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SF
あの夜を思い返せば
懐かしい闇にサルベージされ
またあのひとに逢えたらなんていう
よくあるSF
あと百年で
わたしは猫になるつもり
そうしたらきっと
四足歩行な獣の姿で
あなたのもとにタイム・シフト
こういうよくあるSF
喪われていくものと
新たに顕れるものが
世界精神の底でゆらゆらしながら
神様のそばで結晶になり
つねに時を支配する
虚数の夜はきっとその枠外
神様が見ていない場所で
あなたの膝の上にくるまる
これはすべて
簡単に起こるはずのSFだから
むずかしい不運がなければ
きっと叶うはずの夜
すべて嘘かもしれない
けれど真実かもしれない
そういう世界の闇の底に在りたい