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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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66、作戦変更

66、作戦変更

 「え? 五重丸、勝手に氷でどうするんや?」

 「氷で廃棄家電のようなものを作ってほしいんだ。それをあぜ道に並べよう」


 元々、五重丸の作戦では、不法投棄の家電を神社の周りに並べ魔神オカマをおびき寄せ、不意打ちを喰らわして封印してしまおう、という計画だった。


 (五重丸から作戦を聞いたときは、いい作戦だと思ったんだけど、やっぱ結構無理があるよね……)


 そう思ったミーちゃんは、代替(だいが)え作戦の準備をしている五重丸とレジャズに話しかけた。


 「ってか、先に盗まれてるってことは、もうとっくにバレてるんじゃないの?」


 振り向いた五重丸は、余裕の()みを浮かべミーちゃんに答えた。


 「大丈夫、この作戦はヤツを人気のない所におびき出すことがそもそもの目的だからね。ヤツにバレていても別にいいんだ」

 「そうなんだ、バレてしまうこともちゃんと考えていたのね」

 「うん、でも廃棄家電を先に全部持っていかれる事は考えてなかったな」


 「勝手に氷からのぉ、ボロボロテレビっ」


 ミーちゃんらが話しているのを横で聞きながらレジャズは氷で、廃棄家電のダミーを作りだしている。出来栄えはなかなかの物で、雪まつりの雪像として出品しても結構いい所まで行きそうなくらいだ。


 「あれ? レイちゃんこの冷蔵庫……何?」

 「どや、ボクにそっくりやろ」


 レイちゃんの作った氷の冷蔵庫は、ボディビルダーみたいなポーズをとってデカさをアピールし、顔も(ほり)が深くキリっとしている。はっきり言って別人、いや別家電だ。自信満々に見せたがみんなの評判はというと……


 「確かによくできているけど廃棄家電に顔や手足があるのはおかしいんじゃないか?」

 「そうだよ、それにレイちゃんこんなに鼻高くないし」

 「うんうん、もっと顔、ペッタンコだよね、あたしは嫌いじゃないけど」


 みんなにダメ出しされた。リーちゃんだけは少しだけフォローしてくれたが、そして、さらに……


 「そ、そっくりやん、どこからどう見ても……いやいや、こりゃやってもうたな……アハハハ、レイちゃん盛りすぎー」


 バビエオで一体化しているレジャズ内でも、ジャブ君とすずちゃんが食い気味にダメ出しをしてきた。


 「……チェッ分かった、分かりましたよ」


 そう言ってレイちゃんは指をパチンと鳴らした。自信作の「ムキムキレイ太の氷像」は一瞬で昇華し、星空に消えていった。


 「さてと、冗談はこれくらいにして」

 「何が冗談やねん」

 「とにかく、ヤツはいつ現れるか分からないから、早く準備を終わらせないと」

 「そらぁそうやけど……オッケー次はどうするのー」


 レイちゃんは少し不満気だが、ぐずぐずしている時間はない。


 「あとは臨場感で神社の入り口付近に廃棄家電の映像を映し出し、神社の中に誘い込むんだ」

 「こんな氷で作った家電、近くで見たらすぐバレちゃうじゃん。怪しんで神社に入ってこないんじゃないのか?」

 「大丈夫だよ、サンヨー君。ヤツはからかわれたと思って逆上し、神社の方に向かってくる。相手を怒らすのも作戦のうちだよ」

 「最初の『不意打ち作戦』より危なそうだな、大丈夫かよ」


 魔神オカマを引っ張り出す役割のサンヨーは、怒りの形相(ぎょうそう)で突進してくる魔神オカマを想像して、すごく不安げだ。

 その様子を見て、レジャズがサンヨーに近づき肩にポンと叩いた。


 「なにビビッてんねん、お前にはボク達モーター付き家電が3台バビエオしたレジャズ様がついてるやんけ……そやそや、しょーもない心配すんなっちゅうねん……ファイトファイトサンヨー、キャッホーッ」

 「お、おぅ……」


 準備を終えた一行は、細かい打ち合わせをしながら神社の奥に行き、大きな木の後ろに身を隠した。神眼コンタクトの使える魔神オカマに見つからないよう家電達は小さくなり、リーちゃん達は近くに捨ててあった波板(なみいた)を頭に乗せしゃがみこんだ。物陰に隠れてしまえば神眼コンタクトで心を読まれることもない。


 「静かだな」

 「夜中だもん、大人だってみんな寝てる時間だよ」

 「だよな」


 ゲロゲロゲロゲロ、クワックワックワックワッ


 「カエルは元気だね。一晩中鳴いて疲れないのかな」

 「さあな、ところでカエルってどこから来るんだ? 田んぼのおっちゃんが飼ってるのか?」

 「何言ってんのよ冬眠してたのが土の中から出てくるんじゃない」

 「へー、お姉ちゃん良く知ってるねえ」

 「当たり前でしょ、そんなの。明日終業式で、夏休みだからカエルの自由研究でもしたら?」

 「ヤだよ、気持ち悪いし」


 ゲロゲロゲロゲロゲロ……ゲ


 「あれ? カエル急に鳴き止んだねえ、どうしたんだろ」


 「ギャッギャッ」


 「あ、違うカエルが鳴きだしたよ」

 「シーッ! 静かに。アレはカエルじゃない、リーちゃん、ヤツが来たみたいだ」


 五重丸は木の陰からそっとあぜ道の方の様子を伺った。


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