表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
20/154

20、仲間を増やそう

20、仲間を増やそう

 自分の手足を見て、オタオタしているジャブちゃんを見てミーちゃんはそう思った。リーちゃんはジャブと少し話した後、カミテレコンを頭から外し、困った顔をして首をかしげた。


 「あれ?ヒエール様に電話したいんだけど、コレどうやってかけるんだろ」


 「あんた知らないの? それ、リボンの所が外れるようになってて、ウラにボタンがあるのよ」


 ミーちゃんはリーちゃんが寝ている間にカミテレコンの使い方もしっかり聞いていたようだ。リーちゃんはカミテレコンのリボンを引っ張るとポロッと簡単に取れた。ウラを見てみるとヒエール様やミミクリーのボタンなどがいっぱい並んでいた。外観は変わったが機能的には同じのようだ。


 ○カミテレコンの改良点

外観はリーちゃんの希望通りおしゃれなカチューシャ型に変更。

素材は特別に天界から取り寄せたキューピッドの矢と、運命の赤い糸を加工し作られている。

使われている素材の潜在力により、うっかり落としたりしても、呼べば持ち主の所へ戻ってくる。

ボタン類は飾りリボンの裏側に集約。外からは見えないようになっている。使用する時は取り外して電話の子機のように使う。持ち主以外の人が外そうとしても「ヒエールロック」の効果で取れないようになっている。

不評だった臭そうな着信音などは天使の奏でるハープの音色に変更。

その他色々、リーちゃんの希望とヒエール様のおせっかいが盛り込まれている。


 「あ、こんな所に付けたんだ」


 リーちゃんは「ヒエール様」のボタンを押した。

 「シャララララーン♪」

 ハープのような綺麗な呼び出し音だ。臭そうな音もしっかり改良されているみたい。


 「もしもし、リーちゃんかヴェ?調子はどうじゃヴェ」


 「今ね、洗濯機さんにシールを貼ったの。大丈夫うまくいったわ、名前はジャブちゃんにしたの、いい名前でしょ」


 「そうかそうか、今回もよい名前を付けてくれたようじゃの。新しい仲間は明日でよいからまた我のところへ連れてきてくれ。ミーちゃんも一緒にのう」


 「りょーかいでーす。じゃまた明日」


 ヒエール様との話を終えたリーちゃんに、ミーちゃんとジャブが話しかけた。


 「ねえ、神様なんて言ってたの? 明日どこに行くの? ってか、わたしもそれ欲しいんだけど」

 「そんなんどーでもいいねん、オレは一体なんやねん。気が付いたら洗濯機でジャブちゃんで、手足が生えるわベラベラ喋れるわ、いったいどうなってんねん」


 「まーまー二人とも落ち着いて、あたし、どう説明していいかわかんないから明日ヒエール様にみんなまとめて説明してもらうわ。お姉ちゃんのカチューシャも後でお願いしておくね」


 「みんなって誰やねん、ここに居る3人の他にも誰か居るんか?」


 「今から増やすのよ、あと2、3人位かな」


 「ふーん、まぁ友達を増やすのはいいけど、そんな相談どうして洗面所でしてるの?」


 「どうしてって、リビングにはお母さん達がいるし先に洗濯……っき、あっ!」


 すごく自然な感じで話の中に入ってきたので、思わず答えてしまいそうになったけど……知らない間にお母さんが洗面所に入ってきていたのだ。


 「わーっ!お母さん、どうしたの?何か用?いつからそこにいるの?」


 「別に用はないけど、2人でこんなトコで何ごそごそしてるのよ。今から買い物行くけど、来る?」


 「このおばはん、何言ってんねん2人ちゃうやん、3人おるがな」

 「シーッお母さんにはジャブは見えないのよ、それと、おばはんって言っちゃダメ」


 まあ、お母さんには家電の声は聞こえないんだから別にいいんだけど。


 「え? 今誰か『おばはん』って言った?」


 リーちゃんの「おばはん発言」はしっかりお母さんの耳に届いた。お母さんくらいの年頃の女性に「おばはん」は禁句なのは言うまでもない。


 「えー違う、違うって、おば、お晩ごはんのおかずを買いに行くのかなーっ? って言ったのよ。あたし達はお留守番してるからいいけど、お父さんは?」


 「お父さんなら2階で寝てるわよ、いびき聞こえるでしょ? じゃあいってきまーす」


 適当にごまかされた感じだが、今のお母さんには夕方タイムセールの方が大事なのである。お母さんは一人で買い物に行ってしまった。


 「リーちゃん、うまいコトごまかしたな、オバハンとオバンゴハン」


 「ジャブ、そんなのどうでもいいの、お姉ちゃん今がチャンスよ、お父さんが寝ているうちにリビングの家電にタマシールを貼りに行くわよ」


 二人は洗面所を出て2階へ向かった。リビングからはお父さんの大きないびきが聞こえてくる。よく寝ているようだが念のため、抜き足差し足……ミーちゃんは内緒声でささやいた。


