愛し子、入学式です。
シャーロットももう9歳です。
今日は入学式。
豪華で大きな会場にずらりと並べられたフカフカの椅子の上に、同い年くらいの子供たちが乗っかって、学園長の話に耳を傾けている。
壇上でツルピカなおじさんが、天気とか歴史とか未来の話とか、絶妙に興味のない話ばかりを懇切丁寧に喋ってくれている。
ここの学園長はつまらん話題ソムリエなのかな?
いかん、このままだと寝てしまう。
何か頭を動かさないと、こんな人だらけの場所でみっともなくヨダレを垂らす訳にはいかんのだよ。
私は今日から、貴族が通う王都のど真ん中に居座る学校の生徒になる。
私は今9歳。
本当は10歳から5年間通うのが一般的なんだけど、婚約者(王子)に合わせて1年早く入ることになったんだ。
オリヴィアも早く入りたがったけど、入学テストでアウト。
残念ながら無理だってさ。
え?私はテストどうだったかって?
満点ですよ。
ノー勉強で満点ですよ。
カンニング?してないよ!失礼な!
なんかテストを前にしたら、答えが浮き出て見えたんだよね。
お!?すげぇな私!
スーパーウルトラパパイヤ天才かよ!
とか思いながらスラスラ解いたわけですよ。
ふふん、人生ベリーイジーかよ!とか内心調子に乗ってたわけですよ。
でも、テストが終わったらすぐに神から
〔キミハ割と 怠惰ダカラネ チートってヤツヲ我ガ 付ケタンダヨ〕
って通信が来た。
なんだよ!期待させるなよ!
ってかこの機能が無くてテスト落ちてたらオリヴィアと同じ年に入学できてたじゃん!
いらんことしやがって!
もう!わからんちんめ!
私がぷりぷり怒ってたら、
〔ダッテ、愛し子ガ 馬鹿ダッタラ 面目タタナイジャン………
威厳トカ 信頼トカに繋ガッテクルジャン……
〕
って言い訳してた。
まあ、私を思ってのことだし、今更どうしようもないから許したけど、こういうのをありがた迷惑って言うんだよね。
…とかボーッとそんなことを思い返していると、学園長の話が終わったみた。
ふう、お疲れ様、学園長!
聞いてたみんなもお疲れ様!
えーっと次は、新入生代表の挨拶か。
誰だろ、やっぱ王子がすんのかな?
乗っけから大変だなぁ、ただでさえ慣れてない環境で緊張してるだろうに、可哀想に……
私が勝手に哀れんでいると、偉そうな顔をした司会進行役のおじさんが口を開く。
「では、新入生代表、シャーロット・ロス。前へ」
……は?
「シャーロット」は私の名前。
「ロス」は私のうちの苗字。
は?Why?What?How are you???
何?同姓同名の生徒がいるってこと?
私が理解出来ないでいると、
周りが
「シャーロット・ロスって?」「知らないの、緑の愛し子様よ!」
「あれ?ルーカス様は?」
「今年の代表は愛し子様なのね、楽しみだわ」
「愛し子様、テスト満点だったらしいわよ。」
などとザワザワし始める。
なるほど、シャーロットでロスで緑で愛し子…
……間違いなく私だわ。
これは後で聞いた話なんだけど、入学テストの合計点数が1位の者が新入生代表になるんだって。
聞いてないよ!ほんと、何やってるんだよ神!もう許さない!
地位も名誉もいらんから、これどうにかしてよーーー!




