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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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24、リサちゃんにお出かけ

24、リサちゃんにお出かけ

 「それじゃあみんな、来週も見てね!バイバーイ」


 「ミーちゃん、リーちゃんアニメが終わったね。そろそろ出かけようか」


 大画面液晶テレビの五重丸が、テレビを見ている姉妹に声をかけた。


 「そうね、じゃ、みんな、お出かけの準備をしましょう」

 「そうしましょー」

 「あーそうしまひょ」

 「お父さんはダメ、お留守番よ」

 「えー?」


 あれ?お父さんも会話に入っている。家電達の声が聞こえてるの?

 いいえ、聞こえていません。

 家電達が言った言葉をミーちゃんが復唱し、それに合わせて手に持っているぬいぐるみを動かしている、いわゆる「お人形さんごっこ」のふりをしているのだ。

 これでごまかしながらお父さん達のいる所で、家電達と会話をする「ぬいぐるみごっこ大作戦」昨日の夜、寝る前に二人で考えた作戦である。


 すずちゃん 「お出かけなんて初めて。ドキドキするわ」

 クマさん(ミーちゃん) 「お出かけなんて初めて。ドキドキするわ」

 ウサギさん(リーちゃん) 「フンフン大丈夫、お出かけは楽しいわよ」

 すずちゃん 「そうね、みんなと一緒ならきっと楽しいわよね」

 クマさん 「そうね、みんなと一緒ならきっと楽しいわよね」

 ウサギさん 「神様もきっと楽しみにしてるだろうし、早く行きましょう」

 お父さん(右手) 「わーい出発だ、ヤッホーい」

 ウサギさん 「お父さんはダメ、お留守番よ」

 お父さん 「ショボーン」

 「ハイ、と言うことで、あたしたちは遊びに行ってきまーす。お姉ちゃん、行くよ」

 「うん、わかった。お母さーん、リーと二人で遊びに行くからね」

 「あ、そう、お昼ごはんまでには帰ってくるのよ、今日も暑いから二人ともお茶持って行きなさい」

 「はーい」

 「ほーい」


 ミーちゃんが冷蔵庫の麦茶ポットを取り出し、水筒にお茶を入れているとレイちゃんが話しかけてきた。


 「どうするん? みんなでぞろぞろ歩いて行くの?」


 ミーちゃんはリーちゃんの首に水筒を掛けてやりながらレイちゃんに聞いてみた。


 「うーん、きのうはそう思ってたけど、みんな外に出るの初めてだし、ベフもちゃんとついてくるか心配だし、現地に着いてから呼び出した方がいいかな? と思ってるんだけど」

 「お姉ちゃん、ゲンチってどこ?」


 「現地は、今から行く所のことよ。神様の所に着いてからってこと。ねえ、レイちゃんどう思う?」


 「そうやな、結構テレビで予習してたボクでも昨日はちょっと怖かったもんな。その方がいいんちゃう? でも、ボクは家から一緒について行くで。神様との契約も済ましてるし」


 「わかった、じゃ、外に出てから呼び出すわね」

 「りょーかい」


 キッチンを出たリーちゃん姉妹は一階へと向かった。その足音を聞いた洗面所のジャブ君が声をかけてきた。


 「ミーちゃんリーちゃんおはようさん、今から神様の所に行くんか?」

 「うん、でもジャブ君たちはあっちに着いてから呼び出すからちょっと待っててね」

 「あ、そうか。オレも今洗濯中で忙しいし。歩かんでええんやったら、楽でエエわ。ほな気をつけて」


 ……よほど大家族でない限り、朝に1~2回洗濯をすれば後はお休み。洗濯機は三種の神器の中で一番お気楽な日々を過ごしている。ジャブ君もそのせいか、少しものぐさな性格のようだ。ノリはけっこうよさそうなんだけど。


 「行ってきまーす」


 リーちゃんとミーちゃんは、玄関を飛びだしリサイクルショップへと歩き始めた。今日も昨日に負けないくらい、いい天気。


 「ふーっ、暑いねえ、じゃ、そろそろ……」


 リーちゃんはカミテレコンからリボンを外し、レイ太のボタンを押した。


 ボン


 「ジャジャーン、レイちゃんとうじょうー」

 

 現れたレイちゃんは、ぎこちなく変なポーズを取って見せた。「な、何それ」リーちゃん達は呆れ顔で立ち尽くした。


 「あれ? 変やった? いや、登場する時はやっぱりポーズを決めなアカンと思って考えてたんやけど、呼ばれる時っていきなりやん? 予告もないし準備っちゅうもんが……」

 

 すべったような感じになったレイちゃんはグダグダ言い訳をした。


 「あははっレイちゃん面白いねえ、別に戦隊ヒーローでもないんだし、普通でいいよ」

 「あ、そう? じゃ今度から普通に現れるわ。あー外は気持ちいいね、ほな行こか」


 レイちゃんは、昨日と違いしっかりとした足取りで歩き始めた。その横にミーちゃんは駆け寄り話しかけた。


 「ねえ、レイちゃんは魔法ができるんでしょ? 何かやってみせてよ」

 「そうそう、レイちゃんは凄いんだよ、トラックに轢かれそうになったあたしを魔法で助けてくれたんだから」

 「そう? そんなに見たい?」

 「見たいー」

 「やってやってー」


 女の子二人におだてられ、レイちゃんはまんざらでもない顔で野菜室から「トリセツ」を取りだしペラペラとめくりだした。


 「しょーがないなあ、じゃ、チョットだけ……あ、コレにしようかな」


 レイちゃんはトリセツを野菜室にしまい、キリっと偉そうな顔をして呪文を唱えた。


 「勝手に氷っ!」


 「?」

 「それ、呪文なの? らしくないけど」


 ポカンとしている二人の頭上から、四角い氷が落ちてきた。リーちゃんそれをナイスキャッチ、ミーちゃんの方の氷はミーちゃんの頭に当たった。「コツッ」


 「あたっ!」


 ※「勝手に氷」氷を精製し空中に出すことができる。


 「えー?魔法ってこんなの? 何かしょぼいな」

 ドカーンと派手なヤツを期待していたミーちゃんは、ちょっとがっかりしたようだ。リーちゃんは氷をほお張り、ボリボリかじった。


 「でもさ、不思議でしょ? 空から氷が落ちてくるんだもん、ボリボリ。あっレイちゃん、あいつがいるよ、あいつの上にも落とせるかな?」


 リーちゃんの指さす方向に目をやるとドーナツ公園が見えた。木製のアスレチックの上にサンヨーがボーっとした顔ですわっていた。誰かと待ち合わせをしているようだ。


 「あれってサンヨーやな。できるよ、ほな、男子やからちょっとだけオマケしとこか」


 そう言ってレイちゃんはまた、偉そうな顔で呪文を唱えた。


 「勝手に氷、ちょっとおっきめ!」

 

 すると、サンヨーの頭上30センチほど上に野球のボールくらいの大き目の氷が現れた。それを見たリーちゃんが小さな悲鳴を上げたので、サンヨーはリーちゃん達に気付いてこっちを見た、と同時に、


 ゴス


 「いってぇー、誰だよ石投げたの! あ? 何だコレ、氷?」


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