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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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23、日曜日

23、日曜日

 グイーン……

 

 日曜日の午前6時すぎ。誰もいない静かなリビングに冷蔵庫のモーター音だけがわずかに聞こえる。バタンキューで気を失っていたレイちゃんが目を覚ました。


 「はっ! リーちゃんは? あ、ボクはフリーズを使って気を失って。あれがバタンキューになのか……ん?」

 「ベフベフベフッハッハッ」

 「わっ犬 ?ちゃうわ、炊飯器やん。なんで炊飯器が犬みたいに吠えてんねん」


 半日気を失っていて今の状況が全く分からないレイちゃんに五重丸が声をかけた。


 「おはよう、君がレイ太君だね。ぼくは五重丸、キミの横の炊飯器はベフだよ。リーちゃんにタマシールを貼ってもらってしゃべれるようになったんだ。そしてこの子は扇風機のすずちゃん、一階には洗濯機のジャブ君もいるよ」


 五重丸に紹介されたすずちゃんは恥ずかしそうに笑った。


 「そうか。そうなんや……ボクがバタンキューになってるうちに色々あったんやな。それでリーちゃんは? ケガとかしてへんかな」


 「リーちゃんは大丈夫よー。元気すぎるくらい。多分もうすぐ起きてくるんじゃないかしら。今日はみんなでお出かけするみたいだしー」


 すずちゃんの答えにレイちゃんはホッと胸を、いや野菜室を撫でおろした。


 リビングで家電達がガヤガヤ話しているその頃、3階の子供部屋では……

 2段ベッドの下の段で寝ていたリーちゃんが目を覚ました。


 「うーん……うにゃにゃ……くぁ」


 大あくびをひとつし、おしりを()きながら枕元のカミテレコンのリボンを外し、呼び出しボタンを見てみた。レイちゃんのボタンは赤から緑に変わっていた。

 リーちゃんはニコッと笑い「レイ太」のボタンを押した。


 ボン!


 目の前にレイちゃんが現れた。リーちゃんは嬉しそうにベッドから飛び出し、レイちゃんに抱き着いた。

 「わっ! リーちゃん? どうしたん? ここはどこ? ボクはどうやってここに来たん?」

 「よかったぁ! レイちゃん元気になって。ありがとうね、助けてくれて」


 2段ベッドの上のミーちゃんも二人の声で目を覚まし、ベッドの柵から顔をのぞかせ声をかけた。


 「おはよー、あっ、あなたが冷蔵庫のレイ太君ね。初めまして」

 「あれっ、ミーちゃんもボクが見えるようになってるやん。五重丸やらすずちゃんやら家電仲間も増えてるし、ボクがバタンキューになってるうちに一体何があったん?」

 「あら、五重丸たちともうお友達になったの? みんないい子でしょ。ベフは犬だけどね、フフッ」


 二人はレイちゃんに神様のお願いの事、タマシールを使ったミーちゃんも家電達が見えるようになった事等々、レイちゃんがバタンキューになっているうちにあったことを説明した。


 「そうか、それで今日は神様にみんなを会わすためにリサイクルショップに行くんやな。すずちゃんの言ってた『お出かけ』ってその事か」

 「そうよ、リサちゃんが開くの10時だから、テレビの漫画が終わったらすぐ出かけるからね」


 ミーちゃんもベッドから降りてきて、レイちゃんの頭を撫でてみた。


 「わぁ、レイちゃんあったかいんだね、冷蔵庫なのに」

 「そうやで。中はヒエヒエやけど表面はあったかいんや」

 「あ!」


 そして、ふと昨日の朝の「あずきバー事件」の事を思い出した。


 「わかった、昨日の朝、私がこっそりあずきバー食べたことチクったのレイちゃんでしょ。冷蔵庫だもん、中から何出したかわかるもんね。もう、レイちゃんおしゃべりなんだから」

 「ち、チクったって、人聞き悪いなあ、そもそもボクの声はお母さんとかには聞こえへんし、チクりようがないやん!」


 「まずい……」初対面でいきなりケンカしそうになっているのを見て、リーちゃんは慌てて二人の間に割って入った。


 「ごめんごめん、あたしがうっかり言ってしまったから、お母さんにバレちゃったんだ、今度から気を付けるね。お姉ちゃんも、もうつまみ食いしちゃダメよ」


 「わ、わかったわよ……」

 「う、うん……」


 リーちゃんの介入で無事、ケンカになる前に治まった。さすが妹ではあるがアネゴ肌、リーちゃんは面倒見がいい。

 そうこうしているうちに、リビングの方から、包丁がまな板を叩く音と、トーストの焼けるいい匂いが漂ってきた。お母さんが朝食の支度を始めたようだ。


 「そろそろ朝ごはんみたいね。お腹空いたよ。リー、着替えて降りよっか」

 「うん、そうね。今日も忙しくなりそうだし。じゃ、レイちゃん出て行って」

 「え? なんで?」

 「何でって、着替えるからよ、エッチねえ」


 リーちゃんは口をとがらせボタンを押した。


 プチ


 「エ、エッチって、お」


 「レイ太」ボタンを押されたレイちゃんは、何か文句を言いかけたが、ポムっと消えた。


 「いおい、何もしてない……あれ?」

 「あら? お帰りなさいレイちゃん。リーちゃん達に呼ばれていたのね。急に無口になったのでどうしたのかと思った」


 本体に戻って来たレイちゃんにすずちゃんが、リビングに涼しい風を送りながら話しかけてきた。


 「うん、リーちゃん達に色々聞いてきたから、事情は大体わ……ヘブァ……バタッ」


 レイちゃんがすずちゃんとしゃべっている最中に、お母さんが何度も冷蔵室のドアを開け閉めする。その度会話がとぎれて何をしゃべっているかよく分からない。


 「あはは、キッチンにお母さんがいると冷蔵庫は忙しいね。話は朝食の準備が終わってからにしよう」


  朝の情報番組をお茶の間にお届けしている五重丸がそれを見て笑った。


 「そうやな、その方がい……バタッ」


 朝食の支度を終えたお母さんが冷蔵庫のドアを閉め、3階に向かって声をかけた。


 「みんな、朝ごはんよー降りてらっしゃーい」


 「はーい」


 「へーい」


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