88、オカマと先生と家電達
88、オカマと先生と家電達
パッパラッパラッパラー♪パッパラッパラッパラー♪
突撃ラッパのような音が屋上に鳴り響き、トコちゃんの作ったUFOの傍らに雲の輪っかが出現し、地デジカが行進するように現れた。
事前に五重丸からメールを受け取っていた地デジカ達は、変なアンテナの付いたヘルメットに肘まである手袋にロングブーツ。レオタードも含め全部シルバー一色の宇宙人風コスチュームだ。
「いいねえ、どこからどう見ても宇宙人だ」
「五重丸、どこからどう見てもコスプレした地デジカに見えるけど……」
「そうかい? ま、いいや。じゃ、地デジカ諸君、3人はあのハシゴの所で先生を待ち伏せ、残りはもう少しここで待機ね」
「オーケイ、デジデジッ」
「なんだ? 今度はラッパの音がしたぞ。 不良だ、どこかの不良どもがラッパを吹いて騒いでやがるんだ、急げ! ヤマダ先生」
「ハァハァ、ヨドバシ先生、不良ってラッパ吹きますかね、普通吸うんじゃないっすか? タバコとかシンナーとか、ゼェゼェ……」
「知るかい、そんな事、とにかく無断で屋上に上がってる、その行為が不良なんだよっ」
走りっぱなしのヤマダ先生は、ヘロヘロになりながらヨドバシ先生の後を追った。
「おや? 地デジカがまた出てきたギャ。全くお前ら何を企んでいるギャ」
「ホンマや、それにあのUFOみたいなん何?……知らんでオレら何も聞いてないし……地デジカが出たってことは、きっと五重丸プロデュースよー……どうでもいいだろ、お前の相手は新製品レジャダイズ様だぜぃ」
上空にいるレジャダイズは五重丸のシナリオを見ていないので、屋上で地デジカが何をしようとしているのか全然分からない。
だから魔神オカマが神眼コンタクトで心を読もうとしても分からない。
って言うか、4人の家電達が融合しているので、元々心が読みにくいのだが。
「あー面倒だギャ、こうなったら学校ごとブチ壊してやるギャ」
苛立った魔神オカマはフタをカタカタ鳴らしながら水蒸気を噴き出し、やや高度を上げた。
そして地上の校舎に照準を合わせるように、両手をつき出した。
「ヤバイ、学校に向けてビッグエクスプロージョンを撃つつもりや……何とかせんとリーちゃん達があぶないで……野次馬も見てるしーどうしよ……よっしゃ、ここはワシとすずちゃんにまかしとけってんだ……えー? わたしもー? なんでー?」
ダイさんはそう言ってパーツをカチャカチャ組み替え、半ば強引に排気口とすずちゃんを直結した。
「ちょちょっ、ダイさん何すんのー?……奴さんがでけぇのぶちかましてくる前にぶっ飛ばしてやるんだよ。ま、こっちもタダじゃすまねえがな……タダじゃすまねぇって、どうなるねん!」
ダイさんの吸い込み口が丸く変形し、中心に黒い渦のようなものが発生し始める。そして魔神オカマがビッグエクスプロージョンを撃つよりも早く呪文を唱えた。
「サイクロンブーストワームホール!」
ダイさんの吸い込み口から黒い霧状の物が吐き出され、渦を巻きながら魔神オカマに向かってゆく。それを見た魔神オカマは鼻で笑い、校舎に撃とうとかまえていた両手をレジャダイズちゃんの方に向けた。
「フン、なんだそんなもの。ビッグエクスプロージョン!」
両者の攻撃が正面衝突! と思いきやダイさんの吐き出した黒い渦は、魔神オカマの熱々水蒸気をスーッと吸収し、更に速度を増し魔神オカマに向かってゆく。
「なんだ、何なんだコイツは……クソッ」
魔神オカマは実物大に戻り、その巨体で黒い渦を受け止めようとした。
