表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
71/154

71、決着

71、決着?

 「何ゆうてんねん、最初っからガンガンやで……そやそや、チンタラやってたら夜が明けてまうわ……オラオラどっからでもかかってこんかーい」


 「……すずちゃんキャラ変わってきたね」

 「そうねお姉ちゃん、ずっと関西人とバビエオしてるからじゃないかな」


 元々すばしっこいすずちゃんであるが、さらに関西系せっかちのスピリッツが加わり「何か」がパワーアップしている。


 「フン、どれどれ」


 レジャズちゃんの挑発を聞き流し、魔神オカマはギッとレジャズを(にら)みつけながら真横に手を伸ばし、氷のオリに向かってアツアツの水蒸気弾を一発撃った。


 ズーン


 水蒸気弾は氷のオリに当り、大きな衝撃音が神社に響いた。しかし氷のオリは頑丈でびくともしない。


 「なるほどね、こりゃやられたギャ」


 魔神オカマは小バカにしたような笑みを浮かべ話を続けた。


 「このオリでオレを閉じ込めたつもりか? 確かにオレはここから出られないが、同時にお前らもオレから逃げられなくなったギャ。どうするつもりだギャ」


 レジャズも負けじと魔神オカマを(にら)みつけ言い返した。


 「ヘッ、逃げ出すつもりなんて1ミリもないで……ちゃっちゃとお前をとっ捕まえて……家帰って屁ぇこいてぇ寝るやねーん」


 あらあら、すずちゃんやっぱり何かが……リーちゃんはハッと(ひらめ)いた顔でミーちゃんを見た。


 「分かった、すずちゃんさあ、キャピキャピの乙女感が無くなったんだわ」

「そっかぁ、代りにコテコテ大阪のおばちゃん感が強くなったよね」

 「ってかおっさんだよね、屁ぇこいてぇ寝る、なんて」


 「え? 誰がおっさんやねん……オレはおっさんやで……オレも、あっイヤーン、おっさんでもおばはんでもなーい、すずちゃんですよーだ」

 「チッ、一人でもめてやがる、変なヤツだギャ」


 ドーーーン


 「ヒャッ!」


 レジャズが内輪もめしている間に、魔神オカマが背後から攻撃を仕掛けてきた。

 すずちゃんの素早さのおかげで間一髪、攻撃を回避できた。危ないところだった。


 カチーン


 再び五重丸のカチンコが鳴り響いた。レジャズがカチンコを見ると、そこにはこう書いてあった。


 「冷凍庫。巻きで!」


 レジャズは両手を前に構え、呪文を唱えた。


 「フリーザーローリミット!」


 レジャズの構えた両手の間から強烈な冷気が放出され、氷のオリにより隔離された空間の温度は急激に低下していった。


 「五重丸、レジャズちゃんは何をしてるの?」

 「神社の中を南極みたいに寒くしてるんだ。ボク達はパーシャルで守られているから何も感じないけどね」


 五重丸の言う通り、気温はぐんぐん下がってゆき、地面には霜柱も立ち始めた。


 足元が凍てつくのを嫌がり、魔神オカマは空中へ飛び上がった。それを追いかけるようレジャズも後を追った。


 「結局空中戦かギャ」


 魔神オカマはボソッとそう言って、上昇してくるレジャズに向けアツアツの水蒸気弾を撃った……が


 シュールルルゥ


 水蒸気弾は数十センチほど進んだところで昇華し、ダイヤモンドダストとなり輝きながら地上に散っていった。


 「な、なな?」

 「どやどや、この極寒状態やとお前の攻撃は無力やで……ほな、次はこっちの番や……巻きでいくわよーやでー」


 レジャズの頭の上の洗濯機のフタがパカッと開き、中心部が青白く輝き出す。モーター付き家電3台のコンボ技が発動した。


 「スプラッシュアイストルネード!」


 レジャズの頭上から、砕氷と大量の水が竜巻のように飛びだし、魔神オカマに向かって突き進んでいく。


 「ウギャーーッ!」


 直撃を喰らった魔神オカマは、一瞬にして凍りつきそのまま墜落し始める。

墜落する魔神オカマをレジャズは素早くキャッチし、リーちゃん達の隠れている大きな木の裏にスッと着地した。

隠れていたリーちゃん姉妹とサンヨーは駆け寄り、氷に覆われた魔神オカマの周りを取り囲んだ。


 「なんだかあっさり終わっちゃったな」

 「サンヨー、コイツが気を失ってるうちにさっさと引っ張り出してよ。」

 「わ、わかった。えーっと、どうするんだっけ?」

 「押すみたいに触ればいいのよ、そしたらズボッと手が入るから中にいるオカマの手を握って引っ張り出すの。さ、早く」

 

 サンヨーは恐る恐る、魔神オカマに手を近づけ思い切って押してみた。すると手はめり込むように魔神オカマの体の中に入った。


 「うわ、気持ち悪ぅ、えーっと……これかな?」


 サンヨーは魔神オカマの手らしきものを探り当て、それを引っ張り出した。引っ張り出された魔神オカマは弱々しいうめき声をあげている。

 意識が朦朧(もうろう)とし、立つことも出来ないようだ。


「うぅ、やられたギャ、動けないギャ」

「結局パチンコもいらなかったわね、ホイっと」


 リーちゃんはコンポーダンボールを、目の前で横たわっている魔神オカマにポイっと投げつけた。コンポーダンボールはパタパタと展開し、魔神オカマを包み込みコロンと地面に転がった。


 「わぁ何だギャ? 出れないギャ、助けてー」

 「やったー、魔神オカマゲットだぜ」


 ポ○モンのパクリのような決めゼリフで歓声(かんせい)を上げるリーちゃん達。

しかし、その後ろで五重丸監督は眉をひそめカチンコを鳴らした。


 「カット! カーアット!」

 「五重丸どうしたの? めでたしめでたし、でしょ?」


 「ダメだ……魔神オカマのセリフに感情が全く入っていない……」

 「へ?」

 「サル芝居だ……NGだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