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1話 走馬灯

初めて連載します、どきどき。

よろしくお願いいたします。

 死の直前に人が走馬燈を見る理由は。


 一説によると。今迫りくる“死”を回避する方法を過去の経験や記憶の中から探しているのだという。


 もしその中に。


 経験したはずのない記憶があったとしたら――――。



 大きな鉄の箱にぎゅうぎゅうと人々が押し込まれている。

 囚人の護送馬車みたいに。


 引馬も付かない幾つも連なった鉄の箱馬車は、無数に乱立した高低の箱型の建物の隙間を縫うように進んで行く。

 まるで鬱蒼と茂る森の巨木の間をうねうねと這う大蛇のようだ。


 箱馬車の扉は魔導仕掛けで手も触れずに開き、鼠色の珍妙な衣服に身を包み首元から襟を縛る布を垂れ下げている。

 きっとこの国は寒いんだろう、冷たい外気が首元から侵入してくるのを防いでいるんじゃなかろうか。

 目元に玻璃(がらす)の装飾を飾り付けた官吏たちがいそいそと出入り、しばらくすればまた手も触れずに閉まる魔導扉。


 鉄の箱馬車の壁に沿って付けられた長椅子に何人も連なって腰かけるのは護送役人様だろうか。

 とすれば馬車の中をぐるぐるとはい回る銀の細柱からぶら下がる手かせに繋がれ立っている者が囚人なのだろう。

 皆、似たような衣服をい身に着けているが疲れたような不貞腐れたような表情をしている。


 皆、熱心に覗いている輝く魔導小板は神官様の持つ“聖なる書板”なのか?囚人にも読ませて戒心を誘うのだろうか?


 鉄馬車の窓から(窓に透明の玻璃(がらす)が嵌められている、なんて豪勢な造りなんだろう!)見えるのは、はるか天空にそびえるシロガネの城、これは王都の摩天楼なのか。


 箱城の門扉。これまた巨大な玻璃(がらす)製の魔導扉を通りぬけ階段を昇る。


 魔法で動く箱部屋もあるがケンコーのため階段を使う。


 ケンコー?ケンコーって何だろう。


 自分に宛がわれた部屋で何枚もの書板(?)に囲まれた椅子に座る。


 傍らに置かれた白く軽い器に口をつけて啜る、黒く暖かく苦い煎じ薬(ぽーしょん)

 ほわりと芳香漂う……なかなかに”乙”な後味だ。


 ましんを立ち上げる?


 どこに足が?


 最後に落とす!? こんな華奢な細工板を床に落としたら砕けてしまうではないか、けんのん、けんのん。


 真ん中のでっかい書版が青く輝き、白い光が走る。

 まるで書物のように紋様が浮かびあがる板! 神の御業か!


 ――――あいでぃ。


 ――――ぱすわぁど。


 ――――ろぐいん。


 えんたぁ(ったーん)



 Welcome to――――。


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