97、ニセモノVS
97、ニセモノVS
ニセ魔神オカマは、レジャズめがけガトリング砲のように無数の水蒸気弾を撃ちながら突進してくる。
「早速来よったで……じゃ、こっちもアイスウォール!」
レジャズは大きな氷の壁を作りだし、オカマの攻撃を受け止める。と、同時に垂直に飛びあがり、オカマの真上で両手のひらを突き出し呪文を唱えた。
「クラッシュアイスブリザード!」
ビキッ!
攻撃を喰らったニセ魔神オカマは一瞬その場で凍り付いたが、すぐに顔の氷を溶かし頭上のレジャズをギッと睨みつけた。
「所詮ニセモノやな……派手な攻撃でビビらせようとしたみたいやけどパワーが全然弱いわ……楽勝楽勝!」
挑発するような言葉をあびせ、レジャズは飛び上がった。ニセ魔神オカマも体中にまとわりついていた氷をぶち壊し、後を追った。
「なんだニセモノかよ、びっくりさせやがって」
「で、でも本物も、もうすぐ来るって言ってたよ」
「アイツはスパイで、本物が来るまでの時間稼ぎってことか?」
レッド、ゴールド、ブラックの男子3人は上空を見上げた。そしてあれこれ話してるうちに、レッドがとんでもない事を言い出した。
「あれなら、アイツならオレ達で倒せるんじゃね?」
「えー! そ、そりゃちょっと弱そうだけど、レイちゃん達に任せといたほうが……」
「オレ達3人でガーンとやっつけて、ヒーローデビューしちゃおうぜ」
「僕、別にデビューしたくないんだけど」
サンヨーは一度やっつけた、というか、ぶった切った相手だけに勝機ありと見て戦う気満々だ。方や東芝はヒーローにあんまり興味ないので乗り気ではない。
そしてソニーはと言うと……
「3人でやれば余裕じゃね?」
普段のソニーなら、こういう状況になると真っ先に逃げ出すのだが、スーツで身を守られたうえに武器まで与えられた今は、いわゆる「仮面効果」で怖いものなしだ。ヒーロー願望もそれなりにあり、サンヨーの企てにあっさり賛同した。
「あいつらまた……ほんとにもう」
男子3人の話をチョイ聞きしたリーちゃんは、サンヨーのマントをギュッと引っ張った。
「わっ、なんだよ」
「ちょっとあんた達、また余計なこと企んでるでしょ!」
「余計なことじゃねーよ、ニセ魔神オカマは、オレ達サンシャイン3がやっつけてやるって言ってんだよ」
え? サンシャインスリーって何? サンヨー以外の全員、頭の上に?マークが点滅し、きょとん顔でサンヨーの顔を見た。
みんなが急に見てくるので、サンヨーは驚いて身構えた。
「な。何だよ急にこっち見て」
「あの、サンシャイン3って……何のこと?」
「オレ達3人のチーム名だよ」
「そんなのいつ決まったんだよ、聞いてねーぞ」
「そりゃそうだろ。今思いついたんだからな」
「は?」
ネーミングセンスの方はとりあえず置いておこう。
問題はそのサンシャイン3でニセ魔神オカマをやっつけるっていう作戦の方だ。
「ほんとにもう、どうしていっつもいつも余計なこと考え着くんだろうね」
「余計なことじゃねーし。アイツ弱そうだしオレ達がやっつければレイちゃんもちょっと楽になるだろ?」
「ダメダメ、絶対ダメよ。ねえ五重丸」
リーちゃんは、ビシッとダメ出ししてもらおうと五重丸に意見を求めた。
五重丸は、上空で戦っているレジャズちゃんとダイさんをチラッと見てうなずき、振り返って言った。
「いいと思うよ。あのニセ魔神オカマなら君たち……サンシャイン3でも倒せるんじゃないかな」
「ちょ、ちょっと! 五重丸まで何言ってんのよ」
「オカマの狙いは、自分が到着するまでの間、あのニセモノと戦わせレジャズちゃんの体力を消耗させようとしてるんだと思うよ」
「ほらぁ、五重丸もそう言ってんじゃん」
「ニセ魔神オカマは神の御霊の力も使えないようだし、練習の成果を試すのにちょうどいいんじゃないかな。万が一ピンチになってもレジャズちゃんがいるんだし」
レジャズちゃんの体力を温存出来、サンヨー達のスパーリングの相手にちょうどいい。五重丸はそう考えたようだ。
ダメ出ししてくれると思ってたリーちゃんは、少々不満げに言った。
「ふーん……そうなの。大体わかったけど、一つ分からないことがあるの」
「何だい?」
「しょうもう、って何?」
「リー! こんな時にあんたはもー、消耗はね、疲れさせるってことよ」
「あ、そうなんだ、ねえサンヨー知ってた? あれ?どこ行ったの」
「もう飛んでっちゃいましたよ」
地面に散らかっていた水筒を拾い集め、雪ウサギに挿しながらトコちゃんはホワンとした感じでそう言った。
「ゆけーゆけーっ、サンシャイン3♪ 闇夜を切り裂きぶっ飛ばせー♪」
「あの、闇夜って、真っ昼間なんだけど」
「ゴーゴー♪ 魔神オカマをやっつけろー♪」
サンヨーは「主題歌」を口ずさみながらニセ魔神オカマに向かってゆく。
「ソニーブラック、ディスクシールドオープン! シバゴールド、ランドリースピアスタンバーイ!」
ソニーは両手に持ったディスクシールドを大きく広げて前方にかまえ、東芝はランドリースピアを身長の倍程度に伸ばした。
そしてサンヨー、サンシャインレッドはアイスブレードを抜き、かっこよく構え……
「チャチャンカチャンチャン♪ デデデデーン♪ シパッシパ」
「主題歌」の間奏部分をノリノリで口ずさみ、突き進んでいった。
「あいつら大丈夫かな? 五重丸」
「大丈夫だと思うよ。それにしてもサンヨー君の歌、なかなかいいね。録音しとけばよかったかな」
「……そこ?」




