、妻(仮)ハァ、美都莉愛(びっとりあ)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)…お嬢様とも一緒だ。ゼェハァ、呼び捨ては無理、ヒィハァ。


 長かったあの一日の事は一生忘れられない、忘れたくない。


 書類上だけの事とは言えお嬢様の伴侶(仮)として並び立つ望外の栄誉の代償は想像の域を遥かに超えていた。


 不羅毘(ふらっぺ)達の探索打切りにより迷宮入りかと思われた件の魔物による誘拐事件は冒険者がらみの十名なんて度合(れべる)の話じゃなかったことが判明した。


 領内各所で、一人、二人といずれもうら若きもそうでないご婦人方も含めての蒸発報告が増えていたのだという。


 共通点は”魔物の森近辺”の町や村々、街道沿いにて行方不明だということ。


 街道を通ったはずの旅芸人の一座なんかも丸ごと行方不明になっているらしい。魔物の森の街道を渡る者の宿命とは言えあまりにも急激な行方不明者の増加に街道の安全が脅かされている。

 その弊害は木ノ楊出流(きのゃんでぃる)領全体を蝕みじわじわと影響を広げていた。


 一番の打撃は街道を使った物資の流通が滞り始めたことだ。


 まず小口の商人が街道を使わなくなった。何も命を懸けてまで木ノ楊出流(きのゃんでぃる)に取引したい物品があるわけでもなし、ほとぼりが冷めるまで他の方面で稼げばいいのだから。


 大口では隣領富嶽和(ふがわ)との領境で大量の糧秣を運搬していた尊多(ぞんだ)商会の荷駄隊が魔物の集団に襲われ死者・怪我人・行方不明者こそ出なかったものの、その物資の殆どを奪われるという事件が起こってしまった。

 尊多(ぞんだ)商会からは商会員の安全確保を理由に当面の間、物資運搬の休止を申し渡してきたという。


「兵糧攻めかね…」ぽつりと漏らした家令様の言葉に、どこかに軟禁されている木っ端冒険者の顔が思い浮かぶ。


 今のところは食糧庫に備蓄されている糧秣の一時的流用で凌げる規模ではあるのだけれども、問題解決の見通しが立たず補給再開の時期が読めない微妙な現在。

 そんな現状に流石に魔導騎様を含めた”騎甲師団”を編成し期間無条件で魔物の森”奈落”へ行方不明者の捜索部隊を派遣する程の物資を備蓄分から供出するというのは危機管理上無理があり過ぎた。


 不羅毘(ふらっぺ)達が”奈落”から生きたままに戻ると都合が悪い連中にとっては非常に望ましい状況になったということだ。


 また、身寄りのない冒険者だけならともかく、それ以外の一般領民も含まれた行方不明事件に男爵家が手をこまねいているというのも領内秩序の維持といった観点からも芳しくはない。


 日頃領民(われわれ)が納めている税金は何のためにあるのか。領民(われわれ)の危機に領主は何をしてくれるのか。

 ここを間違えるとお家の存亡にも係わる重大な事態になりかねないのは火を見るより明らかだった。


 ”奈落”へ”騎甲師団”を送り領民行方不明事件の真相を究明し、おそらくは事件の中核にいるであろう魔物達とそれを先導すると予測される【闇王牙(だぁくおぅが)】を殲滅しなければならない。


 ただし、長期間にわたり”騎甲師団”を”奈落”へ送り戦線維持のために大量の物資を消耗することも避けなければならない、なにしろまだ国からの宣戦許可が下りて来ていない。表面上は魔物の大海嘯(すたんぴぃど)も確認されておらず、国・県への救援要請もできない。時間を浪費するという最大の愚策も避けねばならない。


 ではどうするか。


 通常、正体をも知れぬ敵に対し最初に行うべきは何か?


