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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
57/154

57、ベジャブー君出動!

57、ベジャブー出動!

 カシャカシャッカシャカシャッ


 虫かごカメラのシャッター音とゲスな質問が3人に容赦(ようしゃ)なく(おそ)いかかる。


 「さっさと片付けて」


 リーちゃんにそう言われたベジャブー君は、ササッと東芝とソニーの背後に回り込み、おもむろに片足を上げた。


 「シー、べフッ」

 「わっ何か足に生暖(なまあたた)かいものがかかったぞ?」

 「ボ、ボクも、うわっ! くっさー! オシッコみたいな(にお)いがするよ」


 いきなり何かをかけられ慌てふためく二人。東芝は足の()れた所を(さわ)り、(さわ)った手についた液体を()いで顔をしかめ近くの木に手をなすり付けている。

 ムッとした顔でその様子を見ているリーちゃんにミーちゃんが質問した。


 「ねえ、ベジャブー君はこいつらをどうするつもりなの?」

 「知らないわ、そんなの。何とかしそうだから任したのよ」

 「……? ま、いいか」


 ベジャブー君は、シッポコードをシュルシュルと伸ばし、カウボーイの投げ輪のような輪を作った。その輪っかは東芝とソニーの頭上でクルクルと回転し始めた。


 「あっこれは、ひょっとして」

 「アオーーーン!」


 ベジャブー君が狼のような遠吠(とおぼ)えをすると、シッポコードの輪が青白く光り出し、東芝とソニーの頭上から足元へシュッと通り過ぎた。


 「あっ消えちゃったよ、ベフちゃんマーキングベフを使ったんだ」

 「どこに連れていったんだろうね、五重丸分かる?」

 「マーキングベフは、ベフが行った事がある所にしかワープ出来ないからこの町のどこかだとは思うけど」

 「なーんだ、つまんない。どうせなら南極とかに連れてってくれたらいいのに」

 「……リーちゃん、えげつないな」


 五重丸の言う通り、マーキングベフはベフちゃんが散歩中にマーキングした所にしかワープできない。行ったことがない所にはワープ出来ないのだ。もし出来たとしてもTシャツ短パンで南極に放り出されたら、ほぼ即死だ。

 と、言う事でマーキングベフのワープゲートはこの町のある場所にホワッと開いた。そしてその青白い輪っかの中から東芝とソニー、そしてベジャブー君が現れ、ストンと着地した。


 「ああっ! あれ? ここは?」

 「絶壁だ……なんで? ぼく達神社にいたはずなのに」

 「そうだよな、虫取りしに神社に行って、行ったらサンヨーと松下がいて……」


 自分達の身に何が起こったのかまったく理解が出来ない東芝とソニー。絶壁(ぜっぺき)石碑(せきひ)をペチペチ叩きながら、首を(かし)げ考え込んでいる。


 「よっしゃ! いよいよオレの出番やな……べフッ」


 ベジャブー君は、両手のひらを上に向け呪文を唱えた。


 「スッキリシミ取りー」


 するとベジャブー君の手からブクブクと泡が出始め、ドッジボール位の泡玉が二つ出来た。ベジャブー君はその泡玉を東芝とソニーの頭にズボッと被せた。


 「うわっ頭になんか乗っかったぞ?」


 白髪(はくはつ)のアフロみたいになった二人は、乗っかった泡玉を必死で取ろうとしたが取ることができない。

 その様子を見てベジャブー君は二ッと笑い、呪文の続きを唱えた。


 「神社の出来事、キレイサッパリー」


 二人の頭に乗っかっていた泡玉はパフっと弾けるように消え去り、泡と一緒に神社での記憶もキレイさっぱり消え去った。東芝とソニーは夢からさめたような顔でお互いを見つめ合った。


 「……オレ達、虫取りしに来たんだよな、サンヨー誘いに行ったけど居なかって、それで二人で……」

 「うん……でも、学校で虫取りするんじゃなかったような気がするんだけど……あっ!」

 「東芝、何か思い出した?」

 「カナブン見っけ―、ラッキー」

 「あっいいな、オレも探そーっと」


 初物(はつもの)の魅力は絶大だ。この夏初のカナブンゲットは、寿命が75日のびる、などという効果はないが、記憶の一部が吹っ飛んでしまった、超常現象的違和感くらいは完全に消去してくれた。


 「よしよし、キレイサッパリ忘れたようやな。ほな戻ろか……ベフべフッ、アオーーーン!」


 ベジャブー君は再びマーキングベフで神社に戻った。


 「あ、お帰りなさーい、どこまで行ったの? ベフちゃん疲れてない?」

 「絶壁(ぜっぺき)や、あそこやったら迷子にならんと帰れるやろうし。リーちゃんらに会った記憶は、オレの魔法で消しておいたから、もう冷やかされたりせえへんわ。ベフもバビエオの効果で、パワーアップしてるし大丈夫やで……ベッフン」


 「今回の恋愛スクープはマーキングベフとスッキリシミ取りで、完全に抹消(まっしょう)された。ま、ぼく達の記憶には残っているけど誰にも言わないから安心していいよ。ベジャブー君、お疲れ様」


 恋愛してねーっつうのに……


 と、リーちゃんは思った。とりあえず、これで学校で冷やかされたり、あちこちに相合傘の落書きをされたりすることも無くなった。一件落着である。


 「じゃ作戦会議に戻ろう。魔神オカマをおびき出す場所はここ『神社』で決まり、大体の流れはベジャブー君が恋愛スクープの始末に行っている間に、残ったメンバーで話し合って決めたから、二人にはまた後で説明するよ。あと、少しエサが必要だ」

 「エサって?」

 「不法投棄の家電だよ。何台か集めてこの近くに置きたいんだ。それで魔神オカマをおびき寄せる」

 

 簡単に集めるといってもリーちゃん達小学生には、重くて無理だし。


 「そんなの、あたし達運べないよ、それに町中の不法投棄の家電はもう魔神オカマが持って行ったんじゃないの?」

 「いや、不法投棄は人に見つからないようコッソリやるもの、まだまだ人目につかない所に残っていると思うよ。それを探して集めるメンバーも決めている」


 そう言って五重丸は親指と人差し指でL字型に立てフフッと笑った。


 そのポーズ、もしかして?


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