94、決めゼリフ
94、決めゼリフ
真っ赤に燃える正義の心、サンシャインレッド!
光り輝く金色の戦士、シバゴールド!
悪を切り裂く漆黒の風、ソニーブラック!
愛は無敵キューティエンジェル、ミーバイオレット!
神に選ばれし桃色の勇者、リーピンク!
「こんなのでどうかな」
「なかなかいいわね、ありがとう五重丸。みんなきっと喜ぶわ」
「なによ決めゼリフって。そんなのいつ使うのよ。わたしは言わないわよ」
子供部屋で出かける準備をしているリーちゃん姉妹に、五重丸は5人それぞれの決めゼリフを考えてくれた。
「せっかく戦闘スーツ着てるんだから、何かほしくない?男子はみんな武器もらってやる気になってるみたいだし」
「調子に乗って余計な事しなきゃいいんだけどね」
「リー、アサガオに水やってないでしょ、ヘナヘナになってるわよー」
お母さんが玄関から3階に届くほどの大声でリーちゃんを呼んだ。1年生は毎朝アサガオに水をやって、花がいくつ咲いたとか記録を付けなければいけない。
「ほら、お母さんが呼んでるわよ、ご近所にあんたのだらしなさが響き渡ってカッコ悪いから早く行ってきなよ」
「ぶー、もう、忙しいのに」
リーちゃんは文句を言いながら、ドドド―っと階段を下りて行った。残されたミーちゃんは、一つため息をついてすずちゃんに話しかけた。
「ったくもう、1年生はお気楽でいいよね、アサガオ見てりゃいいんだから。3年生はドリルとかいっぱいあって大変なのに」
「ははっ、そうねー。でもさぁー、リーちゃんもヒエール様に色々任されて大変なんじゃなーい?」
「そりゃそうだけどさ、わたし達だって気が付いたら戦闘スーツ着せられて、大変なんだけど……あ、サンヨー君もアサガオの水やりにでてきたわよ。うちのお母さんの声で思い出したんだわ」
ミーちゃんが窓から下を見ると、サンヨーがコップでアサガオに水をドボドボやっているのが見えた。そこへじょうろを持ったリーちゃんが駆け寄って何か話している。
「ダメじゃない、コップでやっちゃ。土が掘れて穴が開いてるわよ」
「もう大きくなってるからいいんだってば。それより今日も行くんだろ? あいつらもそろそろ来るぞ、あー来た来た」
サンヨーの目線の方を見ると、東芝とソニーが走って来るのが見えた。ただの駆け足ではなく、なぜか必死で走っているようだ。足の速いソニーが先に到着し空を指さした。
「た、大変だ! あれ、あれっ」
「何がだよ……あっ!」
リーちゃんとサンヨーが空を見上げると、青空にポツンと黒い物体が……!
「アイツもう帰ってきたのかよ! まだ二日しかたってねーのに」
「来てしまったものはしょうがないじゃない! もういくわよ、ヒエヒエチェーンジ!」
焦ったリーちゃんは華麗なポーズで変身を始めた。光に包まれていくリーちゃんを、サンヨーは慌てて止めた。
「バカッ! お母さんにバレちゃうぞ」
「あっそうか、ストップストップ!」
リーちゃんは男子3人の陰に隠れるようにしゃがみこみ
、
「ストップ!」
そう言ったら変身は、ヘルメットとゴーグルだけが装着された状態で中断された。
「顔だけ? 変身って途中で止められるのか」
「もう、リー! 何やってんのよ」
「だ、だってアイツが。どうしようお姉ちゃん」
「じゃ、じゃああんた達、怪獣のマネしてリーに襲いかかって、リーは家電達を呼んで」
「? うん分かった、ガオーッ」
ミーちゃんの指示で男子3人は怪獣となり、謎のヒーローリーちゃんに襲いかかった。シバゴンとソニラが、牙をむき出し爪を立て前から迫ってくる。両手を構え戦闘モードになったリーちゃんの背後に、サンヨーザウルスが回り込みスカートに手をかけた。
「こらー! めくるなーっ」
「はいはいその調子、そのままみんなこっちへ来るのよ」
家の隙間からミーちゃんがみんなに手招きをした。その奥には、バビエオで融合したレジャズがスタンバイしている。
「あらあら、怪獣ごっこ? リーはお面までかぶって、本格的ね」
「ごめんなさいねぇ、うちの子スケベ怪獣で」
ミーちゃんの指示で、お母さんたちの目には「怪獣ごっこをしている無邪気な子供たち」と言う事でごまかせたようだ。リーちゃん達は、そのままレジャズに乗り込み、スクランブル発進した。
「ミーちゃん、いい判断だったね。キャラ設定がちゃんと出来てりゃよかったけど、急だから仕方ないか」
プロデューサー五重丸は、ミーちゃんのとっさの判断を高評価で称えた。
「おっちょこちょいだな、いきなり変身しようとするから、こんな事になるんだぜ」
「だからと言って、スカートめくること無いでしょエッチ!」
「だって、お姉さんが襲えって言ったから」
「そんな事よりヤツはどこよ、どこに行ったの?」
子供たちも全員戦闘スーツを装着し、辺りを見回してみたが魔神オカマの姿はどこにも見当たらなかった。
「逃げちゃったのかな」
「いや、ヤツならきっといきなり攻撃してくるはずだぜ」
「ベフも何も臭わないって言ってるで……トンビか何かやったんちゃうか?……えー? 見間違いでこの騒ぎー?」
「そうかなぁ、確かに空にいたんだけど。ねえ、みんな」
「うん……」
「まあ、ええやん。とにかくみんな集まったんやし、このまま山に行くで」
何かスッキリしない気分のまま、みんなを乗せたレジャズは、鉄塔のある山を目指し、飛び立った。




