81、装備の充実パワーアップ?
81、装備の充実パワーアップ?
「コンポーダンボールよりキラキラしていて綺麗ね。これをどうするの?」
リーちゃんは小さな箱を拾い上げた。コンポーダンボールより一回り大きく折り紙で作った風船くらいの大きさがあり、メタリック調の外観からして重そうに見えたが手に取ってみると、とても軽い。
「これはジャブが言う、ハイパーなんちゃらのようなパクリもんじゃないヴェ。コンポーダンボールに似ておるが、これはヘブレージボックスといって大きなものでも小さくして持ち歩ける便利な神具じゃヴェ」
東芝とソニー、そしてミーちゃんもヘブレージボックスを見にリーちゃんのところへ寄ってきた。みんながヘブレージボックスに触ろうとしたが、リーちゃんは後ろに隠しながら後ずさりした。
「ダメよ、あたしが貰ったんだから」
「なによ、ケチ。見せてくれたっていいじゃない」
「リーちゃん心配するなヴェ。その箱もカミテレコンと同じで最初に触れた者を持ち主として認識し、呼べば手元に戻って来るヴェ。それに使い切りじゃなく繰り返し何度でも使えるヴェ」
「ほらぁ、あたしのなんだから。これがあれば夏休みの工作で大きなもの作っても、楽に持っていけるわ」
「……い、いやとにかく今はSR-18を入れておいてくれヴェ」
リーちゃんは、勝ち誇ったようにヘブレージボックスを掲げ小刻みに飛び跳ねた。
そして、大事なことを聞いてない事を思い出し、ヒエール様に訊ねた。
「これどうやって使うの?」
「簡単じゃヴェ、入れたいものにヘブレージボックスを当て、『入れ』と念じるだけで一瞬にして箱の中に吸い込まれるヴェ。どんな大きなものでも、入ってしまえば大きさも重さも関係ないヴェ」
「分かった、出すときはどうするの?」
「出したいときも『出ろ』と念じるだけじゃヴェ。ただし出すものが大きい時は投げるとかして、離れた所に出すようにするヴェ。出したものの下敷きになったら危ないからのう」
出したあとは、呼べば箱は手元に戻って来る、ってことね。ケガしないように注意しないと……
と、リーちゃんが思っていたら、ヒエール様がその心を読み、頷きながら話しはじめた。
「そうそう、安全第一じゃヴェ。そこでじゃ、サンヨー君のパクリ、と言われても仕方がないのじゃが、リーちゃん達全員に戦闘スーツを装備してもらおうと思うのじゃヴェ」
「えっ?」
サンヨーのカミテレコンを変形させて作った戦闘スーツのアイデアをヒエール様はガッツリとパクった。
「神がパクリなんかする訳ないヴェ!」
と、豪語していたヒエール様がなぜ?
そもそもリーちゃんがヒエール様に頼まれたのは、逃げ出した電気釜を探して連れてきてほしい、という事だけであった。その手助けをするためにレイちゃんら家電達が生まれ、それで十分事足りるはずであった。
しかし、サンヨーがうっかりSR-18にタマシールを張り付け、更にダークネームを付けてしまった事でSR-18は魔神オカマになってしまい最悪の状態に。
狂暴な魔神オカマに、家電達が付いているとはいえ、生身の小学生を立ち向かわせるのは、あまりにも無謀である。
そこで、ヒエール様は「パクリ」の批判を受けることを承知の上、戦闘スーツをリーちゃん達に与えることにしたのだ。
安全第一である。
ヒエール様はリーちゃん達の足元に何かをポトっと落とした。
拾い上げてみてみると、それはヒエール様がピースをしているイラストが描かれたバッジだった。
「うわ、ダサ」
「……」
「わーい!やったー!ありがとー」
バッジを手に取ったみんなの反応は……微妙だ。東芝だけがすごく喜んだ。
「あたしだけバッジと別に袋がついてるけど」
「袋の中には同じバッジが入っておる。サンヨー君の分じゃ、渡しておいてくれヴェ」
「ふーん、分かった。で、これ何に使うの?」
リーちゃんは袋をショルダーバッグにしまいながらヒエール様に訊ねた。東芝は嬉しそうにバッジを帽子につけ愛でるように眺めている。
「そのヒエールバッジには戦闘スーツが封入されておるヴェ。必要な時にバッジに手を当て念じれば戦闘スーツが飛びだしてくるヴェ」
「すごーい、こんな小さなバッジの中にたたんでしまってあるの?」
「いや、たたんでしまってあるわけではないヴェ、重さとか大きさは関係ないのだヴェ」
戦闘スーツはサンヨーがやったようにカミテレコンを変形させても作ることできる。しかし、スーツとして使用している間は、カミテレコンとしての機能が使えないので何かと不便だ。
そこでヒエール様は戦闘スーツを別に作り、カッコいいバッジに封入した。素材もカミテレコン同様、天界の素材を使用しているため耐熱、耐寒、耐衝撃性抜群でしかも……
「今回は特別に、天使の羽を織り込んだマントを装備しておいたヴェ」
「あっ、あたしのランドセルと同じヤツ?」
「……それは多分、登録商標のヤツでこっちのは本物の天使の羽じゃヴェ。これを織り込んだマントを付けると空を飛ぶことが出来るヴェよ」
「え? レイズちゃんに乗らなくても空を飛べるの? すごーい」
「ヒ、ヒエール様、それはマズいのでは? 人に見られたら大騒ぎになりますよ」
「ほ? 正義のヒーローが空を飛ぶのは当たり前じゃヴェ? おかしいヴェか?」
とてもおかしい、おかしすぎる。
でもまぁ、魔神オカマと一戦交えている時なら、ヒーローが2、3人周りに飛んでいても、世間の人は気にしない……かな?
「あとさあ、戦闘スーツを出した後、やっぱり自分で着替えなきゃいけないの? それって恥ずかしいんだけど」
「大丈夫じゃヴェ。スーツは自動で装着されるヴェ。装着する時は人目に付かない所でするヴェ。ヒーローは正体がバレたらマズいヴェ?」
それは正解。でもどうやらヒエール様の心の中では、テレビの特撮モノと現実世界がごちゃ混ぜになっているようだ。
「じゃあ、この前みたいに後ろ前に着てしまうこともないわね。下は? 下は何も着なくてもいいの?」
「着ても着なくてもどっちでもよいが、万が一スーツが壊れてしまったら、下に何も着ていないと外で素っ裸になるヴェよ?」
「あー、それはイやよね。服はちゃんと着ておかないとね」
新しい家電達とヘブレージボックス、それに空飛ぶ戦闘スーツ……着々と装備をパワーアップしている。
その頃、タクシーが一台サンヨーの家の前に止まり、疲れた様子のサンヨーとお母さんが降りてきた。実際3階から落ちた訳でもないので当然、精密検査も異常なし。
半日入院プラス警察も来たので、退院が少々遅くなってしまった。サンヨーが懐かしそうに家を見上げていると……
「イエーイ」
どこからか誰かの声がした。
「ん? 誰だ?」