 索敵だ。


 まず相手の位置・規模を掌握し、しかる後に適切な規模、時機で戦力投入する。


 もし、行方不明者の居場所だけでも特定されたならば、領民救出の名のもとに魔導騎様 緊急発進(すくらんぶる)、緊急出動、油断大敵、”騎甲師団”発進、で鉄槌拳(はんまぁぱんち)をお見舞いしてやることだってできるのだ!無慈悲にも。


 一点突破の電撃作戦であれば物資の損耗も最小限に抑えられるだろう。


 問題は、その索敵を(ねこのくびにすずを)行う(つけにいく)者はだれか?ということだった。生半可な者には任せられない。


 一番最初に奥様が手を上げたらしい。


 元一級(ぎん)冒険者で魔物の森も何度となく入り【小鬼(ごぶりん)】も【大躯(おぉく)】も討伐した経験がある、聖女の後継者も既に仁芙瑠(にっぷる)が居る。

 当然ながら家臣一同から猛反対を食らった、当時の奥様の所属冒険者集団(ぱぁてぃ)耀導徒(てるみっと)”の旧構成員(めんばぁ)を集める訳にもいかず。空白期間(ぶらんく)の長い奥様が完調するのにどれだけの期間がかかるものか、当然却下された。


 次に検討されたのは、若様、木ノ楊出流(きのゃんでぃる)男爵令息鄭湛(てぃたん)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)様を魔導学校から呼び戻し、半年前休眠した二級(しろ)冒険者集団(ぱぁてぃ)木ノ護(きのまもり)”を復活させること、これならば短期での復調も期待でき戦力としても申し分なかったはずだがこれには奥様と家令様が反対した。


 木ノ楊出流(きのゃんでぃる)領の未来を背負う領地の後継者を向かわせることは万が一を考えれば危険が大きすぎた、失敗すれば木ノ楊出流(きのゃんでぃる)は現在と未来を同時に失う可能性がある。


 万事休す。


 最期に残された方法は、領主様、現木ノ楊出流(きのゃんでぃる)男爵、可汎(かぁぼん)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)(しっくす)その人に帰参出陣願うこと…。


 領主を斥候として最前線に送らねばならぬ…。王国貴族家にとってこれほどの恥辱があろうか?


 有手倉(あるてぐら)騎士爵、出翁礼(でぃおぅれ)騎士爵両名は一朝有事の際には魔導騎様を騎装し現場へ駆けつけねばならない。

 五百年前の損傷から今だ復調していないとされている一七二〇号様(おいぃイナヅマさん早く直しておこうよ!)を領主様が騎装できない今現在、恥を忍んで領主自らの斥候出陣を仰ぐことも検討せねばならなかった。


 そして現木ノ楊出流(きのゃんでぃる)家当主が自領から離れ、県域領主である朱秘頼図弩すぺらいずど伯爵家において単身勤め上げねばならぬ朱秘頼図弩すぺらいずど伯爵家県域軍軍事顧問の役職は、暗に県域軍精鋭部隊の貸与をも期待させてくれた。

 とにかく【闇王牙(だぁくおぅが)】が絡んでいるとされている今回の事件は木ノ楊出流(きのゃんでぃる)男爵家においては是が非でも解決せねばならない曰く因縁があるらしいのだ。


(全てが終わった後はワシが腹を召し全ての汚辱を背負って逝く)


 次の重役会議において重鎮袰瓦(ほろぐらむ)有手倉(あるてぐら)騎士爵はそう覚悟し当主帰参の提案を進めようと考えていた節がある。


 ダメですよ有手倉(あるてぐら)卿、日麗羅(でぃれいら)ちゃんの嫁入りと曾孫の顔を見るまでは。まだまだ木ノ楊出流(きのゃんでぃる)の安定には重鎮(おもし)が必要です。


 そんな折、重役様方の耳に飛び込んできたのは美都莉愛(びっとりあ)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)率いる三級(あか)冒険者集団(ぱぁてぃ)がお屋敷を急襲せし【魔狼(うるふぇん)】二体を殲滅。

 直後に施療院を襲った【魔狼(うるふぇん)】(変異種)をも撃退し少聖女始め数多の領民の命を救ったとの報。


 溺れる者は藁をもつかむ…あれ?窮鼠猫を噛む?


 …とにかく、その夜緊急秘密裡に開催された会議に呼び出されたお嬢様と莉夢(りむ)は、ボク…諏訪久(すぽぅく)の助言によってこれまでにない魔法の運用法を確立したこと。


 【魔狼(うるふぇん)】撃退時に見せたボクの異常な耐久力、不可解な身体能力、簡易ではあるものの見間違いとは思えない治癒能力(あら、見てたのねぇ)の報告をした。


 それを受けた重役会議において成人前であるが故に候補にも挙がっていなかった美都莉愛(びっとりあ)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)に、”黒衣の未亡人”莉夢(りむ)木ノ楊出流(きのゃんでぃる)出翁礼(でぃおぅれ))を随伴させ、更にはボクを男爵家一族として取り込み”奈落”捜索へと送り出す事を検討し始めたのだという。


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