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愛し子、育つ。

産まれたのは金色の髪をした女の子。


私の髪が黒に近いブラウン(遠目から見たらほぼ真っ黒なんだけどね)だから、なんか対って感じがして可愛いの。

さすが私の妹!



名前はオリヴィア。お父様がつけたの。


なんでも、この子の顔を見た瞬間 私がにっこり満面の笑みになっちゃったせいで、庭のド真ん中にズドドドドーーン!とオリーブの木が生えたんだって。


だからオリーブからとって、オリヴィア。


なんか安直じゃない?って思ったけど、産まれてすぐに木が生てえくるってかなーりレアだもんね。

そら名前にもしたくなるよね。


大切なのは名前じゃなくて中身(ハート)だしね。



そんなオリヴィアも、もう4歳になりました。


子供の成長は早い!

まるでタケノコ。




まあ、オリヴィアと私は4ヶ月程しか歳がかわらないから、私も4歳なんだけどね。


そんなこんなで、オリヴィアは青いクリクリお目目がキュートな女の子に成長しました。


「オリヴィア、おはよう!お父様、クローディア様もおはようございます!」


クローディアさんのことは、クローディア様と呼んでいます。

オカアサマ!って読んだ方がいいかな〜とか思ったけど、お父様も「クローディア」って呼んでるしね。

郷に入っては郷に従えみたいなニュアンスでやってます。


私は定位置である、オリヴィアの隣の席に座る。

大人用の椅子だと少し低いから、座面にふかふかの花をたくさん咲かせて分厚いクッション代わりにします。


最初は花の上にお尻を乗せるなんて可哀想だなぁと思ったけど、なんか私が咲かせたり成長させたりした草花って見た目より丈夫なんだよね。

斧でぶっ叩いても、噛んでも、踏んでも、少し形が変わるだけでまたすぐ元の姿に戻る。

形状記憶ってヤツ?


私が元に戻れ〜って念じたらすぐしゅるしゅる元あった場所へ埋まっていくから、不便は感じないけど、少し怖いよね。


もし植物たちに自我が芽生えて、世界征服とか目論見始めたらたまったもんじゃないよ…

あな恐ろしや…


〔ソンナ 心配シナクテモ、 我ダッタラ デコピン1発デ 終息デキルヨ?〕


いやいや、(あなた)のことそこまで信用してないから。

それに私1人育てられないあなたに何が出来るっていうの?


〔違ッ、育テラレないカラ 手放シタんジャ 無イシ!

人間共ガ、愛シ子欲シイナ〜 言ッテタカラ 送ッテアゲタダケダシ!善意ノ心!〕


はいはい、わかったわかった


〔神ヲ 適当ニ 扱ウナ!我ハダナァ、〕


もう、しつこいって。ほらご飯きたよ?

帰った帰った!



〔帰ルモ何モ、我ハ家ニ居ナガラ 君ト通信シテイルカラ□▲■●◎■▲$@&¥*******

プツンッ ツーッ ツーッ


ツウシンガ 切断サレマシタ〕



ふぅ、気合いで通信切ってやったわ!

頭の中で話されながらだとご飯に集中出来ないものね。


それでは、手を合わせて〜!

いーただきまー…


「なぁ、シャーロット。食べる前に少し話があるんだ」


「……………何ですか?お父様。」


私は泣く泣くナイフとフォークを握りかけていた手を止める。

それ、絶対今じゃないといけない話なの?



「君はほら…愛し子だろう?だから、君は…なんと言うかその…ゴニョゴニョ」


「はっきり言ってください。こちらは食事の手を止めてるんだから、」


「愛し子は、国母になる決まりなんだ。」


「へぇ、なるほど」


「君は愛し子だろう?」


「はい、そうですね」


「つまり、そういう事さ。」


「?…どういう事ですか?」


「つまりアレだよほら…君は第1王子と婚約しなきゃならないんだよ…」


「なるほど。」


「『なるほど』って…君はそれでいいの?」


「まあ、もう決まっちゃってるんだったら仕方ないでしょう?」


「そうだね…それで、来週末に王子との顔合わせがあるんだよ…」


「承知しました。忘れないように致しますね。そんなことよりもう食べ始めても宜しいでしょうか?早く食べないと冷めてしまうし、昼食(ランチ)までに完全な空腹になれないですわ。」


へへへ、私は先を見越すのが得意な女なんですよ〜


「はぁ…君はそういう子だったね。いいよ食べようか。」




やっと食事の許可が降りたと思ったら、一緒におあずけを食らっていたオリヴィアが口を開いた。


「あの、おとうさま、わたしも王子さまにあいたいです!その日、おねえさまと一緒にいてもいいですか?」


「いや、これはシャーロットと殿下の顔合わせだから、また次の機会にしないかい?」


「そうですか…あいたかったなぁ…」


申し出を断られたオリヴィアが、シュン…と項垂れてしまった。可愛い。そして可哀想。


よーし!ここは素敵なおねえさまが何とかしてあげよう!


「私は構いませんわ。オリヴィアも一緒に出席しましょう?その方がきっと楽しいわ!

それにオリヴィアみたいな可愛いレディーがいた方が、殿下も楽しいのではないかしら?」


「シャーロット、そうは言ってもだな…」


「お父様、お父様の選択肢は二つですわ。

オリヴィアが出席するのを快諾するか、『いいアイデアだねシャーロット!きっと殿下もお喜びになると思うよ。君は本当に自慢の子だ!』と言うか。

どちらか早くお選びになって?」


「だからシャーロット、」


「2択ですわ、お父様。『だから』は端から選択肢に入っておりません。」


「でもシャーロッt…」

「2択ですわ、お父様。」


「シャー…」

「お父様、2択。」


「…」

「2択」

「わかったって!いいよ!オリヴィアが来ても!」


とうとうお父様が折れた。

この勝負は私の勝ちの言うことだ。


私が満足げに笑うと、食べようとしていたブロッコリーからポツポツと黄色い花が咲き、ピーマンがパプリカが赤色に変わってしまった。

笑顔からくる植物の成長は、コントロール出来ないからこういう時少し困る。


「快諾頂き嬉しいですわ、お父様。ありがとうございます。」


「おとうさまありがとう!」


「良かったわね!オリヴィア」


「…………」


オリヴィア、私の言葉には無視です。

最近って言うか、ずっとこうなのよねぇ。


反抗期なのかな。


まあ、可愛い妹がいて、その上 口を聞いて欲しいだなんて贅沢な悩みだよね!


世界中の妹が居ない人達に『なんの嫌味やねん!どつきまわしたろか!』とかなんとか言われて疎まれてしまうわ!


(わたくし)、今日も幸せですわ!

オーッホッホッホッホッホッホ!

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