 「グォーッゴヮーッ……プスーー」


 「うるさいなぁもお、でもよかったね、いきなりチャンス到来よ」


 「そうね、じゃあまずテレビに貼ってみようね。ぺタッ」

 「では、お姉さまは扇風機に、ペチ」

 「やっぱり電気釜探しには炊飯器でしょ、ぺタ」


 二人は次々とタマシールを貼っていった。貼るたびにシールはホワッと光り、魂を吹き込まれた家電達は声を上げ騒ぎ始めた。


 「あれ? わっ、ここどこ?」 「へ? なになに?」 「キャイン!キャイン!」


 え……? い、犬?


 「リー、今犬の鳴き声したよね? お父さんの寝言、じゃないよね」


 リーちゃんは困った顔でキャンキャン吠えている炊飯器を見て言った。


 「う、うん。この子、犬の魂が入っちゃったみたい。大丈夫かな?」


 「吹き込まれるのは人の魂だけじゃないのね。いいんじゃない? あんた犬飼いたいって言ってたし、見た目は炊飯器だけど心は犬なんでしょ。それよりお父さんが起きる前に、早く名前付けなさいよ」


 確かに。リーちゃんは前から「犬飼いたいよー」ってお願いしたけどお母さんが、お世話が面倒だからってあっさり却下されたし。この子なら餌もウンチの世話もいらないし、いいかもね。


 「わかった、じゃ名前を付けていくね。えーっとこの子は……」


 「ベフベブベフ、ハッハッハッ」


 落ち着いてきた炊飯器は、リーちゃんに随分なついているようだ。まだ名前を付けてないのに今にも飛び出してきそうだ。


 「おーよしよし、あなたはね、ベフベフ言ってるからベフちゃんよ。ベフ、出ておいで」


 そう言って炊飯器にちょっと触れた瞬間、ベフは飛び出しリーちゃんの周りを元気に走り回った。


 「アハッすごい元気だね。じゃあ次はテレビ君ね。えーっとあなたは……50インチだから、ごじゅう……『五重丸』ってどう?」


 リーちゃんが画面に手をあてるとズボズボっと肘のあたりまでテレビの中に入った。二人はびっくりしてテレビの後ろを覗いて見たが、テレビの裏に手は突き抜けていなかった。

 よく分からないけど手は別の空間に入っているようだ。手応えがあったのでテレビから手を引き抜くと20インチくらいの五重丸が出てきた。


 「おっとと、こりゃどういうこと? ここは天国?地獄?」


 次は扇風機。大丈夫だとは思うが回転している羽根に手を突っ込むのは危なそうなので、一応スイッチを切った。


 「扇風機か、うーん、あなたは……いつも涼しいから『すずちゃん』ね。ほら、おいで」


 羽の中央あたりに手を差し込み、すずちゃんを引っ張り出した。すずちゃんはいつもよりキョロキョロ首を振りながら辺りを見回した。


 「わ、わたし歩いてるわ! 動くのは首だけだと思ってたのに」


 冷蔵庫に洗濯機、そしてテレビと扇風機。あと炊飯器(犬)……


 「これで5台、5人?いや4人と一匹か」


 「この位でいいんじゃない? スーパー戦隊なんとかレンジャーも大体5人だし」


 ミーちゃんの「5人くらいがちょうどいい説」

 正しいかどうか分からないが、これ以上増やしたら、あたしたちの手に負えなくなるかも……リーちゃんもリビングでワイワイ騒いでいる家電達を見てそう思った。


 「そうね、これくらいにしとこっか。はーい! じゃあみんなちょっと集まってー」


 リーちゃん先輩は大き目の声で家電達に集合をかけた。


 と、その時


 「うう……うるさいなぁ……あ、暑い……」


 あ、お父さん寝てたんだった。忘れてたよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