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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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69、後ろ前のヒーロー

69、後ろ前のヒーロー

 「な、何とオレの攻撃を受け止めおったか! 貴様いったい何者だギャ」


 カミテレコンの素材は、ヒエール様が天界から取り寄せた特別な材料が使われている。絶対に切れることのない運命の赤い糸、狙った相手のハートを確実に射貫(いぬ)くキューピッドの矢、等々、地上では手に入らないレアな物ばかりだ。

 いかなる衝撃にも耐え、伸縮性、通気性も抜群なサンヨーの戦闘スーツは見た目の安っぽさからは想像できないほど高性能なのだ。


 突然現れた後ろ前にスーツを着た赤い戦士を(にら)み付け、魔神オカマは身構えた。

 それに対し、見た目は無敵のスーパーヒーロー、だが中身のサンヨーは半泣き状態だ。(あわわわわ……泣)


 しかしリーちゃん姉妹、自分の後ろで身を隠している女子二人の手前、グッと踏ん張りカッコつけて言い放った。


 「オレ? オレはえーっと……サンシャインレッド、正義のヒーローだぜ!」

 (うわ、言っちゃったよ? どーすんのオレ)」

 「サンシャインレッドか、覚えておいてやるギャ。まもなく粉々になる運命だがな」


 魔神オカマは次の攻撃の準備を始めた。

 その体は暗闇の中、溶岩のような鈍いオレンジ色に輝き出し、突き出された手のひらに光の玉が少しづつ大きくなってゆく。


 「サンヨー、さっきよりヤバいのがきそうよ」

 「わわわ……どうしよう」


 リーちゃんはビビりまくるサンヨーを心配そうに見た。すると薄暗いからよく分からないがサンヨーのベルトに刀のようなものが付いているのが見えた。


 「サンヨー、腰に刀みたなのがついてるじゃない、それで何とかならないの?」

 「え? あホントだ。あれ? 何で後ろ向きについてるんだ? ぬ、抜けない!」

 「もう、あんたが後ろ前に着るからでしょ、ほら!」


 リーちゃんはサンヨーの腰の刀みたいな武器を抜き、サンヨーに手渡した。


 受け取った所でサンヨーも、その使い方が分からない。

 とりあえず両手で持ち、それなりに構えてみた。切っ先が小刻みに震えている。


 「ゴハンガ、タケマシタ、スチームエクスプロージョン!」

 「ひえぇぇぇ~」


 魔神オカマの手のひらから放たれたアツアツ水蒸気の塊は、彗星(すいせい)のようにサンヨーめがけて向かってくる。


 「ええい! クソッこっち来んなー」


 後ろ前のヒーローは刀をブンブン降りまわした、が、何も起こらない。

 もうやけくそで上段の構えからエイッと一気に振り下ろした。

 その時!


 ギーーーン


 何と振り下ろされた刀の軌道(きどう)に沿うように、砕氷(さいひょう)をはらんだ竜巻が飛びだし、魔神オカマのアツアツ水蒸気を貫いた!

 水蒸気はドーナツ状にボワッと広がり消え去った。

 氷の竜巻はその後も勢いを保ったまま、魔神オカマめがけて突き進んでゆく。


 「チッ」


 魔神オカマは咄嗟(とっさ)に横っ飛びをして回避した。しかし、電気釜の蓋の端を冷気がかすめ、白く凍りついてしまった。


 「ギャギャッ……やりやがったな、こんちくしょう……」


 起き上がった魔神オカマは、鬼の形相でサンシャインレッド(サンヨー)を(にら)み付けた。凍り付いた蓋はジュッと音を立てて元通りに。ダメージはほとんど無いようだ。


 「サンヨー君、すごいじゃない、今の攻撃どうやって出したの?」

 「し、知らないよ。夢中で刀振り回してたら勝手に……」

 「まるで、レイちゃんの魔法みたいだったわね、えーっとクラッシュ何だっけ」


 「クラッシュアイスブリザードやで、リーちゃん」

 「あ、そうそうクラッシュアイスクリームブリ……えっ?」


 リーちゃんに正しい名前を教えてくれたのは、何とレジャズだった!


 「レ、レイちゃん大丈夫なの? お腹に穴が……あれ? レイちゃんが二人? 何で?」

 「リーちゃん落ち着きぃや、攻撃喰らってぶっ倒れてるそっちのボクをよう見てみ」

 「な、何だギャ? お前なんで二人……あっ!」


 レジャズの横で倒れているレジャズを魔神オカマも含め全員が見た。それは冷凍室辺りに穴が開き倒れているレジャズちゃん……でも、よーく見ると……


 「あっそれは……」

 「そやで、これは『ムキムキレイ太の像』氷でできた身代わりやで……勝手に雪だるまを食らわした後、これを作ってここに置いたんや……そんでアフレコしたのー、ビックリしたー?」


 そう、リーちゃんとサンヨーが大声を呪文を唱え、見つかりそうになった時、レジャズはこそっと少し離れた所に移動して、魔神オカマに雪だるまを落とし動きを止めた。そして、その隙に「ムキムキレイ太の像」を神社の入り口に置いて魔神オカマを煽った。

 リーちゃん達の近くで戦いを始めると巻き添えでケガをさせてしまう危険がある為、隠れている所から魔神オカマを遠ざけるためだ。


 「じゃあ、さっきオレの刀から出たあの攻撃は?」

 「ボクがサンヨーの後ろに回り込んで撃ったんや。その刀から出たんちゃうで……そんでその後、様子を見ながら入り口の方に戻ったんや……もう、忙しいんだからー」

 「はあ……もっと早く出てきてくれよ、オレ殺されるかと思ったぜ」


 サンヨーは、ドッと疲れたようにへたり込んだ。


 「ははっ、でもカッコよかったでサンシャインレッド。スーツが後ろ前やなかったらもっとカッコよかったのに」

 「うるせー、このクソレイ太」


 「お、お前ら何まったりなごんでるギャ! バカにしおって、もう許さんギャッ!」


 自分を無視してネタバレ話で盛り上がっているレイちゃん達に、魔神オカマはイライラして怒鳴(どな)り声を上げた。


 「みんな、魔神オカマが怒り出したよ、計画通りだね。そろそろ本番いこうか」


 五重丸がどこからともなくカチンコを取り出し構えた。



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