60、スケジュール発表
60、スケジュール発表
ピピピピッ♪ピピピピッ♪ピピピピッ♪
枕元の目覚まし時計がリーちゃん姉妹を起こそうと、電子音を鳴り響かせる。
「ん~にゃ……にゃ」
「うう、あーよく寝た、起きなよ……リー、朝だよ」
「おっはよー、朝だよー、今日もいい天気だよー」
夜中に不法投棄の家電を集めるため、五重丸と出掛けていたすずちゃんが本体に戻っている。元気いっぱいの「おっはよー」は、それが上手くいったということだろう。
リーちゃん姉妹は服を着替えながら、すずちゃんと話を続けた。
「ねえ、すずちゃん上手くいったの?」
「うん、神社の前のあぜ道で五重丸君が地デジカを呼び出したら、すごーくいっぱいでてきたの。何百匹いたのかしらー、いっぱいで数えられなかったわー」
「へー、すごいねえ。それで呼び出した地デジカ達は、あの地デジカの命令をちゃんと聞いてくれたのかしら」
「バッチリだよーみんなツノ外して私服に着替えて出てきたわー。ジャージとかアロハシャツとか、いろんな服着て出てくるから面白かったー」
「ふーん、あたしも見たかったなぁ」
床に座り靴下をはきかけたかっこうで、すずちゃんの話に聞き入っていると、リビングから朝食の匂いと一緒にお母さんの急かす声が聞こえてきた。
「ミー、リー、さっさと着替えて降りてらっしゃーい」
「あ、お母さんが呼んでる。じゃあね、すずちゃん行ってきまーす」
「いってらっしゃーい、車に気をつけてねー。今晩がんばろうねー」
「え? 今晩?」
今晩がんばるって……魔神オカマを捕まえる事のこと? そういや、いつやるって聞いてなかったけど……
今日?
しかも真夜中に? でも、しょうがないか、昼間は人がいっぱいいるからムリっぽいよね……あたし起きてられるかしら? うーん……
「リー、あんたランドセル忘れてるわよ」
「あ」
考え事をしていて、うっかりランドセルを忘れたリーちゃんは面倒くさそうな顔で子供部屋に戻った。
「すずちゃん、魔神オカマを捕まえるのって、今晩やるの?」
「そうよー、神社で集めた家電を隠したあと、ヒエール様と相談して決めたのー。早い方がいいだろうってー」
「そりゃそうだけど……あたし夜中になんか起きられないよ」
「大丈夫ー、私にまかしてー」
「へ? すずちゃんに?」
「リー! 降りてらっしゃーい、遅刻するわよーっ」
「あっ、はーい、今行くー」
お母さんの最終通告を受け、リーちゃんはモヤモヤしながらリビングに降りていった。ミーちゃんを見ると、朝食をほぼ食べ終わり牛乳をぐびぐび飲んでいる。リーちゃんは慌てて椅子に座り食べ始めた。
「おはよう、リーちゃん。食べながらでいいからこれ、見てくれるかな」
五重丸はそう言って画面に今夜のスケジュールを映し出した。もちろんリーちゃん姉妹にしか見えないパーソナルモードで。
二人はテレビを見ているふりでそれに目をやった。
☆☆☆まじんオカマほかくさくせんスケジュール☆☆☆
9時……おやすみ
0時……おきて、おでかけのじゅんび
0時30分…しゅっぱつ
0時45分…じんじゃとうちゃく、じゅんび
1時~夜明け…ほかくさくせん
「モグモグ……うわ……9時おやすみだって」
「無茶だよね、子供じゃないのにそんな早く寝れないし」
「そうよ、子供だし夜中に起きるなんてムリだよ、ぶー」
二人はキッチンのお母さんに聞こえないよう、ひそひそ声で、子供だから、子供じゃないのに、と勝手な立場を主張し強行スケジュールにクレームをつけた。
「悪いね、でも夜中に作戦を実行するには、これ位のスケジュールで行かないとキツイと思うんだ。子供のリーちゃん達にオールさせる訳にはいかないしね」
「オールって何?」
「朝まで寝ないってことだよ」
「えー、ムリムリ絶対ムリ」
「……ま、ごもっともだね、じゃスケジュールを30分遅らせよう、その代り捕獲作戦は『巻き』でおねがいするよ」
と、言う事で、おやすみは9時30分という事に。いつも寝るのは大体10時くらいだから、ちょっと早いだけだし問題はない。いや、スケジュール通り30分早くベッドに入ったとしてもドキドキしていつもより寝られないような気がする。それが問題ね。
「ほらほら二人とも、ボーっとテレビ見てないで、歯磨いて、顔洗って」
「はーい」
「ほーい」
今夜の捕獲作戦スケジュール、サンヨーにも知らせなくちゃ。
リーちゃん姉妹は集団登校の集合場所、ドーナツ公園へ向かった。
しばらく歩いていると、後ろからサンヨーの声が聞こえた。
「おっはよー、かお……まつしたぁ」
「あ、おはよう(よしよし、ちゃんと苗字で呼んでるね)あのね、今晩ね……」
リーちゃんはサンヨーに今晩の捕獲作戦スケジュールを伝えた。サンヨーは少し迷惑そうな顔をして。
「えー? 9時半に寝ろってか、オレいつも11時頃まで起きてるのに」
「うそっあんた、そんな遅くまで起きてるの?」
「うん、お父さん帰ってくるの遅いから、大体いつもそれくらいになるんだよ、別にいいよオレずっと起きてるし」
「ダメよサンヨー君、明日もまだ学校あるのに、倒れちゃうわよ」
「大丈夫だって、神社でサクッとあいつを捕まえたら、その後すぐ寝られるんだろ? 余裕、余裕」
「もう、めんどくさいんだから。お姉ちゃんもう好きにさせておいたら? じゃ今晩迎えに行くからちゃんと用意して待ってるのよ」
「オッケー、オッケーおまえもコンポーダンボール外すんじゃねーぞ。じゃあな」
自信満々のサンヨーは、小走りで男友達のいる方へ歩いて行き集団登校の列に加わった。
「余裕だね、サンヨー君。本当に寝ないつもりなのかな」
「言っても聞かないんだからもういいよ。もし起きる時間に寝てたらレイちゃんに雪だるまで起こしてもらうわ」
「……そうね、それとサンヨー君も言ってたけどコンポーダンボール、上手く当てられるか心配だわ。怖いしね」
不安がるミーちゃんを見てリーちゃんはフフンと笑った。
「大丈夫よ、あたしいいやり方考えたんだ」
「え? そうなの? 私にも教えてよ」




