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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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86、屋上での戦い

86、屋上での戦い

 「ヨドバシ先生、そろそろ片付けて見回りに行きましょうか、今日は早く帰るでしょ?」


 放課後の職員室。他の先生は帰宅し、最後まで残っていた二人の先生もそろそろお帰りモード。リーちゃんの担任ヤマダ先生が、サンヨーの担任ヨドバシ先生に声をかけた。


 「そうだな、帰りに三井の家に様子を見に行きたいしな」

 「三井君、具合はどうなの?」

 「親御さんからの連絡では、夜中に寝ぼけて3階の窓から落っこちたらしいんだけど、病院での検査の結果、幸い大したケガじゃなかったそうなんで、入院もせずもう家に帰ってるらしいんだ」


 サンヨーのお母さんは学校には“おねしょして家出”ってところは本人の名誉のため伏せて連絡しているようだ。

 担任のヨドバシ先生も“寝ぼけて落下”の説明に、普段の学校での行動からしてあり得るな、と思い信じて疑いもしていない。


 「ふーん、丈夫な子だね。まずは一安心だな」

 「通信簿も渡さなきゃいけないし、ササッと見回り終わらせよう」

 「了解! じゃ行きますか、昨日も田んぼが爆発したとか変な事件も多いし、学校がドッカーン! って爆発したら困るからね」


 ヤマダ先生は冗談っぽく笑って席を立ち、少し残っていた缶コーヒーを、クイッと飲み干そうと口を付けた。

 と、ちょうどその時……


 ズーーーン!


 「ブーーッ」


 大きな衝撃音が職員室に響き渡り、地震でも起きたかのように校舎が揺れた。

 ヤマダ先生は飲みかけていたコーヒーを吹き出し天井を見上げた。


 「わっ!地震か?」


 ヨドバシ先生は急いで窓に駆け寄り、付近の状況を確認した。が、地震の被害を受けたような家屋はない。しかし、よく見ると校門辺りに何人かの人が集まって、校舎の屋上の方を指さして(しゃべ)っている。

 小学校はこの地域の避難場所に指定されてはいるが、この校門のところに集まっている人たちは避難してきた、という感じではなく事故を見に来た野次馬のようだ。


 「みんなこっちを指さしてなんか言ってるぞ。あ、上だ、上の方を指さしてる」

 「上? 屋上に何かあったのかな。とにかく見に行ってみよう」


 ヨドバシ先生とヤマダ先生は、非常用ロッカーからヘルメットと念のためさすまたを取り出し屋上へと向かった。



 「キャッ!」


 サンヨーと降下中のリーちゃんは、魔神オカマが撃ったアツアツ水蒸気弾を見て悲鳴を上げ、リーちゃんはサンヨーに抱き着いた。


 「クソッ」


 屋上まであと数十センチという所であったが、サンヨーは攻撃を避けるためリーちゃんを抱きかかえたまま横っ飛び。屋上の金網にしこたま背中をぶつけた。

 衝撃で金網はひしゃげ、支柱も折れ曲がった。

 戦闘スーツを着ているので、ダメージ的にはふかふかベッドにダイブした程度。だが、サンヨーは神社であちこち打ち身をしているので結構痛かった。


 「イチチチ……」

 「大丈夫? サンヨー」

 「え? だ、大丈夫、オレはサンシャインレッドだからな」


 ひしゃげたフェンスに座ったような体制で、リーちゃんを(ひざ)の上に乗せ、何となくイイ感じの二人のところに、全く空気の読めない赤い二人が()()ってきた。リーちゃんはハッとして、勢いよくサンヨーの(ひざ)から立ち上がった。


 「イテテッ!」

 「おーい、サンヨー! 大丈夫かぁ?」

 「すごいね! 急にあんなに速く飛べるようになるなんて」

 「そ、そんなことよりお前ら、新しい家電達を呼べよ! 早くアイツを何とかしないと大騒ぎになるぞ!」

 「あ、そうか。分かった」


 サンヨーにそう言われ、東芝とソニーは急いでトコちゃんとダイさんを呼び出した。


 「ボン」  「ボン」


 二人とも本体に戻って体力も満タン。特にダイさんは江戸っ子感に磨きがかかり、大見得(おおみえ)を切って登場した。


 「イヨッダイ様参上! おや? ここはどこでぇ、きったねえ所だな。ここを掃除しろってか」

 「違うよダイさん、アレだよ、アイツが魔神オカマだ。レイちゃん達と一緒に何とかしてほしいんだ」

 「お? アレか、あの真っ黒のヤツが例の魔神オカマってえやつだな? よっしゃー」


 ダイさんは掃除機のパーツをカチャカチャ組み替え、何かの準備を始めた。


 「ダイさん、まず落ち着いてみんなの話を聞きましょうよ」

 「トコちゃんの言う通りよ! 何する気か知らないけど、ちょっと待って」

 「お?」


 突っ走るダイさんをトコちゃんとミーちゃんがなだめ、話をしようとしたその時。


 ドンドンドン!


 「おい! 誰かいるのか? 開けろ!」


 屋上の出入り口のドアを内側から激しく叩く音がして、オッサンの怒鳴り声が聞こえた。


 「ゲッ、あの声ヨドバシじゃねえのか?」

 「そうだ、ヨドバシの声だ。ヤバい、怒られるぞ」

 「何でぃ、オカマの次はヨドバシか。じゃ、先にそっちをやっつけてやろうか」

 「ダメよ、ダイさん! ヨドバシは先生よ、やっつけちゃダメ。どうしようお姉ちゃん」


 「クソッ開けやがらねえ、ヤマダ先生! カギカギ、ドアの鍵は?」

 「えっ? あっ! 忘れてきた、ってか全然考えてなかった。と、取ってきまーす」

 「ったくもう、おーい開けろ! あ、け、ろ!」


 上空には魔神オカマ、そして出入り口にはブチ切れヨドバシ先生達……魔神オカマも怖いが、先生も別の意味でこわい。

 どうしていいか分からない5人の戦士は、身を寄せ合ってオロオロするばかりだ。


 「先公かよ、オレも苦手だな、じゃオレは、ちょっくら上の方に加勢してくらぁ。先公はトコちゃんとポチに任せたぜ」

 「ガウガウッ!(ポチじゃねー、ベフだよっ!) 」

 「上って、ダイさん飛べるのか?」

 「あたぼうよ、空も飛べずに掃除機なんかやってられっかよ」


 ダイさんは再びパーツを組み替え、呪文を唱えた。


 「サイクロンダーッシュ!」


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