1話 ラピス自重しない
ラピスside
「「っ!?」」
即座に巨大な魔力に反応したラピスとマスターは頭上を仰ぎ見る。
ラピスは瞬時に魔法陣を解析する。ふむ?これは召喚の魔法陣ですね。となると、召喚先は何やら面倒くさいことになりそうですね。
「うぁぁぁっ!?」
「マスター!?」
出現した魔方陣が一際光を放ちマスターを連れ去ろうとしてマスターの体が魔法陣に向かって飛んでいく。
「させません!」
ラピスは左手を何もない空間に向かって鋭く突き刺す。すると、手先が急に消え瞬時に戻された手には巨大な鉈をがあった。ラピスは、それを地面に深く突き刺し、右手をマスターに向かって伸ばす。
「マスター!」
「ら、ラピス!」
マスターが必死に伸ばしてきた手をガシッと掴む。
よし!あとはマスターを魔法陣の外に放り出して、魔法陣を無力化すれば解決ですね!・・・・・・・・おや?この状況って使えませんかね?このままマスターを召喚しようとしている召喚魔法に便乗してマスターと二人で異世界共同生活が始まりますよね?だいたいのことはラピスがなんとでもできますから、マスターの身の安全は保証できますから、つまり既成事実からの同棲生活で新婚生活のイチャラブのパラダイスの始まりと。
「・・・・・・・・・」
「・・・ラピス?」
「・・・・・・・・・アー、テガスベリマシター」
「ラピス!?今、明らかにわざと手を放した(むにゅ)んんん!
?」
ラピスは躊躇うことなく左手を鉈から放し、マスターに向かって飛び此れ幸いにとマスターを胸元に抱き寄せ安全を確保する。
あーはっはっはっ!待っていなさい異世界よ!いざ、マスターとのラブラブ生活の開幕です!っとテンション上げすぎましたが、一応、マスターの両親に連絡しておきますかね。ふふふ、ラピスはできる女なので気遣い完璧ですね!
【レイ。レイ。聞こえますか?】
【あぁぁぁぁぁ!また無闇に召喚して!?ん?あれ?ラピス?どうしたの?】
早速、念話で連絡を取りましたが、相変わらずマスターの妹の世話が大変みたいですね。普段なら召喚魔法の魔力に気付き飛んできそうですが。ふふふ、これはラピスに流れがきていますね!
【忙しいので、手短に説明しますね。ちょっとマスターと二人で異世界に行ってきます】
【あ、散歩?夕飯までには帰ってくるんだよ?って今、異世界とか言ってなかった!?】
【土産に孫の顔を見せに帰ってきますね。では、行ってきますお義母様!】
【ちょ!?ボクの息子に何をする気だ!?ラピス!ラピス!返事しなさい!くっ、あえて無視してるな!こうなったら、ボクが自分でラピスの座標の元に(ピカーッ)ちょ!?また召喚したの!?これで、剣士、槍、魔法使い、狂戦士、暗殺者、魔獣士、弓士ってどこの戦争する気!?】
…………こちらの世界も真面目に心配ですが、まぁ何とかなるでしょう。ラピスは嬉々として光る魔法陣に飛び込み視界が真っ白に包まれた。




