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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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18、姉妹タッグ

18、姉妹タッグ

 とうとうお姉ちゃんにバレてしまった。

 暑いのでドアも閉めずに話をしていたのも無用心だったのだが……


 「け、携帯? 何言ってるの、ほら、おもちゃだよ、こんな携帯あるわけないじゃん」


 リーちゃんはごまかし笑いをしながらミーちゃんにカミテレコンを見せ、疑いの目で近づいてくるミーちゃんから距離を取るようにベッドの上を後ずさりしていった。するとカミテレコンからヒエール様の呪文が聞こえてきた。


 「じゃあ、行くヴェ? ヒエヒエチェーンジ!」


 ヒエール様は、「機種変更」の準備のため、リーちゃんからの報告を全然聞いてなかったようだ。

 非常に間が悪い。リーちゃんの持っていたカミテレコンは一瞬フッと消え、かわいいカチューシャに変わった。

 姉妹はその場で固まった。

 リーちゃんはもうごまかしが効かない絶望感で。

 ミーちゃんは目の前で起こった超常現象に。

 そこに全く状況が分かってないヒエール様が話かけてきた。


 「おやおや? リーちゃんよ、あまりにも完璧な出来栄えに声も出ないかヴェ? フォフォフォ、無理もないヴェ。何せ天界から取り寄せた最高の材料で作り直したから手触りもさっきより……」


 自慢げにベラベラしゃべるカチューシャを掛布団の下に押し込み、ミーちゃんの方をチラッと見た。やや落ち着きを取り戻したミーちゃんは、リーちゃんの横にピタッとくっつき、ひそひそと話し始めた。


 「リー、あんた何なのよそれ、『手品だよーん』なんてごまかそうとしてもダメよ。二人だけのナイショにしておいてあげるから正直に言って」


 お姉サマに一瞬にして外堀を埋められ、何も言い返せなくなったリーちゃんは、しぶしぶ布団の中からカチューシャを取り出し頭につけた。


 「ヒエール様、お姉ちゃんにカミテレコンの事バレちゃった。どうしたらいい?」


 「なんと、バレたとな? うーん、どうしたもんかのう、ペタンコ殿、ブラウン殿」

 「我の神技『マッシロケー』でミーちゃんの記憶を消すことは容易いボー」

 「いやいや、リーちゃんは素直な子じゃから、今お姉ちゃんの記憶を消してもまたすぐボロが出てばれてしまうダォ。その度に記憶を消していたら、キリがないダォ」

 「そうじゃの、じゃあいっそのこと、こうするヴェか……」

 

 何を話しているのかよく聞こえないが、3人の神様がひそひそと話し合う声がカミテレコンから聞こえ、そして止んだ。神様たちの話し合いがまとまったようだ。


 「リーちゃんよ、汝はとても勇敢で優しい女の子じゃヴェ。その姉上であるミーちゃんならその素質も推して知るべしじゃヴェ。リーちゃんも姉妹で隠し事をしながら暮らしていくのもイヤじゃろうて……ここは正直にミーちゃんにもすべてを話し、協力してもらってはどうだヴェ?」


 そうね、お姉ちゃん余計な事にはよく気が付くし。

 ってかもうバレてるし……そうするしかないか。リーちゃんは隣にいるお姉さまをチラッと見た。


 「な、何よ、さっきから誰と何喋ってんのよ、教えなさいって」

 「お母さんたちにはナイショよ、絶対」

 「分かった、分かったから」


 リーちゃんは一つ、大きなため息をついて説明し始めた。


 「あのね、これはカミテレコンって言う名前で携帯じゃないの。冷蔵庫のレイちゃんとリサイクルショップに行って神様にもらったのよ、あ、レイちゃんはあたしにしか見えなくって、シールを貼って名前を付けたら出てきて、それでね……」


 神様の言っていることの半分程しかわかってないリーちゃんの説明は、悲しいほどわかりづらい。それをミーちゃんはしばらく我慢して聞いていたが、たまらなくなって、


 「ストップ、ストップ! リー、何が何だかさっぱり分かんないよ。少し落ち着いて分かるように話してよ」


 「えー? そんなこと言ったって……ねえ、ヒエール様どうしたらいい?」


 ミーちゃんに上手く伝えられなくて、こまっているリーちゃんにヒエール様はやさしく声をかけた。


 「リーちゃんよ、カミテレコンをお姉さんに渡すヴェ。我が説明すればきっと分かっててくれるヴェ」


 「そうね、それがいいわ、じゃお姉ちゃんに変わるね。はい、お姉ちゃんコレつけみて、神様が説明してくれるって」


 リーちゃんはカチューシャを外し、ミーちゃんに渡した。


 「もーう、神様って誰なの? 変な宗教ならお断りよ」


 普通突然「我は神ヴェ」と言われ「ああ、そうですか」って信じられる訳はない。でも、ついさっき目の前で起こった怪現象も見てるし……ミーちゃんはひとまず話しだけは聞いてみることにした。

 胡散臭そうにカチューシャを受け取った。見たところ危ないモノではなさそうだし、妹にビビってると思われるのもしゃくにさわるので、平気そうな顔をしてカチューシャを頭につけた。


 「大丈夫なの? ホントに……あ、いいわねコレ。私も欲しいな、こんなの」


 「そうじゃろ、何せ芯はキューピットの矢、外側は運命の赤い糸を使っておるからの」


 「もしもし? あなたが神様ってホント?」


 「おぉ、汝が姉のミーちゃんかヴェ。そう、我は冷蔵庫の神リフリージェヒエールじゃヴェ」


 ミーちゃんは神様と話し始めた。さすがにお姉さんだけある。年齢は4つ上だが理解力はリーちゃんの10倍以上あるようだ。

 ベッドに横になり、その様子をボーッと見ていたリーちゃんは、目が何度か白目になってうとうと……


 バタンキュー


 眠ってしまった。


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