しかし渦はさらに拡大し、魔神オカマを丸ごと飲み込んでしまった。
「ウギャーーッ!」
大きな叫び声をあげ、魔神オカマは渦の中に吸い込まれていった。すると黒い渦は急激に縮小し小さな点になりプツッと消えた。そして今の攻撃で体力を使い果たしたダイさんは吸い込み口をダランとうなだれ、消えそうな声で言った。
「ヘッざまあみろ……おととい……きや……が、れ……いや~んバタンキュー」
「うわっ、すずちゃんとダイさんがバタンキューになってしもた、落ちるー……レイちゃん落ち着きいや!オレらは体力がまだ残ってるから、俺らで空を飛ぶーんを使えばいいんや……そ、そうか、やってみるわ。空を飛ぶーん」
レイちゃんはすずちゃんの魔法「空を飛ぶーん」を唱えた。するとバタンキュー状態のすずちゃんの羽根が回転し始め、墜落しかけていた体を持ち直した。
そう、バビエオで融合した家電達は、内の誰かがバタンキューになっても、その者の魔法を代行して使うことが出来るのだ。
レジャダイズはゆっくりと降下し、リーちゃん達の近くに着陸した。
「おかえりー、すごかったねぇ今の。アイツはどうなったの? 消えちゃったみたいだけど」
「やった本人がコレやからな、よう分からんねん……ホンマおかげですずちゃんまでバタンキューになってしもて、無鉄砲な奴や」
「ヘブレ、ヘブレ」 レジャダイズが呪文を唱えるとその体は光に包まれ、光の中からレイちゃんとジャブ君が現れた。
「あれ? ダイさんは? ダイさんはどこに行ったの?」
ソニーは心配そうにレイちゃんの周りをキョロキョロと探した。レイちゃんはソニーの肩をポンと叩き、手のひらを差し出した。そこにはお菓子のおまけみたいに小さくなったダイさんが横たわっていた。
「ああ、こんなに小さくなって……ダイさん死んじゃったの?」
「さっきの魔法で体力を使い果たしてしまったんや。死んでへんから家に連れて帰って本体に戻してやってくれ。明日になったら元気に目を覚ましよるわ」
「うん、分かった」
ソニーはレイちゃんから小さくなったダイさんを受け取り、指でそっと撫でてやった。
一件落着的な雰囲気でみんなが話をしていると、ハシゴの方から叫ぶような声が聞こえてきた。
「わっ! 地デジカ? 不良が騒いでるのかと思ったら、あんたら無断で屋上に侵入して何してるんだ! あっ? UFO! あんなデカい物どうやって持ち込んだんだ!」
そうそう忘れてた。
とうとう非常階段のハシゴからヨドバシ先生とヤマダ先生が屋上に上がってきてしまった。
ヨドバシ先生は、ハシゴの前で待ち構えていた地デジカに、すっごい勢いで食って掛かり地デジカにヘッドロックをかけた。
「コノヤロ、ふざけたかっこうしやがって! 脱げ! 着ぐるみ脱いで顔を見せろ! あれ? チャックがないぞ」
「デジーッ、ヤメデジーッ」
「ヨドバシ先生落ち着いて、ほらっあのUFOの周りにもいっぱい地デジカがいますよ」
ヤマダ先生は、さすまたを構えながら、震える手でUFOの方を指さした。
「あーあ、とうとう来ちゃったよ、どーすんの五重丸」
「とりあえずだけど魔神オカマもいなくなったことだし、条件はそろった。じゃ、再開しよう。地デジカ諸君は校門前へ移動、先生に絡まれている地デジカにはカンペを出さなきゃ……レイちゃん、はいこれ持って臨場感の外に出て」
突然AD的な役目を与えられたレイちゃんは、渡されたカンペを持って臨場感の外に出て、カンペを高々と掲げた。
それを見たボコられそうになっている地デジカは、目をキラッと輝かせた。
「オーケイ、デジデジッ」




