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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
119/154

119、おまわりさんはね……

119、おまわりさんはね……

 「アイツまた分身を作りやがった、雑魚(ざこ)はオレ達が始末してやるぜ」

 「待て、待つんだレッド!」


 サンシャインレッドはアイスブレードをカッコよく構え、魔神オカマの分身に斬りかかろうとした……が、レジャズベ5が間に割って入り、それを阻止(そし)した。


 「あれはこの前のショボい分身とは格が違うで……パトカー見てみぃや、ボロ雑巾(ぞうきん)みたいになっとるやろ……2回分裂しているけど、パワーはそれほど落ちていないようだね」


 さっき鉄塔の山でサンシャインスリーがやっつけたニセ魔神オカマは、切り落とされた腕の廃家電で急ごしらえした分身だったので、パワーも小さくサンシャインスリーでも簡単に倒せたが、この分身は別格。簡単に倒せる相手ではない。


 「そうそう、おとなしく待っておくギャ、オレは今忙しいのだギャ」

 「? あっ!」


 魔神オカマ本体がそう言うと、分身2体は上空へと舞い上がった。また空中戦か、とレジャズベ5も後を追おうとしたが、分身2体はそのまま攻撃もせず、何処かへ飛び去ってしまった。


 「あ、あいつら何処(どこ)行きよってん」

 「気にするな、野暮用(やぼよう)だギャ、お前らの相手はオレがしてやるギャ」


 そう言って魔神オカマは10数メートルに巨大化。

右手のひらをレジャズベ5の方に向け、攻撃態勢に入った。レジャズベ5も両手に冷気を()臨戦態勢(りんせんたいせい)に入った。

と、その時。


 パンパーン!


 家電達の姿が見ることが出来ない警官は、巨大化した化け物に襲われようとしている、ちびっ子コスプレ軍団を護らねば……と思い、魔神オカマに向け拳銃を発砲した。

 銃弾数発が魔神オカマに命中し体を貫通したが、まったく効いていない。

 魔神オカマはジロっと警官の方を見た。


 「そんなものでオレは倒せないギャ」


 もう一人の警官はパニック状態で無線機のマイクを握りしめてわめいている。


 「本部! 本部、パトカーが破壊され、容疑者が3体に分裂し2体が飛び去り、巨大化した残り1体と交戦中! 至急応援を……え? そんなこと言わないで、もしもーし」

 「本部は、本部は何て言ってるんだ?」

 「落ち着いてまともな報告をしろと、あと、あちこちから通報が入り、みんな出動していて応援はムリと」

 「そ、そんな……」


 うろたえている警官を見てニヤニヤする魔神オカマの背中で、(こぶ)のようなものがボコボコと動き出し、ビュッと腕が2本飛び出した。その腕は(むち)のようにしなりながら警官に襲いかかり、警官を鷲掴(わしづか)みにした。


 「うぐっは、離せっ!」

 「キャーッ! 手が増えておまわりさん捕まっちゃったよ、どうなってんの?」

 「手は2本までって誰か決めたのかギャ? 手くらい何本でも出るギャ、ホレホレ」


魔神オカマは不気味な笑みを浮かべてそう言いながら、さらに腕を数本伸ばしそのうちの1本でリーピンクを(つか)みあげた。


 「キャーッ! いやーっ」

 「あっしまった、リーちゃんが!」


 攻撃態勢に入っていたレジャズベ5は攻撃をやめ、両手を構えたまま少し後ろに下がった。うかつに攻撃できない状況になってしまい、悔しそうに(こぶし)を握りしめたその時、


 ビュッ!  ザクッ!


 真横から超高速で飛びだしたサンシャインレッドが、リーピンクを(つか)んでいた腕を切り落とした。リーピンクは腕を振りほどきサンシャインレッドの方に向かう。


 「ありがとう、助かったわ」

 「大丈夫か? ボーっとしてんじゃねーよ、まったく」

 「くそっ、またお前かギャ」


 悔しがる魔神オカマの後方から、今度は二つの光る円盤が迫ってくる。ソニーブラックのディスクシールドだ。ディスクシールドは速度を保ちつつ稲妻のように軌道を変え、二人の警官を(とら)えている腕を切断した。


 スパスパッ!


 「わーっ!落ちるーっ」


 もがきながら落下する警官。


 「ランドリーネット!」


 このまま地面に叩きつけられる、と思ったその時、シバゴールドのランドリースピアの先端からネット状のものが飛びだし、フワッと警官を受け止めた。


 「た、助かったぁ」


 地面にそっと降ろされた2人の警官はホッとした顔で、目の前の5人のちっこい戦士に改めて質問した。


 「きみ……いや、あなた達はいったい何者……ですか?」


 男子3人はそれぞれの武器をかまえカッコよく、女子2人は華麗なポーズを決め、声高らかに言った。


 「オレ達は正義のヒーロー、サンシャインスリー! そして」

 「愛の戦士リーピンクと」

 「ミーバイオレットよっ、アイツはわたし達に任せておまわりさんは……えーっとね」


 もうちょっとの所までいったが、言葉に詰まってしまったミーバイオレットは、レジャズベ5の方をチラッと見て、助けを求めた。

 それを察知した五重丸は画面にカンペを映し出した。ミーバイオレットはそれを見て、再び警官の方に向き直し言った。


 「この町は危険にさらされている、今すぐ住民を避難させてっ!」

 「は、はいっ!」


 2人の警官は姿勢を正し、リーちゃん達に向かってなぜか敬礼をした。

 リーちゃん達も見よう見まねで、お返しの敬礼。


 気が付けばとっくに日が暮れ、町中にサイレンの音が走り回っている。消防や救急車のサイレンも聞こえる。

 そして、パトカーのサイレンだけが、なぜかどんどん大きくなってくる。


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