117、ヒーローデビュー
117、ヒーローデビュー
リーちゃんに突き飛ばされ、大見得切った歌舞伎役者みたいな恰好で、警官の前に登場してしまったサンシャインレッドとソニーブラック。
いきなり空中から現れた二人を見て、警官は一瞬ビビったが、相手がちっこいのに気付き、職務に戻った。
「あのね、ぼく達夏休みでまだ明るいけど、もうそろそろ帰らないとお家の人が心配するよ? 家の住所と電話番号分かる?」
「あ、えーっと……(どうしよう、香織)……」
いきなりおまわりさんに問い詰められ、どう答えていいか分からず、チラッと後ろのリーちゃんの方を見て助けを求めた。
見られたリーちゃんもどうしていいか分からずレジャズベ5の方をチラッと見た。
「魔神オカマも見られちゃったことだし、こうなったらヒーローデビューするしかないね」
(え? デビューって?)
「ぼくにまかして。レッドとブラックは適当にポーズを決めて僕の画面通りに喋って、元気よくね」
「お、おう」
そう言ってレジャズベ5とリーちゃん達3人は警官の後ろに回り込み、レッドとブラックが画面の見える位置に移動した。
レッドとブラックは言われた通り、ヒーローっぽいポーズを決め画面に映し出されたカンペを見て元気よく叫んだ。
「警察の諸君! 私は正義のヒーロー、サンシャインレッド!」
「そして私は、漆黒の戦士ソニーブラック! 我らサンシャインスリーが来たからにはもう安心だっ」
二人の警官は、あきれ顔で二人を見つめた。こけそうな格好で現れて、しどろもどろだったくせに何がヒーローだコノヤロ。空中から突然現れたトリックは分からないが、決めゼリフも棒読みだし、どう見てもヒーローごっこだ。
「あの、ボク達、サンシャインスリー? かっこいいね。でもスリーなのに何で二人なのかなぁ?」
警官は意地悪な質問責めで、口答えできなくする作戦に出た。はっきり言って公務執行妨害だし、とても迷惑だ。親に連絡して叱ってもらわないと。
チャチャンカチャンチャーン♪
「レッド、ブラック待たせたな、魔神オカマはどこだっ」
五重丸が急ごしらえした安っぽいテーマソングを合図に、東芝とリーちゃん姉妹は臨場感の外に飛び出し、警官の背後からそう叫んだ。
「うわっ! また出たっ、今度は3人か、勘弁してくれよ、もう」
3人はガサガサっとサンヨー達の方に集まり、改めて華麗なポーズを決めた。
「なんで5人なんだよ、スリーなのに今度はオーバーしてるじゃないか」
「僕は、金色の騎士、シバゴールド、僕が3人目の戦士だ」
「そして、あたしはリーピンク、こっちはミーバイオレット。二人合わせてキューティシスターズよっ……え?」
「2+3は5か……はいはい、もうどうでもいいから住所教え……」
「お店の人っ! 魔神オカマはどこにいったの」
「お、大男ならレジ台からバッテリーを奪って、外に出ていき……ました」
「チッ、逃がしたか、みんな後を追うわよ」
「おう!」
リーちゃん達は警官を完全に無視して、走り出した。警官は制止しようと後を追った。
「ぼ、ぼくたち、そんなに走っちゃあぶないよ、待ちなさーい」
「あとはあたしたちに任せて、お巡りさんは駐車違反とか取り締まっておいてー」
「ちゅ、駐車違反って、おい」
「みんな、飛ぶわよー、ティヤー」
リーちゃんの変な掛け声とともに5人は一斉に飛び上がった。追っかけていた警官は空を見上げ呆然として叫んだ。
「あぁっ! と、飛んだ? 釣り上げたのか? あ、もうあんなに高く……」
リーちゃん達は一気に数十メートル上昇し、上で待ち構えていたレジャズベ5のところへ集まった。
五重丸は臨場感パーソナルモードで、光の玉の映像を作り出し、サンシャインスリーとキューティシスターズが吸い込まれる演出をした。
「よし、みんな入ったね」
全員が光の玉に入ったのを確認し、パーソナルモードからパブリックモードに切り替え、電子音とともにみんなの姿は周りから見えなくなった。
「おい、見たか? 光に吸い込まれ消えてしまったぞ。あいつらは子供、じゃなくって宇宙人?」
「相手が宇宙人となれば、もう警察の管轄じゃないのでは、あ、救急車が来ましたよ」
ピーポーピーポー
駐車場に救急車が到着し、警官はそちらの方に走っていった。リーちゃん達はそれを上空から見て、胸をなでおろした。
「何とかごまかせたね」
「もう、あんたがオナラなんかするから大騒ぎになったじゃない、バカなんだから」
「そ、そんなこと言うなよ、おかげでヒーローデビューできたんだし」
「あ、そうだ五重丸、何よ『キューティシスターズ』ってダッサダサじゃん」
「アハハ、ごめんごめん、急だったんでそんなのしか思いつかなくって」
「そんな事より、魔神オカマはどこへ行ったんだろ」
見失ってしまった魔神オカマは、どこへ行ったんだろう。コンビニを襲撃し、レジ台からバッテリーを奪っていったって事は、己を充電式に改造するためか?
「町を破壊したら、またあちこちで停電する、そうしたらまた自分も気絶してしまうから充電できるバッテリーが欲しかったんだろう」
「じゃ、ヤツもダイさんみたいに停電しても動けるようになったのかな」
「バッテリーも切れてしまえば動けなくなるし……電源につながっているいる廃棄家電を探さな……不法投棄の家電が電源につながってる訳ないし……やーん、ムズーイ、わかんなーい」




