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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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73、魔神の反撃

73、魔神の反撃

 サンヨーの手の中で突然爆発したコンポーダンボール。

 魔神オカマを封印し、油断していたレジャズはうっかりパーシャルの魔法も解除してしまっていた。

 もしそのまま、リーちゃんの手の中で爆発していたら……ただでは済まなかっただろう。

 一方、爆発で吹っ飛ばされたサンヨーは、無事か?

 五重丸とベフは倒れたサンヨーのもとへ急行した。


 「うん、骨折とかはしていないようだな、気を失っているだけだ。サンヨー君は良くやってくれた」

 「クーン、クーン」


 サンヨーは幸い、カミテレコンを変形させた戦闘スーツを装着していたため、木に激突したものの致命的なダメージは避けられたようだ。


 「それにしても、まさか神具のコンポーダンボールを破壊するとは……」

 「ギャギャッ、人間や家電達にはムリだが、神の力を持っているオレには容易(たやす)い事だギャ」


 恐怖でその場に立ち尽くすリーちゃんを守るように、レジャズは魔神オカマの前に立ちはだかった。


 「お前、わざと負けてまでサンヨーに魂を引っ張り出させて、何をするつもりなんや!」

 「強くなるためギャ。強くなるためにはこの電気釜の体は扱いにくいギャ」


 扱いにくい? 古いから? そうだとしてもタマシールを張り付けられた家電を今さら変えられるわけない。それに電気釜がいらないって言うなら……


 「い、いらないのなら、あたしにちょうだいよ。神の御霊と一緒にさ、ヒエール様にお願いされたのは電気釜さんを連れてくるだけなんだから」

 「神の御霊は渡さないギャ、こいつは使えるからな。それじゃあそろそろ」


 魔神オカマはそう言って合掌し、ブツブツ呪文を呟き始めた。レジャズちゃんはリーちゃん達を守りながら少し距離を取るように後ろに下がった。


 「そういえばさっき、あいつは妙なことをいってたな『魔神オカマとして抜け出す』とかいったいなにをするつもりなんや?」

 

 「みんなでてこーいこっちに来るギャ!」


 魔神オカマは両手を広げ、そう叫んだ。するとSR-18本体の蓋が開き、中から紫色に光る蛇のようなものがズルズルと出てきて魔神オカマはの方に向かっていった。


 「わわ、なんだなんだ? ……変なモン出しよったで……キャーッ、ヘビきらーい」


 魔神オカマは自分の蓋を開け、その出てきたヘビのようなものを吸収し始めた。そしてヘビのようなものは、最後にシッポの先から手のようなものを出し、タマシールのシミをペリッと剥がした。すると黒く変色していたSR-18の体は、スッと元の白い色に戻った。


 「そんなアホな、タマシールのシミを()がしよったで」

 「ケケッ、見せてやるギャ、これがオレの実物大だギャ!」


 魔神オカマはそう言って、四股(しこ)を踏むように踏ん張った。するとその体はどんどん大きくなり、バビエオしているレジャズをはるかにしのぎ、神社の木よりも高くなった。

 そして、その顔は元の魔神オカマのままだが、体は様々な廃棄家電が融合して出来上がったまさに魔神のような姿へ変化してしまった。



 ちょうどその頃、マンションから、寝ぼけ顔で神社の方を眺めていた東芝は、びっくらこいて一気に目が覚めた。


 「あっあれはこの前秘密基地で見た炊飯器? みたいだけど何であんなに大きく……」


 東芝は慌てて机から双眼鏡を持ち出し、ベランダに出て魔神オカマにズームイン。


 「やっぱり、あの炊飯器だ。あの時は体から手足が生えてたのに、今は炊飯器が顔でその下に体があるみたいだぞ?」


 東芝はベランダの柵によっかかり、神社の様子を見続けた。



 「で、でかい。これが魔神オカマの実物大なんか? ……いや、こいつの体、廃棄家電の塊や……きゃーっそれってバビエオ?」


 巨大化した魔神オカマを見上げ、身構えるレジャズちゃんに魔神オカマは不敵な笑みを浮かべた。


 「ギャギャッ、バビエオとはお前ら家電達が融合合体することだギャ? オレがやったのはそれとは違うギャ、これはな……」

 「えーっ! タンクリヤクシブワ? 何なのそれ」

 「ブッ、こら! そこのチビ! 先に言うな、って何でお前が知ってるギャ?」 


 リーちゃんが何で知っているか? それはレジャズの後ろに隠れながらカミテレコンでヒエール様に連絡し、どうしたらいいか相談していたからだ。


 「ま、まあいいギャ、神の力と暗黒のダークネームの力を併せ持つオレ様に、仲良しバビエオのお前らなど勝てるわけないギャ、プチっと踏みつぶしてやるギャ!」

 「あわわわ……あんなこと言ってるよぉ、ヒエール様どうしよう」

 「逃げるヴェ! 今はとにかく逃げるヴェ! マーキングベフじゃヴェ!」

 「分かった、ベフちゃんお願いねっ!」


 リーちゃんとレジャズはベフ達の方へ向かって走り出した。


 「ベフッ」


 ベフもそれを見てシッポコードをシュルシュル伸ばし、マーキングベフの準備を始めた。

 しかし、大きな輪っかが完成しかけたその時、魔神オカマの手がベフのシッポコードをグッとつかみ顔の近くまで高々とつまみ上げた。


 「ギャワッ!」

 「あーっベフちゃん!」


 魔神オカマは目の前で、ベフを振り子のようにブラブラさせながらニヤッと笑って言った。


 「ギャギャッ犬の家電達とは珍しいギャ、オレ様のペットにしてやろうか?」

 「ガルルルルゥ……」


 ベフは(うな)りながら魔神オカマを睨み付け、ブランコを()ぐように反動をつけ魔神オカマの頭上にピョンと飛び乗った、そして、


 「シーーーッベフッ」


 何故か、おしっこをした……いつもよりも多めに。


 「ギャーおしっこ? あんた頭の上でオシッコしたわね! 信じられなーい……コラ! 落ち着くギャ、たかがオシッコだギャ……いやー! くさーい! 水、みずー」


 SR-18の御霊は魔神オカマの体内で悲鳴を上げ暴れ始めた。暴れるオカマの頭上からベフはピョンピョンと駆け下り、リーちゃん達のもとへ戻った。


 「おかえりーべフちゃん、危なかったねー、よーしよしよし」

 「五重丸! あいつオシッコで混乱してるみたいやで。もう一度攻撃してやっつけてしまおうか?」

 「いや、ここは一旦退却しよう。負傷しているサンヨー君を治療しなくちゃいけないからね、戦いが長引くとこっちがバタンキューになるかもしれないし」

 「そうそう、そうしましょ、ベフちゃんお願い」

 「ベフッ」


 ベフは再び、シッポコードの輪を作り、くるくる回転させた。


 「アオーーーン!」


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